心血管病における男性ホルモン(アンドロゲン)の役割の研究

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平成27年度 若手研究者学長表彰 研究成果報告

報告者

大学院医歯薬学研究部 血液・内分泌代謝内科学 講師 吉田守美子

 

研究タイトル

心血管病における男性ホルモン(アンドロゲン)の役割の研究

 

研究経緯・研究概要

近年、加齢に伴う更年期障害は、女性のみならず男性でも注目され、男性のアンドロゲン低下に関連して生じる諸病態は、「男性更年期」と提唱されている。男性でもアンドロゲン低下に伴って心血管病が増加することが報告されており、これらは更年期性心血管病というべき病態であり、アンドロゲンが心血管病の発症・進展に重要な役割を果たすことを示唆している。しかしながら、アンドロゲンの心臓・血管における作用機序の詳細は未だ不明な点が多い。

アンドロゲンは、主にアンドロゲン受容体(AR)を介してその生理作用を発揮するため、我々はAR欠損(ARKO)マウスを用いてアンドロゲンの心血管系組織における生理的意義の解析を行ってきた。これまでに、アンドロゲン-アンドロゲン受容体システムは、心臓成長に関与し、心血管リモデリングを抑制し(J Biol Chem. 2005, Endocrinology. 2009) 、心筋ミトコンドリア機能を保持し (Mol Endocrinol. 2010)、虚血ストレスに対して保護的に作用する(Circulation. 2013)ことを明らかにした。

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今後の展望(研究者からのコメント)

近年、マイクロRNAをはじめとする機能性RNAの発現異常が引き起こす"RNA疾患"が注目されていますが、がん進展における超保存領域の関与は未だほとんど明らかになっていません。今後は、癌に特異的に認められるT-UCRのスクリーニング及び新しい癌バイオマーカーとしての基盤技術の開発、さらにT-UCR RNAを標的とした核酸製剤への展開を目指しています。

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