大学院ヘルスバイオサイエンス研究部(薬学系)柏田良樹教授らの研究が日本生薬学会第60回年会で発表されます

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ミソナオシDesmodium caudatumは関東以西に分布するマメ科ヌスビトハキ属植物で、根は青酒缸根(せいしゅこうこん)と称され、リウマチ性腰痛、下痢、黄疸型肝炎、膿腫の治療、条虫駆除などに用いられてきました。ミソナオシの和名は、味噌が悪くなった時にこの茎葉を入れるとその味が回復すること(「味噌直し」)に由来しています。大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の柏田良樹教授の研究グループは、ミソナオシにはその名前の由来に関する科学的証明を得ることを目的に研究を行いました。

味噌・醤油酵母には、その熟成に関与する有用酵母と醤油・味噌の表面に発生する産膜性の有害酵母があります。産膜性耐塩性酵母Zygosaccharomyces rouxii F51株(F51株)は皮膜を形成しない時は有用酵母と同様の働きや生理挙動を示しますが、皮膜状に生育した状態場合は白カビになります。

F51株に対するミソナオシ抽出エキスの作用を調べた結果、ミソナオシ地上部のメタノール抽出エキスがF51株の白カビ化を抑制することが判明しました。そこで、ミソナオシ含有成分31種について、F51株の膜形成阻害を指標として作用を検討したところ、14種のフラボノイド類にF51株の膜形成阻害作用が見出されました。最も強い活性(MIC 7.8 μg/mL)を示した化合物(11)を含む6種はミソナオシから初めて発見された化合物でした。また、ミソナオシに比較的多量に含有されているフラボノイド類がこのような作用を示しました。

ミソナオシの名前の由来に関する科学的検討はこれまでにも試みられていましたが、今回初めてミソナオシ特有のフラボノイドに産膜性耐塩性酵母の膜形成阻害作用が見出されました。本研究結果は、ミソナオシに「味噌直し」の由縁となる化合物が含有されていることが科学的に証明できたものとして注目されます。

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