平成26年度徳島大学入学式式辞

平成26年4月7日(月曜日)

会場 アスティとくしま

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新入生の皆さんご入学おめでとうございます。また新入生のご家族や関係の皆様方に対し、徳島大学を代表いたしまして心よりご入学のお祝いとお慶びを申し上げます。

今、世界は大きく揺れており、また世界のあちらこちらに危機的状況が多くみられます。言い換えれば、急速に進むグローバル化と並行して、社会の複雑性、多様性が進行している現状において、世界レベルで解決しなければならない多くの問題が山積しています。

皆さんにはこのようなある意味混沌としている時代ですが、是非、有意義な4年間あるいは6年間、自分を見失うことなく楽しい学生生活を過ごされることを願っています。

現在、日本は大きな人口構造の変化が起きています。皆さんが生まれた1995年頃は、65歳以上の人口は約14%でしたが、現在は約25%です。

皆さんが30~40歳の働き盛りとなる2030年頃は約32%となり、いわゆる人口の3分の1が高齢者となります。すなわち、65歳以上人口を15~64歳人口で支える場合、現在約2.5人で支えているのが、2030年には約1.5人となります。

超高齢社会は世界に類をみない、日本が初めて経験することなので、どこにも参考となる事例はありません。すなわち、前例に照らしての対策は立てられません。新しくて前例がないものは、自分で考えるしかありません。

今まで皆さんは小中高を通じ、多くの「知識」を身につけてきました。しかし、その知識を生かしているでしょうか。「知っている」というだけでは本当の知識とは言えません。「知っていて行動できる。行動した。」という段階までいかないと知識を生かしている、知識を生かしたとは言えないのです。さらに、皆さんは今まで正解のある問題ばかり解いてきました。大学は自分で課題を見つけ、正解のない問題にどう対処するかを学ぶ場所です。単なる知識を詰め込むところではありません。

次に大切なことは、有り余る情報があふれている現在、情報に振り回されたりむやみに信じたりしないで、本物の情報を見分ける力が必要です。言い換えれば「よく考える」ことです。

自分のキャリアデザインを描きながら、常に自分のビジョン、すなわち自分の目的・目標の方向性は失われていないかを考え続ける必要があります。いつも考えている人は、感性が次第に磨かれていきます。感性が磨かれると「物事の判断」「何が本質か」「チャンスをとらえる力」の育成が可能になってきます。すなわち、自分のキャリアデザインを考えるとき、3つの「C」があると言われています。1つ目のCは「chance」運命の出会いを活かすことです。そして2つ目のCは「change」変化を恐れないことです。そしてそれを成し遂げるには「challenge」果敢に挑戦することも必要です。是非この3つの「C」を大事にしてください。

皆さんは今、入学してほっとしていると思います。また「勉強はいつでもできる」と思っていませんか。それは間違いです。人間として生まれた以上、人生から「勉強」は取り除くことはできません。学び続けることが重要なのです。

最後に、イギリスの探検家ラポックの言葉を贈ります。「他人と比較して、他人が自分より優れていたとしても、それは恥ではない。しかし、去年の自分より今年の自分が優れていないのは大いなる恥である」。

決してあくせくすることなく、ゆっくり腰を据え、自分のキャリアデザインを描きながら、たくさんの友人を作り、有意義な大学生活を送られることを祈念して、平成26年4月7日、皆さんの記念すべき入学式に際してのお祝いの言葉とします。

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最終更新日:2014年4月9日

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