新入生へのメッセージ/挑戦する大学生活のすすめ Vol.4 平尾 咲良さん (総合科学部 社会総合科学科 1年)
徳島大学とTIB(Tokushima Innovation Base)の連携事業「TIB学生ビジネスプランピッチ大会」に挑戦した学生に、出場を通して得た学びや気づきを聞きました。メンターからのフィードバック、そして磨き上げたビジネスプランの裏側など、挑戦のプロセスで見えたのは、大学生活をどう主体的にデザインするかという視点でした。新入生へのメッセージとともに紹介します。
(本文中の所属及び学年表記は取材時点のものです。 取材/2026年3月)
「TIB学生ビジネスプランピッチ大会」当日の様子はこちら
平尾 咲良さん (総合科学部 社会総合科学科 1年)
次世代タンパク質「マイコプロテイン」の培養事業を提案した平尾さん。最優秀賞を受賞した後、マイコプロテイン発祥の地であるイギリスへ向かい、オックスフォード大学でビジネスプランをブラッシュアップ。その後、TIB最優秀賞の特典として韓国を訪問。発酵文化の現場を体感するとともに、
徳島の未利用資源を活用し、世界のタンパク質危機を救う
---最優秀賞を受賞されたプロジェクトについて改めて教えてください。
平尾さん 近い将来、世界的な人口増加によりタンパク質の供給が追いつかなくなる「プロテインクライシス」が到来するといわれています。食肉価格の高騰や食の格差の拡大が懸念される一方で、既存の代替肉は味やコストの面で課題があり、決定的な解決策には至っていません。新たな解決策として、徳島県内で害獣として処分される鹿や酒造りの過程で生まれる酒粕、休耕地などの農業には適さない土地でも育つ雑穀、後継者不足などが原因で利用されなくなった酒蔵といった設備も含めた未利用資源を活用できないかと考えました。

---中でも使われなくなった酒蔵の発酵設備を活用して酒粕から作る「マイコプロテイン」の話が印象に残りました。とても美味しいそうですね?
平尾さん そうなんです。マイコプロテインは菌類から作られるタンパク質で、鶏肉のような食感です。美味しく、ヘルシーで、環境負荷も低い次世代の肉として期待されています。
---ピッチ大会後、マイコプロテイン発祥の地イギリスにも行かれていたと伺いました。
平尾さん イギリスではコンビニエンスストアのようなところでもマイコプロテインが販売されています。ミートソースやチーズボールなど、いろいろな料理に使われていて、味も確かという印象でした。
推しは河村学長!学長に直接プランを届けたいという思いが出場のきっかけ
---使われていない酒蔵を活用し、初期投資を抑える工夫により、利益率35%を超える見込みであるという、具体的な数字を示したプレゼンも関心を集めました。
平尾さん 以前、「まちしごとファクトリー」(徳島大学、徳島新聞社、徳島県信用保証協会の連携事業。地域で仕事を生み出し、地域を変える取組を支えながら、新しい担い手を育てる場)に参加したときに聞いた話を参考にさせていただきました。計算方法なども教えてもらったので、それを少し応用して取り入れました。酒蔵には温度管理・衛生管理・発酵設備がすでに整っており、そのままマイコプロテインの培養施設としても活用できます。新たに工場を建設するには数億円から数十億円の投資が必要ですが、既存設備を転用することで低コストでの事業化が可能と考えています。
---ピッチ大会に出場されたのは、もともと起業への関心が高かったからでしょうか?
平尾さん 大会に出場しようと思った理由は二つあります。一つは、河村学長の大変なファンで、学長に直接事業プランを聞いていただける貴重な機会だと思ったからです。もう一つは、徳島で若者や学生の挑戦を発信するローカルフリーマガジン・WEBメディア『AWAP』を運営する浅野さんから、「ピッチ大会があるよ」と教えていただいたことも出場の後押しになりました。浅野さんとは、以前取材をきっかけに知り合いました。
---受賞の際、「浅野さんがメンターとして支えてくれたことがとても心強かった」とお話しされていましたね。浅野さんのメンタリングのどのような点が印象に残っていますか。
平尾さん すべてです。私が「こういうイベントに参加してきました」「こんな学びがありました」と話すと、いつも「すごいね」と心から褒めてくださって。この人なら自分の考えていることを気兼ねせず話しても大丈夫。受け止めてくれる」という安心感がありました。親身になって伴走してくださっていることが、日々の声掛けなど、言葉の端々や行動からも感じられましたし、プレゼンの構成をどうしようかと悩んだときには、雑誌編集の手法を生かして項目を整理して提案いただいたり、実践的にサポートしていただくこともありました。浅野さんのおかげでいいプレゼンができたと思います。

新入生へのメッセージ
平尾さん 徳島には、挑戦すればするほど応援してくださる人が増えていく、素晴らしい土壌があると思います。失敗を恐れずにアクションを起こし、自分の力を最大限に発揮して、大学生だからこそできることにどんどん挑戦してほしいと思います。
---今後、この事業をさらにブラッシュアップして、将来的には起業される予定ですか?
平尾さん 3月~4月頃を目途に会社を設立する予定です。今回、最優秀賞を受賞したことで学生起業アワードへの出場も決まり、そうした機会を通じて事業の発信をさらに進めていきたいと考えています。プロジェクトの実現に向けて、発酵学や社会実装の専門家である教授陣、技術を支える大学院生、さらに地域の農家や漁師の方々と連携したチームを構築していく予定です。そうしたネットワーク構築のため、学内の研究室にも相談しながら、どの研究室と協働できるのかを検討し、大学の知見と地域の力を結びつけた社会実装を進めていきたいと考えています。TIBとの関わりで生まれた新たなつながりも生かし、前向きに行動しながら、プロジェクトの実現に向けて進んでいけたらと思います。




