ウイルスの超高感度検出は、感染症の拡大を防ぐ上で重要な技術です。ウイルスの核酸量を測定するPCR 法は、ウイルスの絶対量を高感度で測定する技術として実用化されています。しかし、PCR 法では失活したウイルスも計測されるため、感染能の正確な定量評価には適しておらず、ウイルス感染能を超高感度定量測定する技術は、未確立の現状にあります。
本研究チームでは、細胞内に見られるマイクロ液滴から着想を得て、ウイルス感染能の超高感度定量測定を可能にする新たな流体材料の開発に成功しました。開発した流体材料は、その内部にマイクロ液滴を含みます。通常、マイクロ液滴は速やかに融合し、マクロな相分離に至るため、微小空間が求められる微量サンプルの高感度検出への適用は困難でした。本研究チームは、ポリエチレングリコール(PEG)水溶液中に作られるデキストラン(Dex)マイクロ液滴の融合を長時間にわたり抑制するAzSAP ペプチドナノファイバーを用いて、マイクロ液滴が分散した新たな流体材料を開発しました。流体材料中のDex マイクロ液滴内部に、M13 ファージウイルスと、その宿主細胞である大腸菌を局在させると、ファージウイルスの液滴外での二次感染が抑えられ、フローサイトメトリー解析によってウイルス感染の超高感度定量測定が可能になりました。本研究で開発した新たなウイルス感染能の定量測定法「マイクロフローアッセイ法」は、従来の感染能測定方法であるプラークアッセイ法に比べて10 倍以上高い感度と、測定時間の大幅な短縮を実現しました。
本研究成果は、2026年7月22日(水)、Nature Communications誌のオンライン版で公開されました。
【プレスリリース】マイクロ液滴を含む新流体材料を利用した 「マイクロフローアッセイ法」の開発に成功 〜ウイルス感染能の超高感度定量測定を実現〜 (PDF 1.72MB)
