平成30年度徳島大学卒業式・修了式式辞

平成31年3月22日(金曜日)
会場 アスティとくしま

平成30年度徳島大学卒業式・修了式式辞

徳島大学を代表いたしまして、学部卒業生の皆様、大学院修了生の皆様に、またご家族の皆様、関係者の皆様に、心からお祝いを申し上げます。ご卒業、修了、誠におめでとうございます。
多くの皆様が青春の最も多感な時期を徳島大学で過ごしていただきましたことに対して、本当に感謝いたします。ありがとうございました。
徳島大学は1949年に設立され、2019年に70周年を迎えます。本年、2019年には、70周年記念行事などを開催いたしますので、是非、参加してください。

これまでに、学部卒業生56,793名、大学院修了生16,004名で合計72,797名の多くの卒業生・修了生を送り出してきました。そのお一人が、本日来賓として御出席いただきました東原 敏昭(ひがしはら としあき)様です。
東原様は、現在、株式会社日立製作所取締役代表執行役執行役社長兼CEOでいらっしゃいます。徳島県小松島市のご出身で、阿南工業高等専門学校を修了後、1977年徳島大学工学部電気工学科卒業。学部の同期には2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二カリフォルニア大学教授がおられます。大学卒業後日立製作所入社。1990年ボストン大学コンピュータサイエンス学科大学院を修了しておられます。後ほど、ご祝辞をいただきます。

さて、本日は、お祝いにあたり、3つの言葉を贈ります。

(1) あなたの体は、あなたが食べたものでできている。
(2) 心は、聞いた言葉でできている。
(3) 未来は、話した言葉で作られる。

これは、北原照久氏(株式会社トーイズ代表取締役)の言葉ですが、非常に奥の深い言葉です。
(1)については、解説の必要はないでしょう。例えば、硬い骨でさえ、骨を吸収する破骨細胞と骨を作る骨芽細胞によって2〜4ヶ月の周期で、リモデリングされているのです。皮膚は28日周期で、血液は約4ヶ月、毛は4〜6年を1サイクルとして入れ替わります。一度破壊された筋細胞は、時間をかけて以前より強靭な状態に生まれ変り再生されます。このメカニズムは「超回復」と呼ばれています。筋肉を増加させるには、筋肉の破壊と修復による回復を繰り返さなければなりません。このような組織は、食べた食事の成分から構成されます。
(2)の心というのは、脳の機能の話です。我々人類は高度な機能を有する脳をもっています。この脳を生かすか殺すかは、良い入力があるかどうかで決まります。例えば、極端な例ですが、もし、あなたが、「あなたは天才ですね」と言って育てられた場合と、「あなたは馬鹿ですね」と言って育てられた場合を想定してください。成長したあなたの心は大きく変わることが想像できるでしょう。これは、例えば、よい講義を聞いて勉強するのと、悪い講義を聞いて勉強する場合にも当てはまります。また、良い本を読むのと、悪い本を読む場合も同じです。つまり、あなたの脳はあなたが入力した情報により、できているのです。先生の言葉が、生徒や学生の心あるいは脳を作るのです。
(3)は少し解説が必要でしょう。もし、あなたが実現したい夢があれば、その夢を言葉にしましょう。その夢を書いてみましょう。その夢をみんなに話してみましょう。そうすれば、夢は実現してゆきます。なぜでしょうか?前田裕二氏は、彼の本「メモの魔力」(幻冬舎、2018)で、次のように書いています。「夢を言葉にすることにより、そのことが潜在意識に刷り込まれるのです。いつも夢のことを考えることが増えることにより、実現する確率が高くなるのです。」少し実験をしてみましょう。今から、10秒の間に自分の夢を言葉にしてみてください。10秒測ります。どうですか? この10秒の間にきちっと自分の言葉で夢を話せた方は、夢を実現する確率が高いでしょう。でも、何も具体的に語れなかった人は、そもそも夢などということを考えたこともないのかもしれません。夢がなければ夢が叶うことはありません。

わたしはこれまで、ビジョンを持つ必要性を述べてきました。夢を形にしたものをビジョンと言うようですが、夢もビジョンも生きる方向を示すものです。生きる方向がわからなくては、明日どちらの方向に歩き出したら良いのかわかりません。是非、大きな夢・ビジョンを持って、それを10秒間で言える言葉にしてください。前田裕二氏は、「流れ星に願い事をすると、実現する」と言われていますが、彼は、それは事実で、「短時間に語れる願いを持っているからである」と本に書いています。

結びになりますが、皆様も、失敗を恐れずに、是非大きな夢やビジョンにチャレンジして、自ら未来を創造してください。
以上、私の式辞にいたします。本日はおめでとうございます。

最終更新日:2019年3月26日

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