最先端研究探訪(とくtalk188号)

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腰痛治療の最先端がここに!よりよい医療を目指し、常に進化し続けるトップランナー


『プロフェッショナル 仕事の流儀』の最後の質問「プロフェッショナルとは?」の
問いに、「新しい教科書を作る人」と答える西良先生。現在は基礎研究として、
青色ダイオードで骨肉腫を治すという研究にも取り組んでいるそうです。

腰痛の謎を解き明かし、トップアスリートらも治療

 患者視点で厳選した名医を部門別に紹介した冊子『国民のための名医ランキング2021~2023‒いざという時の頼れる医師ガイド 全国名医1045人厳選』。西良先生はこの本の整形外科部門 第1位に掲載される整形外科専門医です。日本脊椎脊髄病学会技術指導医、日本体育協会公認スポーツドクターの資格を有し、そこには「得意分野 謎の腰痛」と書かれています。
 腰痛の8%は原因の特定が難しい、“謎の腰痛”といわれているのだとか。しかし西良先生は「腰痛に謎はない」と断言します。その言葉は、なんとしても原因を突き止め、今ある医療のその先を目指し、腰痛治療の新たな道を見つけたいという熱意と挑戦の表れのように感じます。
 西良先生の仕事ぶりは、超一流のプロフェッショナルに密着取材したNHKのドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』(2019年6月放送)でも取り上げられました。腰痛の原因を丁寧な問診で紐解き、ある人はコルセットとリハビリで、ある人は局所麻酔による内視鏡手術で治療し、完治する様子が紹介されました。
 番組内で「西良先生に治療してもらった」とインタビューに応じていたのは、元プロ野球選手の高橋由伸氏。この他、名だたるスポーツ選手やトップアスリート、オリンピックメダリストに加え、登山家の野口健氏など「え!? あの人も!!」という著名人や有名人も治療。現在も全国各地から腰痛に悩む人が次々と来県。手帳には手術の予定がぎっしり書き込まれ、「来てないのは、あと群馬だけ」というほど。

 

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AR顕微鏡視下脊椎手術
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全内視鏡脊椎手術の様子
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手術支援ロボットにAR顕微鏡世界の最先端が揃う

 日本低侵襲脊椎外科学会の代表幹事も務める西良先生は、これまで全身麻酔によって行われてきた高齢者の脊椎管狭窄症の手術も局所麻酔で、内視鏡を使って行います。内視鏡は8ミリという小ささなので、体への負担が少なく、日常生活へも早く復帰できます。
 スーパードクターとの呼び声高い西良先生の技術に加え、徳島大学病院には最新の膝関節、股関節の人工関節手術に対応する手術支援ロボットも。「内視鏡もできて、こうした最先端のロボットが揃っているところは、世界を見ても徳島にしかない!」といいます。
 さらに今年4月1日にAR(拡張現実)を使った新システムを導入。CTやMRIの情報をすべてあわせて、VR(仮想現実)で術前プランニングを行うそうですが、その術前プランニングで得た情報をAR(拡張現実)で顕微鏡に取り込むことで、どこに血管があって、どこに腫瘍があるのか、ガイドが示されるように顕微鏡を覗くとはっきり映し出されます。これにより最高難易度の手術も今まで以上に安全に、確実に行うことができるようになったそうです。

 

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人工関節手術では10年以上前からコンピューターナビゲーションを使用していて、
Makoシステムなどの最新の手術支援ロボットの導入により、安全性や正確性が増したそう。

 

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女性医師が働きやすいよう、産前産後休暇および育児休暇の取得も
サポートするなど充実の体制が整えられています。

ピラティスをとりいれたリハビリでの治療も

 腰痛は大人だけでなく、部活に励む10代の中高生の間でも問題となっています。成長期に発症しやすいのは腰椎分離症。早期発見、早期治療が肝心といわれています。
 この他、野球少年の肩、肘などにみられる投球障害など、徳島大学整形外科ではスポーツ医学の黎明期から子ども達のサポートを続けていて、その活動をさらに進めるため、クラウドファンディングも行い、サポーターを募集しています。
 スポーツ医学の観点からも、治療のためのリハビリとして西良先生が勧めているのは、ピラティスです。ピラティスと聞いて、マットの上で行うヨガのようなイメージをもっている人もいると思いますが、リハビリとして活用されているのは機器を使って行います。
「車に例えて説明すると、筋トレは馬力をあげる、ストレッチはサスペンションをよくして乗り心地をよくする。ピラティスは何かというと、運転技術です。運転する人がしっかりしていないと事故に繋がるように、体を上手に使う方法を学ぶにはピラティスが効果的です」。人間はちょっとした動作がすべて統合動作になっているという西良先生。例えば足を上げようとすると簡単に上げることができますが、股関節だけで上げようとすると上手くいかないように、ひとつずつの動作にわけて体を使う訓練をするのがピラティスなのだとか。ピラティスを取り入れた最先端リハビリにも注目が集まっています。
 こうした西良先生の高い技術や最先端の取り組みを学びたいという若手医師や留学生も多いそう。女性医師の働きやすい職場づくりも行い、研修医募集も行っています。詳しくは徳島大学整形外科のホームページをぜひチェックしてみてください。

 

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ピラティスの様子。「すべてのアスリートの身体を守るスポーツ医学を進化させる」をテーマにしたクラウドファンディングは研究サポーターを募集中
https://otsucle.jp/cf/scientist/tokushima-u/3470.html

 

西良 浩一(さいりょう こういち)のプロフィール

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大学院医歯薬学研究部医学域 教授

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