平成27年度の「工業会T&E会」の取組について報告いたします。T&Eとは「Top and Executive」を意味しており,工業会員の皆様の中で企業の取締役や役員等リーダシップを執る立場にある皆様方と工学部執行部(平成28年4月1日の改組により理工学部)や学科長(コース長)らで構成されています。その設立の趣旨は,相互に連携を保ちつつ,本学の研究や教育の水準を引き上げるような有形無形の協力や助言を賜りながら,一方で会員の皆様方に本学の情報を提供させていただくということにあります。
  当該年度の目に見える活動は,前年度に引き続いて,学生のための「就職支援セミナー」を開催したことです。事前の話し合いで,該当する学部3年次や修士1年次学生への直接的な就職支援活動よりは,もう少し大きな枠組みで実施するということになりました。すなわち,学部の1年次や2年次の学生にも視野を拡げてもらうということで,特に対象年次や分野を設定せずに「先輩諸氏の話を伺う」と触込みで,2016年2月17日(水)13時から2時間にわたって開催しました。

具体的な内容は以下の通りとなりました。まず工業会近畿支部連合会会長である原田新一様(機械工学科S43年卒、修士45年修了,(株)神戸製鋼OB)が,ご自身の技術者,管理責任者としての体験談を披露され,さらに「工業会」の活動の意義について説明をされました。続いて高橋一様(機械工学科S54年卒,イズミフードマシナリ(株)設備技術部,主席技師)が,「食品業界の将来像」という演題で,「工学」と「食品業界」の関わりについて,これもご自身の経験を基に具体的な話をされました。最後に下村浩二様(機械工学科S59年卒,(株)ホシデンから独立,H9年に下村設計を起業,H27年(株)機能素材大阪を設立、代表取締役就任)が,「サラリーマンから個人事業主へ」という演題で,ご自身の波乱に富んだ人生経験を披露されながら,熱く学生に語りかけてくださいました。最後に質問の場を設け,和やかな一時を過ごすことができました。やや残念だったことは,開催日の設定に余裕がなく,それが後期試験終了後の各学科の卒業論文審査会や修士論文公聴会の日程と重なってしまい,あまり聴講者を集められなかったことです。たまたまですが,演者全員が機械工学科の出身者に偏ってしまったことも一因としてあったかもしれません。しかしながら,聴講した学生の何人かは,講演後に直接それぞれの演者に対して進路に関する相談を持ちかけているようでした。今後このような機会を設けるとすれば,その目的と実施の形態をさらに検討する必要があるでしょう。例えば,入学直後の新入生のオリエンテーションの一環として組み込めば,今後の大学生活の動機付けの一助になるかもしれません。

徳島大学工学部は,本年4月1日をもって徳島大学理工学部理工学科という一学部一学科体制となり,その第一期生を無事迎え入れることができました。したがって,学年進行に伴って4年後の大学院改組が必至です。その準備が急がれるところですが,そのために,また現状のさらなる改善のために,いろいろな意味で工業会会員の皆様方に協力していただくことが不可欠と思われます。誌面を借りてお願い申し上げる次第です。また,本セミナー開催に関しては,ご支援くださった関係各位にお礼申し上げます。

  

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