令和8年6月15日、オークラ東京において、令和8年度全国発明表彰 表彰式が開催され、本学から、<第1表彰区分>「発明賞」を受賞した 佐々木雄太郎講師、<第2表彰区分>「未来創造発明賞」を受賞した 岡久稔也元特任教授(現四国中央病院病院長)、曽我部正弘教授、および「未来創造発明貢献賞」を受賞した河村保彦学長の代理として藤本真路理事・副学長(地域担当)が出席しました。

表彰式会場にて
<第1表彰区分>「発明賞」受賞: ロボット手術で血管テーピングを安全に行う器具の意匠
佐々木講師は、ロボット手術で行う血管テーピングを安全に実施するための専用器具「ヴァスガイド(Vas Guide)」の意匠の発明について表彰されました。
本来、ロボット手術では触覚がないうえ、限られたスペースで血管の裏側にテープを通す必要があり、難易度の高い工程でした。
この課題に対して佐々木講師が発明したヴァスガイドでは、運針のような動きで完結できる工夫がされているのに加えて、確実な把持とテープの結節(結びやすさ)も考慮されているため、直感的かつ安全に操作できる設計が施されています。その結果、手技のばらつきが少なくなり、経験差に依存しない安全な手術に大きく貢献しています。
【佐々木雄太郎 講師 受賞コメント】
この度は、大正8年から続く大変歴史ある全国発明表彰において「発明賞」という名誉ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。日本を代表する企業が名を連ねる第1表彰区分において、アカデミアとして唯一の受賞となったことは、医療現場の「もっと安全な手術を届けたい」という切実な思いが、高く評価された結果であり大変意義深く感じております。徳島大学から生まれた本技術の開発・実用化に際し、ご協働いただいたすべての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。この受賞を励みに、今後も地方発のアカデミアとして、医療の未来をより良くするイノベーションの創出に尽力してまいります。
<第2表彰区分>「未来創造発明賞」受賞: 難治性胸腹水の自動ろ過濃縮装置の発明
岡久元特任教授、曽我部教授及び株式会社タカトリの医工連携チームは、難治性胸腹水の自動ろ過濃縮装置の発明について表彰されました。
進行がんや肝硬変などによって生じる難治性胸腹水に対して行われる腹水濾過濃縮再静注法(CART)では、胸腹水中の細胞成分や凝集塊、蛋白質などによって、ろ過器や濃縮器が目詰まりを起こし、多量の胸腹水の処理が困難となることがありました。
しかし、岡久先生らはCARTに用いる自動処理装置において、ろ過器の圧力を監視しながら自動的に膜洗浄を行う技術と、濃縮圧を一定範囲に制御する技術を開発し、多量の胸腹水を安全かつ効率的に全量処理できるようになりました。本発明は、経済産業省・AMED、文部科学省及びNEDOの支援を受けて創出された技術であり、自動ろ過濃縮装置(M-CART)として製品化されました。患者さん及び医療従事者の負担軽減に寄与し、今後のがん診療の発展への貢献が期待されています。
【岡久稔也 元特任教授 受賞コメント】
このたびは、未来創造発明賞という栄誉ある賞を賜り、心より光栄に存じます。授賞式では、第2表彰区分受賞者を代表して常陸宮妃華子殿下より賞状を拝受し、身の引き締まる思いでございました。本発明の研究開発と実用化にあたり、ご支援とご協力をいただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。本発明が、より多くの患者さんへの安全で質の高い医療の提供につながることを願っております。この受賞を励みに、今後も医工連携・多職種連携による新たな医療技術の創出と普及に貢献してまいります。
【曽我部正弘 教授 受賞コメント】
本発明が未来創造発明賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。本発明は、CART診療における医療現場の課題を解決したいという思いから始まり、大学、医療機関、企業がそれぞれの専門性を結集して実現した成果です。基礎研究から医療機器の実用化まで、多くの皆様との連携によって本発明を社会実装へつなげることができました。本発明の実現にご支援、ご協力いただいたすべての皆様に深く感謝申し上げます。この受賞を励みに、今後も医療現場の課題解決につながる研究開発を推進するとともに、産学官連携のもと、医療の発展と次世代を担う人材の育成に努めてまいります。
