【プレスリリース】脳脊髄液をつくる細胞におけるD-アミノ酸酸化酵素の多様な局在

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 私たちの脳の中には「脳脊髄液(のうせきずいえき)」と呼ばれる液体が流れており、脳を保護したり、栄養や老廃物のやり取りを助けたりしています。この脳脊髄液を作り出しているのが、脳の中にある「脈絡叢(みゃくらくそう)」という組織です。
 埼玉医科大学(学長 竹内 勤)保健医療学部臨床検査学科の小野公嗣准教授、山岸敏之教授、徳島大学(学長 河村 保彦)フォトニクス健康フロンティア研究院の宍戸裕二特任准教授、徳島大学先端酵素学研究所の福井清元教授による共同研究グループは、この脈絡叢を構成する上皮細胞と呼ばれる細胞の中で、「D-アミノ酸酸化酵素(DAO)」という酵素がどこに存在しているのかを詳しく調べました。DAOは、生体内に存在する「D-アミノ酸」と呼ばれる物質を分解し、その量を調節する役割を持つ酵素で、D-アミノ酸の代謝を通じて神経の働きや脳の環境を整える重要な役割を担うと考えられています。また、精神神経疾患におけるDAOの遺伝子変異など、この調節の破綻がいくつかの疾患に関与していることも報告されています。
 これまでDAOは、細胞の中の特定の場所にまとまって存在すると考えられてきました。しかし本研究の結果、脈絡叢上皮細胞の中では、DAOが多様な局在パターンを示すことが明らかになりました。
 この発見は、DAOが単に一定の場所で働く酵素ではなく、細胞の状態や役割に応じて配置を変えながら機能する可能性を示しています。つまり、D-アミノ酸の量は、細胞の中での「DAOの居場所」によって細かく調節されている可能性があるという、新しい視点が提示されました。 今回の成果により、脳の中の化学物質のバランスがどのように保たれているのかという理解が一歩進み、将来的には脳の機能異常や精神疾患の仕組み解明につながることが期待されます。本研究成果は、2026(令和8)年2月17日に国際学術誌 FEBS Journal にオンライン先行公開されました。

【プレスリリース】脳脊髄液をつくる細胞におけるD-アミノ酸酸化酵素の多様な局在 〜細胞内空間制御メカニズムにより脳内アミノ酸量を調節する可能性~ (PDF 810KB)

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