はじめに

徳島大学は、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの第11期事業年度の財務諸表を作成し、これに事業報告書、決算報告書、監査報告及び会計監査報告を添えて文部科学大臣に提出しておりました。
この度、平成27年8月31日付けで文部科学大臣の承認を得ましたので、決算の概要とともにご報告いたします。

財政状態

徳島大学の財政状態を表す貸借対照表は、平成27年3月31日における全ての資産、負債及び純資産を記載しています。

(資産の部)

資産の総額は約1,190.0億円であり、前年度に対して約16.5億円(約1.4%)増加しています。主な増加要因としては、建物・建物附属設備・構築物として工学部のフロンティア研究センターの新営により約7.7億円、医学部・病院の総合研究棟の新営により約3.7億円、次に工具器具及び備品として病院のPET-CT診断システムの整備により約5.7億円、その他として病院の外来診療棟新営等の前払金の増加により約30.7億円などが挙げられます。一方で主な減少要因としては、減価償却により償却資産の価値が約36.2億円減少したことなどが挙げられます。

(負債の部)

負債の総額は約538.3億円であり、前年度に対して約8.9億円(約1.7%)増加しています。主な増加要因としては、病院の外来診療棟の新営及び医療設備の整備のために国立大学財務・経営センターからの借入金が約29.9億円、固定資産の購入による未払金が約2.5億円増加したことなどが挙げられます。一方で主な減少要因としては、法人化以前に病院の建物や医療設備充実のために借り入れた国立大学財務・経営センター債務負担金の残高が約12.3億円減少したことなどが挙げられます。

(純資産の部)

純資産の部の総額は約651.7億円であり、前年度に対して約7.6億円(約1.2%)増加しています。内訳として資本金は約467.3億円ですが、土地の譲渡により前年度に対して約0.1億円減少しています。次に資本剰余金は約94.6億円ですが、施設整備費補助金による資産を取得していますが減価償却費がこれを上回ったために前年度に対して約3.1億円減少しています。続いて利益剰余金は約89.8億円であり、そのうち前中期目標期間繰越積立金が約34.2億円、教育研究診療等積立金が約1.3億円、積立金が約43.4億円、当期未処分利益が約10.8億円となっています。当期未処分利益については前年度に対して約6.0億円増加しています。

運営状況

徳島大学の運営状況を表す損益計算書は、一事業年度内に実施した事業等から発生する全ての費用とこれに対応する全ての収益を記載しています。国立大学法人の会計は、企業会計原則に基づいて行いますが経営成績を明らかにする企業会計とは異なり、公共的な性格を有すること、利益の獲得を目的としないこと、独立採算制を前提としないことなどから、経営成績ではなく運営状況を明らかにするための損益計算となっています。

(費用)

経常費用の総額は約422.0億円であり、前年度に対して約12.2億円(約3.0%)増加しています。主な費用の構成は、人件費が約204.0億円で全体の約48.3%、診療経費が約138.3億円で全体の約32.8%、教育・研究・支援経費が約47.5億円で全体の約11.3%となっています。
主な増加要因としては、東日本大震災に係る臨時特例法の終了に伴う給与の増加等により約8.9億円、非常勤教職員の人員増等により約3.3億円、病院収益の増に伴い診療経費が約3.2億円増加したことなどが挙げられます。また、主な減少要因としては、教職員への退職手当が約3.1億円、環境整備のための修繕費が約1.8億円減少したことなどが挙げられます。

(収益)

経常収益の総額は約436.2億円であり、前年度に対して約20.5億円(約4.9%)増加しています。主な経常収益の構成は、運営費交付金収益が約120.7億円で全体の約27.7%、学生納付金収益(授業料、入学金、検定料収益)が約43.9億円で全体の約10.1%、附属病院収益が約211.5億円で全体の約48.5%となっています。
主な増加要因としては、東日本大震災に係る臨時特例法の終了に伴う交付額の増加等により運営費交付金収益が約8.9億円、病院において入院患者の平均在院日数の短縮及び手術件数の増等により附属病院収益が約2.7億円、補助金の受入額の増加等により補助金収益が約1.9億円増加したことなどが挙げられます。また、主な減少要因としては、大学改革促進係数(▲1.3%)及び退職手当等の特殊要因経費の減額による運営費交付金の減少等により運営費交付金収益が約2.3億円減少したことなどが挙げられます。

(当期純利益)

当期総利益は約10.8億円であり、前年度に対して約6.0億円(約122.4%)増加しています。

おわりに

本事業年度は、約10.8億円の利益を計上していますが、病院収益等の増加、業務の見直しによる経費の節減などの経営努力による利益のほかに、国立大学法人における固有の会計処理による非資金的項目も含まれております。このうち経営努力によって生じた利益については、目的積立金として文部科学大臣の承認を受けた後、中期計画の確実な実施のため効率的な活用を図っていくこととしております。
一方で財政基盤を支える運営費交付金については、毎年減額されている状況であり、徳島大学を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。
このような状況のもとで、「知を創り、地域に生き、世界にはばたく徳島大学」として、教育・研究・社会貢献及び診療の各分野にわたって、その充実と不断の見直し・改善や機能強化を図り、国立大学としての使命を果たすためには安定した財政基盤が必須であるため、引き続き、経費の節減、自己収入の増加及び競争的資金を獲得するなど財政運営の強化に努めて参りますので、今後ともご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

最終更新日:2015年9月18日

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