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【イベントレポート】徳島から世界へ!「TIB学生ビジネスプランピッチ大会」に見るイノベーションの芽

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2026年2月13日、徳島大学と一般社団法人徳島イノベーションベース(TIB)の連携事業として「学生ビジネスプランピッチ大会」が開催されました。「イノベーションの芽」を象徴する本大会は、学生自身が創出したビジネスプランに徳島県内の経営者から直接フィードバックを受けることができる実践型プログラムとして位置づけられています。地域に根ざした視点と、社会を変えるスケールの発想とが交差する場として、毎年恒例の開催となっています。2025年度のTIBのテーマは「ナイストライ!TIB!」。失敗を恐れず挑戦する姿勢を称え合いながら、ビジネスモデルを磨き上げ、実行へと移す力を養う――そんな熱いメッセージに彩られた大会となりました。

(本文中の所属及び学年表記は取材時点のものです。)

TIBは徳島で「起業家が起業家を生み育てる」拠点

TIBは、徳島から世界へ羽ばたく起業家やリーダーを育成する支援プラットフォームです。一般社団法人徳島新聞社、四国放送株式会社、株式会社阿波銀行、株式会社徳島大正銀行、株式会社メディアドゥの5社が共同で設立し、株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEO藤田 恭嗣 氏(徳島県那賀町出身)が代表理事を務めています。
徳島県内の起業家や社会人、学生などアントレプレナーシップ(起業家精神)を持つ人たちが集い、会員数は2026年2月現在400名にまで達しています。
徳島大学とも連携し、通年の単位認定授業「テクノロジーとビジネス」を実施するなど、地方にいながら世界水準のアントレプレナーシップに触れられる、他に類を見ない環境が整っています。将来、起業を志す学生はもちろん、社会を動かす実行力を身につけたい学生にとって、自らの可能性を大きく広げる拠点としても注目されています。
さらに、TIBの特色のひとつに、世界的な起業家組織「EO」(Entrepreneurs'Organization)との連携があります。年商1億円を超える経営者たちが会員となっている「EO」のメソッドを導入し、経営者のリアルな知見を直接学べる実践的な仕組みを構築しています。

世界への登竜門「GSEA」連動と豪華な副賞

今回のピッチ大会は、例年以上に「世界」を意識した枠組みへと進化しました。世界最大級の学生起業家アワード「GSEA(Global Student Entrepreneur Awards)」の徳島県代表選考を兼ねており、世界への挑戦につながる機会が設けられています。
また、最優秀賞・優秀賞・徳島市長賞の三賞が設けられ、それぞれに起業支援金が授与されます。最優秀賞受賞者は副賞として起業支援金のほか、GSEA中四国大会の出場権を獲得することができます。GSEAは「EO」が主催する大学生・大学院生を対象とした世界最大級の学生起業家コンテストで、世界50ヵ国以上から参加する学生と交流できる「学生起業家の登竜門」としても知られています。
さらに今年度は、徳島県から「徳島―ソウル往復ペア航空券」が副賞として贈られます。「韓国の最新トレンドを吸収し、ビジネスのヒントを持ち帰ってほしい」という徳島県 経済産業部長 黄田 隆史 氏からの激励を受け、会場の熱気とともに白熱のピッチが幕を開けました。

7名の登壇者による6つのビジネスプラン

学生たちの持ち時間は5分。この制限時間を10秒でも超過すれば、即座に減点・強制終了となります。緊張感に包まれつつも、登壇者たちは限られた時間に思いと構想を凝縮し、それぞれの事業プランについて熱意あふれるプレゼンテーションを行いました。

【1】 羅 俊斗さん(徳島大学 理工学部 理工学科 4年) 

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「孤独をスポーツで解消する」をテーマに、スポーツ仲間とのSNS型マッチングアプリを提案。既存のマッチングアプリが抱える「相手がわからない不安」を、動画や画像による雰囲気の可視化で解消します。広告収益モデルを軸に、スポーツ観戦仲間への拡張や地域定着も視野に入れた、等身大の課題解決策でした。

【2】 平尾 咲良さん (徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 1年 )

徳島の未利用資源(鹿肉、酒造設備、休耕地の雑穀、酒粕)を組み合わせ、「マイコプロテイン(菌類由来のタンパク質)」という次世代の肉を培養するプロジェクトを発表。現在は使用されていない既存の酒造設備を転用することで、数億から数十億円かかる初期投資を抑える高収益モデル(利益率35%超)を提示。平尾さんはイギリスでのフィールドワークも予定しており、グローバルな視点が光りました。

【3】 北辰 大空さん (徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 3年)

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対人関係の課題による離職を防ぐため、公認心理師が地域に密着してカウンセリングを提供する事業プラン。2028年には従業員50人未満の事業所でもストレスチェックが義務化されることから、中小企業を主なターゲットに据え、大手企業には実現しにくい公認心理師による「対面による全従業員面談」を強みとしています。北辰さんは、心理学を本格的に学びたいという強い思いから徳島大学を再受験。その実体験に裏打ちされた視点が提案に厚みを与えていました。

【4】 楠本 冴伊さん(徳島大学 歯学部 歯学科 1年)、池田 大智さん(徳島大学 理工学部 理工学科 2年)

人材確保に苦戦する地元企業に対し、「徳島には魅力的な企業が数多くあるにもかかわらず、その存在が学生に十分届いていない」という現状を鋭く提示。その課題解決策として、学内限定のクローズドSNSを立ち上げる構想を打ち出しました。SNSを学生の日常的なコミュニケーション基盤として活用し、本音や関心を可視化。そこから得られる情報をもとに、Z世代の視点を生かした採用支援を提案。企業側からの一方的な情報発信ではなく、学生との自然な接点を生み出す仕組みづくりを重視し、継続的なコミュニケーションを通じて企業への「ファン化」を促進する点が特徴で、地域企業からも高い関心を集めました。

【5】 辻 彩音さん (徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 1年)

農家の高齢化による耕作放棄地の増加という課題に対し、農地マッチングアプリ「つなぐ」を提案。貸し手と借り手の条件ミスマッチを解消するため、大規模農業法人が求める倉庫・輸送効率・整備状況まで調査し、行政交渉を済ませた“即戦力物件”として提供するプランを提示しました。さらに、借り手の信頼性を多角的に可視化し、地主の不安を解消。需要先行型モデルとして具体的な借り手の支払意向も確認済みで、徳島から全国へ展開可能な高い成長性を描く構想です。

【6】  岡山 蒼衣さん(高知工科大学 情報学群 4年)

岡山さんは阿南市出身で、高知イノベーションベース(KOIB)に所属しています。AIを活用した日報代替型の1on1支援ツールを提案。若手社員が日常的に入力する内容から本音をデータとして抽出し、AIがネガティブな感情をポジティブな表現に翻訳したうえで、経営層に対して具体的なアクションプランを提示する仕組みです。Z世代の感性とAI技術を掛け合わせ、心理的安全性を担保した設計が特徴です。現在は企業向けSaaSとしての展開を想定していますが、将来的には学生時代からのデータも含めて蓄積し、学生の成長プロセス全体をデータ化。企業と学生の単なる採用マッチングにとどまらず、より深い理解に基づいた人材配置の実現を目指します。

特別審査員講評 視座を引き上げ、ピボット(方向転換)を恐れるな

学生たちの熱のこもったプレゼンテーションが終了すると、特別審査員から講評と感想が述べられました。各発表の着眼点や市場分析、実現可能性について具体的なコメントが寄せられ、さらなるブラッシュアップへの期待を込めた示唆が示されました。
特別審査員を務めたのは、河村 保彦 学長(徳島大学)、吉積 礼敏氏(クラウドエース株式会社 代表取締役社長兼会長)、三木 義和 氏(株式会社情熱カンパニー 代表取締役社長)の3名です。
総評として示されたのは、「視座をさらに引き上げること」「ピボット(方向転換)を恐れないこと」「目の前の課題解決にとどまらず、社会全体の構造や市場のダイナミクスを見据えたスケールで構想を描くこと」。そして、「仮説が現実とずれたときには固執せず、柔軟に方向転換する勇気を持つこと」。挑戦を続ける起業家に不可欠な視点が、参加学生たちへ力強く投げかけられました。
そして今回、最優秀賞に輝いたのは徳島大学 総合科学部 社会総合科学科 1年 平尾咲良さん!
 

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平尾さんは「このような栄えある賞をいただき、心より光栄に思います。今日この場で発表できたこと、そして皆さまからいただいた熱量やフィードバックを大きな糧に、現地でも挑戦を続けていきたいと思います。本日は途中で退席してしまいましたが、兵庫から父が駆けつけてくれました。本当にうれしく、感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語りました。
さらに、河村学長の大ファンで、「もしお会いできたらぜひ写真をお願いしたいと思っていました。今日こうして夢が叶い、大変興奮しています」と笑顔を見せ、会場はあたたかな拍手で包まれました。

 

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TIBでは、学生会員を随時募集しています。起業を志す学生はもちろん、ビジネスの最前線に触れたい人、実践を通して視座を高めたい人にとって、経営者と直接対話しながら学べる貴重な機会が広がっています。詳細な内容や会員登録の方法については、TIBの公式ホームページをご確認ください。
来年度も、学生ビジネスプランピッチ大会の開催が予定されています。熱い想いをもった学生の皆さんは、ぜひ次回の「学生ビジネスプランピッチ大会コンテスト」に挑戦してみてください。


一般社団法人徳島イノベーションベース 公式ホームページ
https://tibase.jp/

 

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