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口腔から、全身の健康を支える  四国唯一の歯学部が歩んだ半世紀~徳島大学歯学部創立50周年記念湯本浩通学部長インタビュー~ 後編

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地域に根ざした歯科医療人の育成を使命に歩んできた徳島大学歯学部。その挑戦は、世界との学術交流や卒業生との強固なネットワークによってさらに広がりをみせています。創立50周年を迎えた今、「口腔から、全身の健康を支える」をテーマに掲げ、教育・研究・地域貢献のさらなる発展を目指す徳島大学歯学部。湯本浩通学部長に、国際交流や同窓会とのつながり、そして次の50年に向けた展望と記念事業への思いを伺いました。

前編はこちら>>湯本浩通学部長インタビュー前編

(「とくtalk」2026年秋号掲載/取材2026年7月)

世界とつながる歯学教育・研究の展開

徳島大学歯学部の50年の歩みは、地域に根ざした歯科医療人の育成だけでなく、世界との交流を通じた教育・研究の発展にも支えられてきました。
その一つが、モンゴルとの長年にわたる学術交流です。交流の礎を築いたのは、西野瑞穗先生でした。西野先生が歯科分野における交流の架け橋を築いたことをきっかけに、両国の歯学教育・研究の交流は発展し、現在まで継続しています。徳島大学とモンゴル国立医科大学は学術交流協定を締結しており、教育・研究分野での連携を深めています。
近年では、モンゴル国立医科大学との交流20周年を迎え、これまで積み重ねてきた教育・研究交流の歩みが改めて確認されました。また、長年にわたる医療・保健分野への貢献が評価され、徳島大学歯学部関係者にモンゴル国保健省から感謝状が贈呈されるなど、両国のつながりはさらに深まっています。
「モンゴルとの歯科分野における交流は現在も続いています。長い年月をかけて築かれた大切な国際的なつながりです。また、徳島大学歯学部では海外から多くの留学生を受け入れ、国際色豊かな教育環境を形成しています。留学生はインドネシア、中国、モンゴルなどアジア地域から来られる方が多く、大学院生全体の2~3割程度を占めています。さらに、チリやブラジルなど南米から学びに来られる方もいます」。
異なる文化や背景を持つ学生がともに学ぶ環境は、学生や研究者の国際的な視野を広げる貴重な機会となっています。

蔵歯会が支える歯学部のネットワーク

徳島大学歯学部の50年の歩みを支えてきた大きな財産の一つが、卒業生との強いネットワークです。教育改革や学部間連携など、さまざまな取組を進める中でも、卒業生や同窓生とのつながりが大きな力となってきました。
その中心となっているのが、歯学部同窓会「蔵歯会」です。卒業生は、地域の開業医をはじめ、研究機関、医療機関、教育機関、行政など幅広い分野で活躍しており、後輩たちの進路を支える役割も担っています。
「学生の進路選択を支援するため、年に1回、進学・就職ガイダンスを開催しています。大学教員だけでなく、徳島県内を含む近隣で開業されている先生方や、研究施設、臨床施設、教育機関、行政などで活躍されている卒業生を招き、学生に卒業後のさまざまな進路について知ってもらう機会を設けています」。
新型コロナウイルス感染症の影響で一時中断していましたが、昨年度から再開し、卒業生と在学生が直接交流できる機会を大切にしています。また、同窓会では毎年、卒業生が集う交流の場も設け、世代を超えたつながりを育んでいます。
「卒業後も交流が続いていることは、本学部の大きな特徴だと思います。歯学部は1学年約55名と規模が小さい分、学生同士や卒業生との距離が近く、まとまりやすいという良さがあります。6年間又は4年間、同じ仲間と学び続けるため、互いの関係も深まり、そのつながりが卒業後にも生きています」。

口腔から、全身の健康を支える 次の50年へ向けた展望

徳島大学歯学部がこれから目指す未来は、「口腔から、全身の健康を支える」歯科医療の実現です。
「私が学生だった頃は、口の疾患は口の中の病気として学んでいました。しかし現在では、口腔の健康や機能が全身の健康と深く関わっていることが明らかになっています。人は口から栄養を取り入れなければ健康を維持することはできません。歯科医師の役割も、単に口の中を治療するだけではなく、生涯にわたって口から食べることを支え、全身の健康に関わっていくことへと広がっています」。
こうした思いから創立50周年記念事業では、「口腔から全身の健康を支える」というテーマを掲げ、これからの時代を担う歯科医療人の育成、研究の推進、地域への貢献に取り組んでいます。
その中でも重要な取組の一つが、災害時における口腔ケア体制の構築です。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害が想定される中、避難生活では口腔環境の悪化による誤嚥性肺炎のリスクが高まることが知られています。特に高齢者にとって、口腔ケアは命を守るための重要な支援となります。
「50周年記念事業の柱の一つとして、『命を衛る(まもる)地域貢献』を掲げています。災害時に適切な口腔ケアを提供できる人材の育成や、支援体制の構築を進めていきたいと考えています」。
災害時の重要な役割として、歯科情報を活用した身元確認体制の整備も挙げられます。
「歯の治療痕や歯並びなどの口腔内情報は、指紋と同様に個人識別において非常に重要な情報です。震災などで亡くなられた方の身元確認だけでなく、認知症の方の身元特定にも活用できます。今後は、歯科医院が保有する診療情報や口腔内画像をデータベース化し、AIを活用して照合するシステムの構築も視野に入れています。
これは次の50年と言わず、喫緊の課題であり、歯科医師会や行政とも連携しながら進めていく必要があると考えています」。

徳島大学歯学部創立50周年記念事業について

記念すべき節目にあたり、徳島大学歯学部では、創立50周年記念事業として、教育・研究・地域貢献をさらに発展させるための基金を設立するとともに、創立50周年記念誌の編纂、各種記念行事を予定しています。
記念事業では、令和8年11月21日(土)・22日(日)の2日間、蔵本キャンパス及びJRホテルクレメント徳島を会場として、国際シンポジウム、ホームカミングデー、記念講演会、記念式典、祝賀会など、さまざまな行事を開催します。
「1日目の21日(土)は、蔵本キャンパスにおいて国際シンポジウムを開催し、国内外から研究者を招き、大学院生や学部学生による研究成果の発表、本学卒業生を含む各分野の研究者・臨床家による講演を通じて、活発な学術交流を行います。
また、午後にはホームカミングデーを開催し、改修された歯学部校舎をはじめ、変貌を遂げた蔵本キャンパスを卒業生の皆様にご覧いただく機会を設けます。歯科関連企業による展示も予定しており、卒業生や関係者との交流を深める場として開催いたします。2日目の22日(日)には、JRホテルクレメント徳島において、市民公開講座、記念講演会、記念式典、祝賀会を開催いたします。
市民公開講座では、『未来の口腔ケアが変わる!除菌消臭成分M-AT®との出会いとその可能性』をテーマに、本学歯学部卒業生である大阪大学の阪井教授による講演を予定しております。市民の皆様にも広くご参加いただける機会として、多くの方のご来場をお待ちしております。


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■徳島大学歯学部創立50周年記念事業 市民公開講座

https://www.tokushima-u.ac.jp/docs/72224.html

記念講演会では、本学卒業生で、歯の再生治療として注目される“歯生え薬”の開発に取り組み、臨床試験段階まで研究を進めている高橋先生による講演、また、行政歯科医師として活躍されている奥田先生による、近年の歯科保健医療の動向や地方自治体における取組についての講演を予定しております。
さらに、記念祝賀会では、歯学部卒業生である佐伯先生が歯科医師として診療活動を行いながら結成したロックユニット『パール兄弟』による演奏も予定しております。

また、本記念事業の一環として、『徳島大学歯学部創立50周年記念事業基金』を設立いたしました。本基金には、すでに多くの皆様から温かいご支援とご寄付を賜っております。
皆様からお寄せいただいたご厚志を活用し、「次の50年も口腔から未来を支え続ける」という決意のもと、
・未来を育てる教育
・世界を拓く研究
・命を衛る地域貢献

の3つを柱として、さまざまな事業を推進してまいります。
具体的には、教育拠点の整備による教育環境の充実、研究基盤の強化、奨学金制度の充実による人材育成、世界水準の歯科医学研究によるイノベーション創出を進めてまいります。
徳島大学歯学部が50年にわたり築いてきた教育・研究・地域貢献の歩みは、多くの卒業生や地域の皆様の支えによって育まれてきました。そして今、『口腔から、全身の健康を支える』という新たな理念のもと、次の50年へ向けた挑戦が始まろうとしています。四国唯一の歯学部として地域に果たしてきた役割をさらに発展させ、未来の歯科医療人を育み続けるために、創立50周年記念事業基金へのご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

■徳島大学歯学部創立50周年記念事業基金

https://giving.honbu.tokushima-u.ac.jp/project/242622.html
 

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