大阪大学大学院理学研究科の安田樹特任研究員(研究当時、現:徳島大学先端酵素学研究所助教)、石原直忠教授、徳島大学先端酵素学研究所の小迫英尊教授、島根大学医学部の石原孝也准教授、理化学研究所 生命機能科学研究センターの尾上健太テクニカルスタッフⅠらの研究グループは、ミトコンドリアの形の変化により自然免疫が活性化される新たな仕組みを発見しました。
ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを産生する、私達の体に不可欠な細胞小器官です。一方で、免疫応答をはじめとする様々な細胞シグナルの制御にも関与することが知られています。しかし、ミトコンドリアの形態変化が自然免疫応答にどのような影響を与えるのかについて、十分には解明されていませんでした。
ミトコンドリアは分裂と融合を活発に繰り返して形を変える、ダイナミックな細胞小器官であることも知られています。
今回、研究グループは、ミトコンドリア分裂因子の機能抑制や細胞ストレスによって、ミトコンドリアが異常に長くつながる“超融合”状態を誘導し、その影響を詳細に解析しました。その結果、ミトコンドリア内部のRNAが細胞質へ漏出し、ウイルス感染時に働く自然免疫応答を活性化することを見出しました。さらに、この現象によってがん細胞が免疫細胞に攻撃されやすくなり、腫瘍の増殖が抑制される可能性も示され ました。
本研究成果は、ミトコンドリア異常と免疫応答との関係を理解する上で重要な知見であり、自然免疫を活性化する新たながん治療戦略の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、2026年6月26日に米国科学誌「Cell Reports」(オンライン)に掲載されました。
【プレスリリース】\“超融合”したミトコンドリアを解析/ミトコンドリア RNA を介した自然免疫活性化の新たな仕組みを発見―新たながん治療戦略への応用に期待―(PDF 728KB)
