有尾両生類であるイモリは、古くから発生や再生の研究において重要な役割を果たしてきました。しかしイモリのゲノムは、反復配列によりヒトの数倍から十数倍と巨大であるため、長らく決定が困難でした。今回、主に国内の研究者からなる「イベリアトゲイモリ研究コンソーシアム」を中心として、日本で樹立された近交系統イベリアトゲイモリを対象に最新の高精度ロングリードシークエンス技術を用いてゲノム解読に成功しました。そのゲノムは約200億塩基対に達し、ヒトの約7倍もの大きさです。解析の結果、ゲノム巨大化に関わる反復配列、器官再生における遺伝子発現制御、両生類の進化やイモリ特有の生殖行動に関わる遺伝子の特徴などが明らかになりました。本研究の成果は、イモリが持つ様々でユニークな生命現象の謎に迫るための重要な情報として、生物学の分野において幅広い展開が期待されます。本研究成果は、2025(令和7)年9月9日に米国学術雑誌 iScience のオンライン先行版に掲載されました。
【プレスリリース】ヒトの7倍の巨大ゲノムを解読 ― イベリアトゲイモリが示す発生・再生・進化・行動の謎 ― (PDF 1.88MB)