「共同利用・共同研究拠点」の認定制度は、従来、国立大学の附置研究所や大学共同利用機関等を中心に推進されてきた共同利用・共同研究を、国全体の学術研究の更なる発展のために国公私立大学を通じて研究者が共同で研究を行う体制として、平成20年7月、文部科学大臣により創設されたものです。
徳島大学では、平成21年度に疾患酵素学研究センターが「酵素学研究拠点」として認定され、平成28年度には、大学機能強化の一環として、疾患プロテオゲノム研究センター、藤井節郎記念医科学センター、糖尿病臨床・研究開発センターと統合した「先端酵素学研究所」への改組とともに、再度認定を受け、共同利用・共同研究拠点事業を進めてきました。令和4年度に「先端酵素学研究所」が改めて「酵素学研究拠点」として認定され、酵素学研究・生命医科学研究の研究者コミュニティの中核拠点の一つとして活動を展開しています。
酵素学研究拠点
徳島大学先端酵素学研究所は、生命現象の中心的役割を担う酵素について、生体反応の触媒としての構造や機能を探るこれまでの酵素学を基盤に、オミクス、ゲノム編集などの最新技術を用いた包括的解析を推し進め、「先端酵素学」を創出する研究所です。この観点に基づき、ゲノムから個体に至る生命情報を統合的に理解する研究を推進し、国際的に先導的な研究成果を発信するとともに、健康長寿社会の実現に向けた疾患の病態解明と医療への応用を目指しています。共同利用・共同研究拠点事業では、研究者コミュニティと連携して疾患の病態解明と医療への応用実現に貢献する先端酵素学研究を推進する中核拠点として活動を行います。
目的
生命現象の中心的な役割を担う酵素について、疾患発症に関与する酵素情報のゲノムから個体に至る本質的・統合的な理解を目指す先端酵素学が必要です。本拠点では、医学領域の研究者コミュニティと連携して、先端酵素学を発展させ、同時に次世代を担う研究人材の育成を推進し、最終的には病気の克服に大きく貢献することを目的としています。
概要
最近の研究成果から免疫機能制御において代謝が重要な因子であること、免疫担当細胞の持続的活性化が糖尿病の発症要因となること、糖尿病や免疫低下が発癌要因となることなどがわかり、社会的に解決要請が大きい糖尿病や癌などの生活習慣病に共通する病態として慢性炎症が注目されています。そこで、共同利用・共同研究拠点に認定されている本研究所が中核となり、国内外の大学・研究機関・企業などと連携して、慢性炎症領域での創薬研究ネットワークを形成し、オミクス解析を駆使した効率的な創薬標的探索や高効率ノックアウトマウス作製による網羅的な表現型解析などを提供し、創薬新理論を構築する新規研究分野の創出や創薬イノベーションの実現を目指します。
共同研究の核となる研究部門の基幹研究部門(10研究室)、慢性炎症研究領域に取り組む重点研究部門(8研究室)、共同利用の核となる研究リソースや最先端の解析技術を提供する技術開発支援部門の6部門を設け、共同利用・共同研究の支援体制を確立しています。また、イノベーションコアユニットとして医・歯・薬学部や生物資源産業学部をはじめとする16研究ユニットを有する藤井節郎記念医科学センターおよび、臨床実証ユニットとして医学部、薬学部、大学病院など6分野をもつ糖尿病臨床・研究開発センターが附属施設として組織と機能の強化を図り、実施体制を整えています。
運営に当たっては、拠点施設の教員および酵素学研究と強く関連する基礎医学、疾患研究、薬学・創薬、基礎生物学コミュニティから選ばれた世界トップクラスの研究者5名を外部委員とする運営協議会を設置しています。
運営協議会は、研究内容から組織運営に関して助言を行うことを目的とし、各コミュニティからの意向を反映させるための外部研究機関有識者と本学研究担当理事および研究所教員で構成しています。運営協議会の下に共同研究委員会を置き、共同利用・共同研究の公募や実施にかかる支援などを機動的に行っています。