本年度は諸事情より公衆栄養学実習を前期に行っている。人々の栄養状態を改善するためには、まず栄養状態を評価する必要がある。実習では、栄養摂取状況を把握する方法として、食事記録法(秤量法・目安量法)、24時間思い出し法、食物摂取頻度調査法を行っている。多くの学生にとっては、卒業後、実際には使わないかもしれない。しかし基本的な手法でもあり国家試験にも出題されるので管理栄養士養成校では必須の学修項目となっている。

3種類の食事調査法実習を3人の教員で役割分担をしている。私の担当は、24時間思い出し法。二人一組または三人一組になって、過去24時間に飲食した内容をまず目安量で聞き取り、その後、聞き取った食品のコーディング(食品番号の割り当て)と重量推定を行い、最終的には食品成分表を用い摂取したエネルギーおよび栄養素量を計算する手順になっている。

栄養計算に入る前、重量推定が正しく行われているのか、調味料の分量割合が妥当なものなのか教員が確認する。個々の食品のエネルギー、タンパク質、脂質、ビタミン量などを確認すると多くの時間を費やすので、まずトータルの量で確認を行い、怪しいところがあれば細部を確認するようにしている。○○さんの計算したものを確認してみると食物繊維量が20 gと明らかに多い。余談だが、日本人の食物繊維の目標量(このくらい取っていることが望ましい)は男性21 g、女性18 gである。この値は、本当はさらに高めの値に設定したいのだが、日本人の食物繊維の摂取量の現状を考えると設定自体に実現可能性がなくなるので低めに見積もられている。計算された表をたどってみるとジャガイモやタマネギからの食物繊維量が多かった。ジャガイモは、いわゆる糖質が多く、食物繊維は少ないはずだが。もう一度食品成分表を確認するようにいったが、「食品コード02017じゃがいも塊茎(生)、100 g中8.9 gでした」。僕のもっている古い七訂の食品成分表では、1.3 gとなっている。約7倍に増えている。

釈然としないので、ネットで検索してみた。それによると食物繊維の分析方法が、七訂版では“プロスキー変法”が用いられているのに対し、八訂では“AOAC2011.25法”が用いられていることがわかった。プロスキー法では、食品に含まれる低分子水溶性食物繊維が測定できないが、AOAC2011.25法では測定が可能で、従来含まれなかったジャガイモに含まれる低分子水溶性食物繊維が加算されたことが原因であった。ただしジャガイモは加熱をして食されるので、実際はこの低分子水溶性食物繊維は分解されるので含有量は従来と同様まで減少する。栄養素を計算する際は(生)ではなく(蒸し)か(水煮)の食品コードを選択する必要がある。

以前、食事調査の実習で“ちくわの天ぷら”の材料名が、“ちくわ”と“調合油”だけで構成されていたものがあった。「それは、“ちくわの素揚げ”だ」と注意したことがある。時は経ち、当の本人は偉くなっている。

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