新入生へのメッセージ/挑戦する大学生活のすすめ Vol.2 北辰 大空さん (総合科学部 社会総合科学科 3年)
徳島大学とTIB(Tokushima Innovation Base)の連携事業「TIB学生ビジネスプランピッチ大会」に挑戦した学生に、出場を通して得た学びや気づきを聞きました。メンターからのフィードバック、そして磨き上げたビジネスプランの裏側など、挑戦のプロセスで見えたのは、大学生活をどう主体的にデザインするかという視点でした。新入生へのメッセージとともに紹介します。
(本文中の所属及び学年表記は取材時点のものです。 取材/2026年3月)
「TIB学生ビジネスプランピッチ大会」当日の様子はこちら
北辰 大空さん (総合科学部 社会総合科学科 3年)
心身健康コースで心理学を学ぶ北辰さん。TIBとの出会いは、アルバイト先の経営者からの紹介でした。TIBで約3年間にわたり起業家精神を学び、その集大成としてピッチ大会に出場。大会では、公認心理師が地域に根ざしてカウンセリングを提供する事業プランを発表しました。北辰さんは心理師の働く場の創出や待遇改善を支援する仕組みづくりを構想しており、将来的な起業も視野に入れています。
防災サークル「てくと」で培った実践力を研究へ
--- TIBとの関わりとピッチ大会に出場しようと思った理由について教えて下さい。
北辰さん TIBとの出会いは、アルバイト先の経営者の紹介がきっかけでした。TIBの関係者の方が徳島大学の授業も担当されていて、そこで改めて話を聞いたことで大会へ参加しようと思いました。約3年にわたりTIBで学んだことを発表する集大成の場としてもいい機会だったと思います。
---TIBに参加されていたということは、1年生の頃から起業やアントレプレナーシップに興味があったんですか?
北辰さん 最初はあまり興味がありませんでした。でも自分のやりたいことを実現するには「起業」という選択肢が一番近いのではないかと考えるようになりました。
---プレゼンでは、心理学を学ぶために徳島大学を再受験されたというお話がありました。
北辰さん もともと心理師を目指しており、進学にあたっては親から「四国の大学」という条件がありました。なかでも、被災者支援に携わる心理師への憧れがあり、関連する研究者を探す中で徳島大学を知り、ここで学びたいと思うようになりました。いったん他大学へ進学したからこそ、自分が本当に目指したいのは心理学を専門的に深く学ぶことだと実感し、進路を見つめ直しました。
---なるほど。ということは現在、ゼミや卒論では被災者支援に関わる研究をテーマに?
北辰さん 被災後支援よりも、防災を主軸とした研究に取り組みたいと考えています。私が「防災サークルてくと」の立ち上げメンバーであることから、これまでの活動で得た学びを生かし、いかに人々の防災意識を高められるかをテーマに研究を進める予定です。
---「防災サークルてくと」ですか。課外活動の経験もいかされるわけですね。
北辰さん そうですね。被災者支援と一口に言っても、防災に関する知識や現場での関わり方が重要になります。心理的ケアの前に、まず現地で信頼関係を築くことから始まります。そのため、ときにはボランティアとして寄り添う姿勢も求められます。こうした防災や現場での実践的な関わりを土台とすることで、将来的には必要とする人を心理職へと適切につなぐ役割も担えるのではないかと考えています。
「心理師をサポートしたい」という強い思いで練り上げたビジネスプラン

---ビジネスプランでは、中小企業のカウンセリングを対面で行うことに重点を置かれていました。
北辰さん 今はAIにも相談できますが、私自身、やはり対面で人と人とが関わって悩みを解決していくのが理想ではないかと思っています。人間の温かさに触れることを大事にするべきなのかなと思っています。
---今回のプランは大会発表用として・・・ですか?実施についてはどうお考えですか?
北辰さん 私自身、心理師を支える立場になりたいという思いがあります。そのための事業プランを考える中で行き着いた答えが、「働く場をつくることこそが最大の支援ではないか」ということでした。
現在、公認心理師は非常勤勤務が多く、給与が不安定になりがちです。対人支援という特性上、時間的・労力的な負担も大きく、効率性という観点では決して恵まれた職種とはいえません。だからこそ、給与水準の向上や安定した雇用環境を整えることが重要であり、その基盤となる“働く場所”を創出することが解決策だと考えました。私自身も公認心理師を目指し、進路について親に相談した際も、将来性や収入面への不安から反対されました。同じように周囲の理解を得られず迷っている人は、きっと少なくないはずです。だからこそ、心理職を志す人の背中を押し、安心して挑戦できる環境を整える事業を実現したいと考えています。
---ということは将来、起業もあり得ると?
北辰さん そうですね。起業しようかなとは思っています。心理師が活躍できる社会を作っていきたいと思っています。
---壮大なプランですね。
北辰さん 壮大なテーマだからこそ実現可能性や具体性について、かなり細かいフィードバックをいただいています。課題の整理や段階的な展開の必要性を指摘されることも多く、その一つ一つを受け止めながら、より現実的なプランへと磨き上げたいと思っています。
新入生へのメッセージ
北辰さん 私は以前、別の大学に在籍していた経験があるので、大学ごとの違いを比較できる立場にあると感じています。その中で強く思うのは、自分が受け身でいるか、自ら行動するのかによって、見える世界は大きく変わるということです。
個人的には、ある程度は直感に従って動くことも大切ではないかと考えています。大学という場には、多様な情報や機会がそろっており、挑戦を受け止めるだけの懐の深さがあります。だからこそ、「やってみたい」「目標に近づきたい」と感じた瞬間の直感を大事にし、自分から動いてみる。その行動を大学という環境が支えてくれるのではないかと思っています。







