令和4年度徳島大学入学式式辞

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令和4年度徳島大学入学式式辞

令和4年4月6日
徳島大学長 河村保彦
 

 本日、徳島大学に入学された1333名の学部新入生、573名の大学院入学生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。日々の高校生活はもちろんのこと、大学受験にあっては新型コロナウイルス感染症の影響で大変苦労されたことと思います。その健闘を大いに称えたいと思います。これからの新たな出会いと学び、学生生活への期待で大いに胸が膨らんでいることでしょう。本日はご来賓ならびに本学教職員とともに、皆さんの入学を心よりお祝い申し上げます。 同時に、これまで皆さんを支えてこられましたご家族や関係者の皆様にお慶び申し上げます。 
 さて、ここ徳島は、四国三郎吉野川の河口扇状地に広がり、北は鳴門海峡、東は紀伊水道を介して太平洋を臨みます。街の西方には万葉集に詠まれた眉山がある風光明媚で、歴史的背景にも富んだ地です。皆さんが入学されるこの時期は、大学構内はもちろん、市内各所で桜を楽しめるとともに、次いですぐ木々が芽吹き周囲の山々が緑を競い合います。このように徳島は自然がとても身近で、これから大学生活を謳歌しようとする皆さんの気持ちを癒したり弾ませたりしてくれることと思います。

 徳島大学は、昭和24年(1949年)5月に新制大学として発足し、令和元年(2019年)には70周年を祝うことができました。現在、6学部、6大学院研究科や教養教育院、附属図書館のほか、大学病院と国内唯一の大学産業院、多数の研究所等を有する総合大学です。特に、四国地域では唯一、医学、歯学、薬学の医療系3学部を有するとともに、理工学部は学生数、教員数とも中国四国地域で有数の規模を誇ります。さらに、農学系を基盤とした6次産業化人材の育成を目指す斬新な生物資源産業学部と、理系分野に強みを有する大学です。また、文系分野の総合科学部では、現代社会の諸問題や地域の課題解決に対応できる人材養成を目指したユニークな教育研究を行っています。

 徳島大学では学生の皆さんが主役です。そして、皆さんが今後社会のあらゆる分野のリーダーとして活躍できるよう、様々な分野の優れた教員と皆さんを支援するスタッフ、さらに研究の推進や各分野で必要なスキルを身につけるための先端設備を用意しています。

 国立大学は、2004年(平成16年)に法人化されました。この国立大学法人では6年を1期とし、中期目標・中期計画を策定し文部科学大臣の認可のもと、大学運営に努めています。この4月からは第4期がスタートし、皆さんはその第1期生となります。前年度までの第3期、徳島大学では大学の研究成果を社会へ還元する仕組みづくりと、学生の皆さんがより良い教育研究環境の下で勉学に励むことができる体制づくりを進めてきました。第4期は、大学でしかできないこと、すなわち基礎研究に力点を置き、研究成果の応用や社会への実装を目指します。さらに新たな産業を興す、いわゆる「起業」などのスパイスを効かせた学びの機会を提供します。

 我が国は第二次世界大戦の後、紆余曲折を経て成熟した社会となりましたが、現代社会もまた簡単には解決できない課題が山積しています。多くは地球環境の悪化や地震、民族間・国家間の対立や格差社会など地球規模の課題です。日々目の当たりにする戦闘の報道に心を痛めている方も多いでしょう。新型コロナウイルスもまだ収束は見通せず、目に見えない敵との戦いは続いています。こうした複雑な課題の解答はどこにあるのか、皆さんにはそのソリューションを求められています。大学入試までは常に正解がありましたが、世の中は正解のない課題で満ち溢れています。この課題への取り組みは、人間ならではのクリエイティブかつチャレンジングな取り組みです。遠くから眺める山々はとても美しいもので、私たちの心を癒してくれます。しかし高みに登り詰め、次元の異なる感嘆する風景を楽しむためには、その道中は厳しいものです。時には道に迷ってしまうこともあります。そして、そうした努力はいつも実を結ぶとは限らない。でも努力したことは決して裏切りません。皆さんの将来に結びつく力を必ずや与えてくれます。皆さんは若く力に満ち溢れています。大いにチャレンジをしましょう。それが世の中を変えていきます。人それぞれ違っていい。皆さん一人一人が徳島大学の主役として輝いていただきたいと切に願います。

 鎌倉時代に、鴨長明は方丈記で「行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」と記しました。この一節は、世の無常観を述べたものですが、生々流転を見事に表現しています。私たちの生きる現代社会の状況にも良く当てはまります。こうした不確実で変化しやすい世の中を乗り切っていける力を大学生活を通じて培ってください。このたび、人生の最も感受性豊かで成長できる時期に、徳島大学ならびに大学院で学ばれる皆さんを心から歓迎します。さあ、大学生活という旅が始まります。支えて下さっている方々への感謝の心を忘れず、志を高く持ち、良く考え、その上でフットワーク軽く行動することを信条として、皆さんの大学生活を始めましょう!徳島大学は皆さんに寄り添い、全力でサポートします。これからの大学生活が、皆さんの輝かしい人生の礎となることを祈念しまして式辞とします。
 新入生の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。


 

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