「人より勉強して、人より遊んで、人より働こう」と決め、やりたいことを全部やりきった学生生活
常三島キャンパス
大学院創成科学研究科 理工学専攻 博士前期課程2年
⻄垣 佑哉(にしがき ゆうや)さん
大学院で自然言語処理を研究する西垣さんは、修士論文のため、レビューから評価点を予測するシステムを開発しています。例えば楽天トラベルの場合、楽天トラベルを通して宿泊した会員が満足度を5段階で評価し、その平均値が★の数で表示されます。楽天トラベルではコメントを投稿することもでき、★の数やクチコミは他のユーザーが宿泊施設や旅行プランを選ぶ際の参考になり、サービス改善にも役立てられています。現在、3段階評価だと約80%の確率で算出可能。「さらに精度をあげ、将来的にはSNSの投稿からも評価点を算出できるようにしたい」と話します。
修論作成の傍ら、バーやキッチンカー、イベントなどでのテント販売のアルバイトも。責任者として売上管理も任されていて、やりがいを感じているといいます。充実した学生生活を送るため、限られた時間をうまく使うコツなどを詳しく伺いました。
(とくtalk2025年秋号掲載/取材2025年8月)
レビューから評価点を予測するプログラムを研究中
いろんなことに意欲的に挑戦されていると聞いています。特に今、力を入れていることはどんなことですか?
西垣さん 今はちょうど就活も終わって、修士論文に向けての研究を行っています。アルバイトも週2日くらい入っています。
修士論文はどんな内容ですか?
西垣さん 僕は情報系なんですけど、自然言語処理に関する研究を行っています。具体的には楽天トラベルとか宿泊施設のレビューサイトには、利用者が書いたレビューと点数(★)がついているのですが、XやInstagramなどSNSのレビューテキストなども含め、点数を自動計測するプログラムを作っています。
レビューを全部読まなくても点数でパッとわかると便利ですね。
西垣さん そうですね。点数の評価がない場合でも、いい評価なのか、悪い評価なのかを点数で算出できるみたいな。そういう部分を目指して行っています。
そういうことに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
西垣さん 研究室を選ぶときに、自然言語処理やいろんなデータを扱うという研究をしてみたかったんです。自然言語処理といってもプログラミングより、データの分析の方に興味を持っていて。幼い頃からプロ野球を見るのが好きで、順位表とか、選手の成績ランキングだったり、そういうのを見るのが好きだったのが影響しているのかもしれません。
レビューから評価点を算出するというのは、現時点でどのくらいできているんでしょうか?
西垣さん 楽天トラベルの評価点は5段階でつけられているんですけど、僕の研究では3段階にわけて評価するようにしています。★4と5は「high」、3は「middle」、1と2は「low」。3段階だと80%ぐらいの確率で算出できています。システムとしても安定はしてきているので、SNSのテキストからも評価を数値化できるよう、さらに精度を上げていきたいと思っています。
アルバイトはキッチンカーでの販売 常三島&蔵本キャンパスに出店
アルバイトは何を?
西垣さん バーでアルバイトと、イベントなどでテント販売やキッチンカーでの販売をやっています。両方ともオーナーが同じなので、いろいろな仕事を任せてもらっています。
常三島キャンパスの「アスパイヤの庭」にも定期的にキッチンカーが来る日がありますが、もしかして…。
西垣さん はい、出店しています。常三島は一昨日くらいに来ました(笑)。蔵本にも出店していて、責任者としてやっています。
キッチンカーの名前は?何を売っているんですか?
西垣さん 『OHANA FOOD TRUCK(オハナフードトラック)』です。ホットドッグと阿波尾鶏サンドを販売しています。
飲食にも興味があったんですか?
西垣さん そうですね。将来、カフェバーの経営をしたいなと思っていて。メインの仕事としてではないんですが、趣味というか、周りの人たちが気軽に集まれるような場所を作りたいと思っています。
いいですね!でも、夏場のキッチンカーやイベント出店は大変ではないですか?
西垣さん そうですね。キッチンカーやテント販売は外部的な環境に左右されるので。夏の暑さや冬の寒さも大変なのですが、準備や片付けなど、体力的にもしんどい部分もあります。どの仕事も大変なのは一緒だと思うんですけど、アルバイトでも責任者として裁量権を持たせてもらっているので、売り上げのことも考えながらやっていくっていうのは、やりがいや達成感という部分に大きくつながっています。
これまでの経験を全ていかせる仕事を見つけ、新たな道へ
バイクで本州1周されたと聞きましたが、それはいつだったんですか?
西垣さん 大学1年生の時です。
それもすごいですね。
西垣さん まず先に「旅をしたい」っていうのがあって、それでバイクを買ったんです。車よりも燃費がいいですし、バイクが好きだったので。夏に「行こう」と決めて、教習所に通い始め、バイクの免許を取って、12月ぐらいにバイクを買って。バイクを買って2~3ヵ月くらいの、乗り慣れてない状況だったんですけど、「行ってみよう」と、春休みを使って行きました。
どうでしたか?一番印象に残っているところは?
西垣さん メインの目的地というか、自分の中で楽しみにしていた場所は山口県。景色を巡りたくて、山口県の角島大橋っていうきれいな橋があるんですけど、一番行きたかった場所なので、印象に残っています。あとは秋吉台もよかったです。
宿はどうしたんですか?
西垣さん もともとはキャンプをしようと思って、テントを持って行ったんですけど、北へ向かって出発したら、長野県とかは雪が積もっていて、もう寒すぎて。本州も結構寒くて、キャンプができない状態だったので、ずっとインターネットカフェに泊まっていました。
西垣さんはアルバイトも部活も、やりたいことにいろいろ挑戦されていますが、充実した大学生活を送るためのヒントになるようなことがあれば教えてください。
西垣さん 大学生活では、「人より勉強して、人より遊んで、人より働こう」っていうのを決めていて。勉強のために遊ぶ時間を削るとか、何かのために自分のしたいことを我慢するんじゃなくて、なんとなくSNSを見る時間とか、そういうムダな時間を極力減らして、欲張ってやった方が充実した学生生活になるかなと思います。実際、自分自身がそう考えてやってみて、やりたいこと全部やりきったので、そういうところを意識するといいと思います。
就活を終えたという話でしたが、どういう方面へ進まれるのか教えていただけますか?
西垣さん 東京のIT企業で、デジタルマーケティングディレクターというマーケティングに関わる仕事に就く予定です。僕は情報系を専攻してきたので業界としてはあっているんですが、マーケティングというと文系色が強い。大学の研究とは少し離れた分野ですが、個人でSNSの運用とかもやっていたので、そういうところは関係しているかなと思います。
マーケティングの分野というのは珍しいんじゃないですか?情報系だとプログラミングの仕事へ進むのかと。
西垣さん 就職先を考えたとき、情報系で就職しようと思ったら、エンジニアを希望する人が多いと思います。エンジニアになることも考えたんですけど、僕自身、人とのつながりを大事にしたいので、人と多く関われる仕事っていうのを考えたときに、マーケティングという選択肢を見つけて。大学でやってきた情報系の研究もムダにしたくなかったし、個人でやってきたこと、趣味でやってきたことなどを全部いかせるような最適解として「IT企業のマーケティング」という仕事に行きついたかなと思っています。
また新しい挑戦が始まりますね。ありがとうございました。