スマホの履歴を見ていると0120-からの着信があった。ショートメールにも、「先程ご登録年収の確認でお電話しましたがご不在のためSMSをお送りしています。適正なお手続きに必要な情報確認のため、ご登録年収に変更がある場合は、0120-○○-○○まで連絡願います。」と入っていた。新手の詐欺メールかと思い、電話番号をgoogleで検索してみた。結果は、れっきとしたカード会社が表示されている。何故だろうか。少し思案してみた。60歳?
日本社会において仕事に区切りをつける定年は、60歳とするのが公務員・一般企業・公共団体において多い。(社会保障が苦しいので)国は定年延長を義務化してきた。ちなみに公務員は、2023年から段階的に引き上げられており、2024年までに61歳、2026年までに62歳、2028年までに63歳、2030年までに64歳、2031年以降65歳となる。ただ定年の年齢は延長されても給与は60歳時の70%となることが多い。比較的小さな企業では、半分になるところもあると耳にする(同じ作業をしているのに、一方的に給与を下げるのは不当だと裁判を起こしているケースもある)。
総務省は、9月21日の「敬老の日」に合わせ、65歳以上の高齢者の推定人口を発表した。総人口に占める割合は29.6%で過去最高だった。総務省の労働力調査を基にした集計では、昨年の高齢者の就業率は26%で前年度から0.3ポイント上昇した。65から69歳は54.5%、70から74歳は36.2%、75歳以上は12.6%だった。日本は、70歳くらいでも働くことが一般的になっている。健康の維持のためとの理由も有るが、働かないと暮らせない人たちも多いと推定される。
微力ながらうちのラボでも老化に関する研究を行っている。朝日新聞で「長寿研究のいま」というタイトルを目にしたので、老化の研究は流行っているのは間違いなさそうだ。気になったのは、p16-3MRマウスを扱った内容であった。(以下記事を少し改編して紹介)2024年、大阪大学の原英二教授が講演を終えると一人の研究者が近づいてきて感謝を伝えた。「7年間実験をしてきたけどうまくいかなかった理由が分かりました」。問題のマウスは、老化細胞に目印がつき、薬で除去できるように遺伝子操作されたものであった。そのマウスを使った論文が2014年に発表された(Dev Cell 31:722, 2014)。論文は注目を集め、このマウスは広く使われるようになった。しかし「実験が論文通りにならない」と複数の研究者から聞き、原さんは再実験を試みた。問題はすぐに明らかになった。目印となる光は微弱で、しかも老化細胞の指標に関係なく光った(EMBO reports 27:3547, 2026)。
2年前、p16-3MRを米国Jacksonラボラトリーからの購入を検討するために、HPから検索をかけたが販売中止となっていた。p16-3MRマウスを用いた研究はいわゆる一流紙にも多数掲載されている。また、関連している記事では、Science誌で、“Protein name confusion led to antibody mix-up”というタイトルで老化や癌研究で、本来ならp16INK4aタンパク質を認識する抗体を使用するところp16-ABCタンパク質を認識する抗体を使用している研究が無視できない数見受けられた(Science 392: 1104, 2026)。
真偽は分からないがp16-3MRマウスやp16INK4aの抗体を用いた研究では、研究を行う前から結果ありきで進められた可能性も考えられる。
論文を書いていると、このデータも、このデータも足りないと、以前うまくいかなかった実験がもしかするとうまくいくかもしれないと繰り返すことがある。研究によっては、一つ一つの実験で、次ぎの方向性が決まるものもあるかもしれないが、予め論文の詳細なAbstractを作成し、それをイメージしながら実験を行うことが重要である(分かっているが、一つ一つの実験がうまくいかないことが多い)。むろん、Abstract通りの結果を教員や大学院生に出せと言うのは禁句であるが。

