研究 痛風・高尿酸血症及び尿酸関連疾患の病態解明に関する研究 の実施について
1.本研究の目的および方法
J-MICC Study(日本多施設共同コーホート研究)公式ホームページ http://www.jmicc.com/
痛風は高尿酸血症(血液中の尿酸値の高い状態)に引き続いておこる生活習慣病の1つで、痛風、高尿酸血症ともに、環境要因のほか遺伝要因の関与が強いことが分かっていますが、その全容はまだ明らかではありません。近年、技術革新が進んだことにより、ゲノム全域の多様性について病気との関わりを調べることができるようになりました。今回の研究は、痛風・高尿酸血症及び尿酸関連疾患(高尿酸尿症、低尿酸血症など)を対象に、症例と健常対象者のサンプルについて、遺伝子解析を実施して、疾患と関連が認められる遺伝子多型を同定します。疾患の感受性と関連が認められる遺伝子多型を同定し、得られた遺伝子解析結果と生活習情報等をもとに、これらの疾患の病態の解明、疾患の治療法・予防法の確立や個人の疾患リスクの判定に役立てることを目的としています(遺伝子解析の詳細は、本文書の末尾 痛風・高尿酸血症及び尿酸関連疾患の病態解明に関する研究 解析遺伝子名、解析方法をご参照ください)。
2008 年 1 月~2013 年 2 月に、「生活習慣病予防に関する研究」「日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)徳島地区調査」にご参加いただいた協力者のうち、健診結果や血液検査結果が保存され研究に使用されること、および、遺伝子(DNA)試料が保存され遺伝子の解析研究に使用されること、および、匿名化した調査資料や生体試料をあらためて倫理審査を受け承認された新たな研究に使用されることに同意され、高尿酸血症(血清尿酸値>7.0mg/ml)や低尿酸血症(血清尿酸値≤3.0 mg/dl)を呈した協力者を対象としています。
研究期間は徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会承認後~2027 年 3 月 31 日までを予定しています。本学の予定症例数は 194 例(男性高尿酸血症 148 人、男性低尿酸血症 10 人、女性低尿酸血症 36 人)、研究全体では、痛風 5,000 例、高尿酸血症(痛風のない症例)5,000 例、高尿酸尿症 50 例、低尿酸血症 500 例、尿路結石 2,000 例、健常者 8,000 人です。
本研究は、徳島大学病院生命科学・医学系研究倫理審査委員会の承認を得て実施しています。
2.研究に用いる試料・情報の種類および保管方法について
情報:性、年齢、身長、体重、病歴、治療歴、飲酒・喫煙(受動喫煙を含む)などの生活習慣、血清尿酸値、血清クレアチニン値 等
試料:同意を得て採取した血液試料から抽出した遺伝子(DNA)試料 等
本研究で収集した試料や情報は特定の個人を識別することができないように、本学において、試料や情報より氏名・生年月日・住所等の個人情報を除き研究用の符号を付けるなどの匿名化を行います。氏名等と研究用符号を結びつける対応表は、本学の個人情報管理者および管理分担者が厳重に保管・管理します。
遺伝子(DNA)試料や情報は、防衛医科大学分子生体制御学講座・教授 松尾洋孝の責任のもと、防衛医科大学分子生体制御学講座において研究修了後 10年間(2037 年3月31日まで)保管する予定です。
3.本学以外の研究機関への試料・情報の提供
4.研究組織
防衛医科大学 分子生体制御学講座 教授 松尾洋孝
名古屋大学 予防医学 教授 若井建志
徳島大学大学院 医歯薬学研究部 講師 釜野桜子
その他詳細は別紙(痛風・高尿酸血症及び尿酸関連疾患の病態解明に関する研究
共同研究機関名一覧)をご参照ください。
5.研究結果の公表について
6.研究資金および利益相反管理について
この研究は、文部科学省科学研究費補助金の特定領域研究「分子疫学コーホート研究の支援に関する研究」(平成 17~21 年度)、新学術領域研究「生命科学系 3 分野支援活動」(平成 22~27 年度)および「学術研究支援基盤形成」(平成 28 年度~)、および、防衛医科大学における講座研究費、科学研究費補助金などから助成を受けています。
本研究の利害関係については、臨床研究利益相反審査委員会の審査を受け、承認されています。
7.本研究への参加を拒否する場合
試料・情報が本研究に用いられることについて研究の対象となる方にご了承いただけない場合には、研究対象から除外させていただきます。下記の連絡先までお申し出ください。その場合でも、お申し出により、研究の対象となる方その他に不利益が生じることはありません。
本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
また、ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
8.研究責任者および連絡(問合せ)先
【研究機関】徳島大学大学院医歯薬学研究部・予防医学分野
【研究責任者】徳島大学大学院医歯薬学研究部・予防医学分野 講師 釜野桜子
【連絡先】徳島大学大学院医歯薬学研究部・予防医学分野
釜野桜子(講師)、渡邊毅(助教)、石津将(助教)
〒770-8503 徳島市蔵本町 3-18-15
電話番号 088-633-7073
【研究代表者】防衛医科大学・分子生体制御学講座 教授 松尾洋孝
本研究への参加に同意しない場合は、連絡先までご連絡ください。
防衛医大との共同研究 痛風・高尿酸血症及び尿酸関連疾患の病態解明に関する研究
解析遺伝子名
SLC22A12/URAT1, SLC2A9/GLUT9, SLC17A1/NPT1, ABCG2, SLC22A13/OAT10を含めた尿酸・痛風に関わる遺伝子
解析方法
直接シークエンス法、TaqMan法、カスタムチップを用いたマイクロアレイ法によるジェノタイピング法、GWASチップを用いたジェノタイピング法、ターゲットシークエンス法、whole genome sequencing法
(解析方法に関する説明)
一人一人の顔がさまざまに異なるように、ヒトの遺伝情報(「ゲノム」と呼ばれます)にもさまざまな個人差があります。この個人差は1人分のゲノムで数百万か所に存在するといわれており、さまざまな疾患などに関与していることが知られています。
これらのゲノム上の個人差を調べる方法として、特定の箇所として1か所のみの個人差を調べる方法(TaqMan法)や数千か所~百万か所の個人差を一度に調べる方法(カスタムチップを用いたマイクロアレイ法によるジェノタイピング法、GWASチップを用いたジェノタイピング法)があります。このほか、ゲノムの一定の範囲を調べる方法として、短い範囲を調べる方法(直接シークエンス法)や長い範囲を調べる方法(ターゲットシークエンス法、whole genome sequencing法 )があります。