6月上旬、昼休みのランニングから帰ると、秘書のAさんから、「中村さんから電話がありました。ここに電話をくださいとのことでした。」とメモを手渡された。電話をかけてみると、相手は中村さんではなく、偉大な先輩である神奈川福祉大学学長・日本栄養士会会長の中村丁次先生であった。豪快な話し方で伝えられたことは、「新型コロナウイルス感染が流行しており、栄養士会として感染症に対する栄養の重要性を国民にアピールしたい」、その一環としてコメディカル向けの教科書を新たに作らないかとのお誘いであった。断る理由もないし、中村先生と共に編者として加えてもらえることは、なりより自分の存在を外に向かって知ってもらう大きなチャンス頂いたことになる。

 

現在、母校の管理栄養士養成校で教鞭を執っているので、栄養学に関することの知識があることは容易に推測出来きるだろう。ただ過去に感染症に関わる研究に従事したことを知る者は少ないかもしれない。扱った病原体はウイルスではないが、細胞内に寄生する細胞内寄生性原虫の宿主免疫からのエスケープ機構やDNAワクチンに関する研究を行った経験がある(日本寄生虫学会の第12回奨励賞も頂いたこともある。その副賞の○万円は、受賞時に頂いた盾と共にアパートのどこかに眠っている)。研究だけではなく診断業務として、徳島大学医学部付属病院や関連病院から依頼された糞便検査も、教科書(図説 人体寄生虫学 吉田幸雄著)の主要人体寄生虫図譜を見ながら行った(香川県の病院でも何故か徳島大学に依頼がくる。それが関連病院というものか)。

 

ウイルス感染症を中心に栄養素との関連を解析したメタアナリシス解析研究を、Pub Medで検索をし結果をプリントアウトしていく。メタ解析に加えレビューでも検索をかけてみる。ビタミンCのレビューに関しては、ノーベル賞を受賞したポーリング博士が「ビタミンCのグラム単位の摂取で風邪の予防ができる」という説を提唱し、世界中の注目を集めたことが記載されてあった。その後、1974年にJAMAAm J Medといった医学会に多大な影響力を持つ有力誌において、その説を否定する報告が相次いでなされ、ビタミンCと風邪様症状に関する研究が急激に衰退したこと、またポーリング博士が自らの説を再度検証し、論文投稿を続けたがことごとくリジェクトとなり、最終的にはマイナーな論文にしかならなかったことが記載されていた。

 

中村先生のお計らいで、著書に加え11月に“食育健康サミット”で、著名な免疫学者、給食栄養管理を専門とする栄養学者、時間栄養学の研究者と共に「免疫力を高める栄養」というタイトルで講演をする機会を頂いた。もし東京への出張が可能となれば約1年ぶりとなる。

 

学部の公衆栄養学実習も今週で終了となる。今年はほぼN助教が中心でうまく回っている(感じがする)。若い力を伸ばすためには、そろそろ手を引いた方が良いかもしれない。現在は、感染症対策を講じることで対面での実習が可能な状態である。医科栄養学科に対して新型コロナ対策の予算がついたので、マスク、アルコール、非接触型の体温計を購入した。さらに実習でのグループワークの感染予防としてフェイスシールドも購入したので役立ててもらいたい。

 

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