徳島大学病院では、令和4年7月から、褥瘡のような難治性潰瘍や糖尿病性足潰瘍*1などを集学的に治療する「下肢救済・創傷治療センター」を開設しています。同センターは、県内で唯一、難治性潰瘍や糖尿病性足潰瘍の治療を専門とする医療拠点です。
糖尿病性足潰瘍は、虚血性足潰瘍*2と併せて「包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」と総称されます。CLTI患者は本邦で高齢化や糖尿病患者の増加に伴い、今後も増加傾向にありますが、治療介入が遅れ重症化すると下肢切断に至ります。
その治療には、血糖のコントロール、血行再建、創傷治療、透析など、複数の診療科にまたがる集学的な対応が必要となるため、治療できる施設は限られます。
徳島大学病院下肢救済・創傷治療センターでは、形成外科、循環器内科、心臓血管外科、内分泌・代謝内科、腎臓内科など関係各科と連携を密にとり、CLTI治療を円滑に進めています。さらに、理学療法士、栄養士、看護師なども交えた合同カンファレンスを定期的に開催し、情報交換や治療方針の確認、リハビリの進行程度や栄養状態の確認などを行い、包括的に治療を進めています。
また、令和5年には多血小板血漿(PRP)治療*3やヒト羊膜絨毛膜組織片を用いた先進医療を導入し、令和6年には足への過剰な負荷を軽減するoff-loading surgery*4の症例数も増加しており、治療の幅も拡大しています。
今後も、徳島大学病院下肢救済・創傷治療センターでは、CLTI患者の救肢率向上に貢献できるよう、専門性と多職種連携を生かした質の高い医療を提供してまいります。
*1 糖尿病に関連した末梢神経障害、末梢動脈疾患、免疫機能低下などが原因となって生じる足潰瘍。
*2 足の血管が狭くなったり詰まったりすることで血流が不足し、組織が壊死して生じる潰瘍。
*3 再生医療の一種で、患者自身の血液を採取し、血小板や成長因子など必要な成分のみを濃縮した血漿を患部に注射する治療法。
*4 特定の部位に過剰にかかる負荷(load)を軽減することを目的とした手術
【プレスリリース】徳島大学病院 下肢救済・創傷治療センター ~県内唯一の難治性潰瘍、糖尿病性足潰瘍治療の専門センター~ (PDF 137KB)