【J-PEAKS】徳島大学の学生が藤田医科大学の起業家育成ブートキャンプに参加

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 令和8年7月27日(月)~8月5日(水)、藤田医科大学と愛知県が共催で実施したBOOTCAMP(強化合宿)に、徳島大学の学生が参加しました。
 今回の参加は、徳島大学がJ-PEAKSに採択されたことを契機とした、採択大学間の交流を通じて実現したものです。同じく採択大学である藤田医科大学から、本BOOTCAMPへの参加についてご案内をいただき、徳島大学からは選考を経て2名の学生が参加しました。また、J-PEAKSの採択大学からは慶應義塾大学、九州工業大学も参加し、アジアの7か国・地域を含む計31名の大学生・大学院生が、「AI×Medtech」(人工知能と最新医療技術)をテーマに、社会課題を解決するイノベーションの創出に取り組みました。
 初日には、藤田医科大学フジタホール2000において、愛知県知事や前デジタル大臣を迎えての開会式が行われました。プログラム前半では、病院の視察や、日本の医療制度、ヘルスケア分野に関する講義を通じて、医療現場が抱える課題について理解を深め、その後はグループワークを中心に、医療スタッフや患者へのインタビューを通じて課題を発見・分析し、その解決に向けたソリューションのプロトタイピングを行いました。最終日には、各グループが成果をプレゼンテーション形式で発表しました。並行して、専門家の講演のほか、課題発見から解決策の検討、社会実装に至るまでの起業家育成メソッドに関するレクチャーが行われました。

 徳島大学から参加した山本みずほさん(大学院医学研究科医学専攻3年)とTrang Thi Trinhさん(同4年)からBOOTCAMPでの活動について報告をいただきましたので、ご紹介します。

 山本さんは、「Women’s Health and FemTech」をテーマとするグループで活動しました。インドネシアから2名、香港から1名、日本から2名の計5名で構成され、学年や専攻の異なるメンバーとともに、授乳中の母親を対象とした乳腺炎予防アプリ「FemLink」を開発しました。山本さんは、英語力に自信はなかったものの、病院見学や医療スタッフ、患者へのインタビュー等の日本語でのコミュニケーションが中心となる活動において、インタビューの進行役やインタビュー後の内容の補足を行い、海外からの参加者が細かなニュアンスや文化的背景まで理解できるよう努めたそうです。多様な専門性を持つメンバーが共通理解のもとで議論を進められる環境づくりに貢献し、最終的な課題設定やプロトタイプ開発を円滑に進めた結果、8月5日に行われた最終発表では全6グループ中1位となる素晴らしい結果を残しました。

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山本さんのチームのグループワークの模様

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表彰式の様子

 Trangさんは、臨床経験のある医師で、分子研究のバックグラウンドも有しています。工学分野の専門家や海外からの参加者との交流、デジタル技術やAIの実践的な医療ソリューションへの応用に関心を持ち、合宿に参加しました。合宿では、神経疾患及びリハビリテーション分野におけるイノベーションをテーマに、臨床的なコンセプトを実現するアプリケーションのプロトタイプ開発に取り組みました。Trangさんは臨床的かつユーザー中心(User-Centric)の視点から、患者や医療従事者のインタビューから得られた知見を、実現可能な技術的ソリューションへつなげる役割を果たしました。Trangさんのグループが開発したアプリは、リハビリの目標を達成するごとに、日本各地をバーチャルに旅行していくものです。グループでは、患者が自分の回復の進捗を視覚的に実感できるよう工夫して設計していましたが、グループワークを進める中で大きく方向転換しなければならなかったそうです。これは、当初考えていたコンセプトが、患者や医療従事者からの意見やデータを踏まえると、そのままでは成り立たないことが分かったためです。再度、アイデアを見直し、十分な根拠に基づき、全く異なる方向に転換するという決断をチームで行ったことは、非常に価値ある経験だったとしています。

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Trangさんチームの最終プレゼンテーション

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グループのメンバーと

社会実装・起業に向けた実践的なプログラムの内容
 Trangさんの報告をもとに、主なプログラムの内容をご紹介します。

・IT及び医療分野の専門家による臨床医療におけるAI、デザイン思考、ユーザー中心(User-Centric)のイノベーション、プロトタイピングに関する講義や実践的なワークショップ
・大学病院において、医師、理学療法士、作業療法士、看護師、患者を対象に、現場観察や構造化インタビューを実施し、「The Mom Test」や「なぜなぜ分析(5Whys)」を活用した、先入観や仮説にとらわれない「ペインポイント(当事者が抱える具体的な課題や悩み)」の把握
・グループワーク※:インタビューで得られた知見の整理・分析、中心的な課題の明確化、臨床的なコンセプトの検討、脳卒中後の片麻痺患者のリハビリテーション過程を対象とした患者・理学療法士のジャーニーマップの作成 ※テーマによりグループワークの内容は異なります。
・技術チームとの協働により、臨床的なコンセプトを実際に機能するプロトタイプとして具体化
・最終ピッチ資料の作成、審査員へのプレゼンテーション

 山本さんは「インタビューや現場観察を通じて、表面的な要望や現象だけでなく、その背景にある根本的な課題を探るプロセスを学べるプログラムでした。この思考法は、研究課題の設定にも有用であると感じました。研究においても、観察された現象の背後にある本質的な課題を見極めることは重要であり、今回学んだ課題発見のアプローチは、今後新たな研究テーマの探索や研究の社会的意義を考える上でも活かせると考えています」と、合宿での学びにとどまらず、今後の研究活動にも活かせる手法を学ぶ機会となったことがうかがえます。
 また、「ゲストスピーカーによる講演では、研究結果のみならず、現場で生じた課題を起点に、その解決策を社会実装する手段として『起業』が存在することを学び、研究成果を社会へ還元する多様な方法について理解を深めることができた」(山本さん)、「臨床及び研究に関する知識と技術開発を結びつける能力が向上するとともに、臨床的に意義があるだけでなく、技術的にも実現可能なソリューションを設計することの重要性を改めて認識した」(Trangさん)と、社会実装や起業をイノベーションの出口として、より身近に感じたという感想が寄せられています。
 さらに、山本さんからは「生成AIを用いてプログラミングやUI設計を行うことで、短期間でも実用化を意識したプロトタイプを作成できることを実感しました。AIは研究データの解析や文献検索を支援するだけでなく、研究成果やアイデアを社会課題の解決へと結び付けるための重要な手段となり得ることを学びました」と、AIとMedtechを融合した実践的なプログラムであったことがうかがえます。

今後参加を検討する後輩へのメッセージ
 「英語でのコミュニケーションに不安を感じていましたが、参加者はお互いの意見を尊重しながら活動する雰囲気があり、言葉に詰まったときも理解しようとしてくれる人が多く、積極的にコミュニケーションを図ろうという姿勢があれば十分に参加できると感じました。普段の研究では得られない経験や出会いが多いので、興味がある方にはぜひ挑戦してほしいと思います」(山本さん)

 「患者や医療スタッフとの直接の対話から得られる気づきは講義から得られる知識以上に有意義なものです。また、臨床、工学、デザインといった自分の専門領域や役割ごとに分担するのではなく、それぞれの視点を真に融合させたところから優れたアイデアが生まれました。多様な専門分野で構成されるチームでの協業を積極的に楽しんでほしいと思います。医療・ヘルスケア分野におけるイノベーションに関心のある学生にはぜひ参加を検討してほしいと思います」(Trangさん) 


 今回得られた有意義かつ実践的な経験を、今後の研究活動等にぜひ活かしてほしいと思います。このような貴重な機会をいただきました藤田医科大学の皆様に改めて感謝申し上げます。

お問い合わせ先

研究・産学連携部研究・産学企画課

電話番号:088-615-2328
メールアドレス:j-peaks[アット]tokushima-u.ac.jp
※メールを送信される場合には、[アット]を@に置き換えてください。

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