今村恵子(京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、理化学研究所バイオリソース研究センター(理研BRC))、西田敬二(神戸大学先端バイオ工学研究センター)、クヌート・ウォルツェン(CiRA)、和泉唯信(徳島大学大学院医歯薬学研究部)、井上治久(CiRA、理研BRC)らの研究グループは、家族性筋萎縮性側索硬化症(家族性ALS)の原因となるSOD1遺伝子変異を一塩基単位で修正する方法を、ヒトiPS細胞を用いて検討しました。
ALSは、筋肉を動かす運動ニューロンが徐々に失われる難治性の神経疾患です。ALSの約10%は遺伝性の家族性ALSで、日本ではSOD1遺伝子の変異が主要な原因の一つとなっています。変異型SOD1タンパク質の量を減らす治療法の研究が進む一方、正常なSOD1タンパク質には細胞を守る働きがあるため、原因となる変異だけを修正して正常な機能を保つ方法が望まれています。
研究グループは、家族性ALSの原因として知られる、SOD1遺伝子の2種類の変異(G93A変異、L126S変異)を対象に、それぞれの変異に適したゲノム編集法を選びました。G93A変異には、書き換えたい配列を指定できるプライム編集を用い、複数の設計を比較した結果、ヒトiPS細胞で約10%の修正効率を得ました。L126S変異には、一つの塩基を別の塩基へ変換する塩基編集を用い、患者さん由来iPS細胞で編集酵素とガイドRNAの組み合わせを比較した結果、約26%の変異アレルを修正できました。
今後は、ALSに関連する細胞の異常が改善するかを調べ、また、安全性も十分に検証していく必要があります。
この研究成果は、2026年9月30日に国際科学誌「BMC Medical Genomics」にオンライン掲載されました。
【プレスリリース】SOD1遺伝⼦変異を⼀塩基単位で修正―家族性ALSを対象にiPS細胞で塩基編集とプライム編集を最適化―(PDF 1.73MB)
