9月1日から3日にかけて第70回日本栄養改善学会が名古屋学芸大学の塚原君(後輩なので敢えて君付けだが、彼は11月から理事長となり偉い人物なので怒られるかもしれない)が会頭として名古屋国際会議場で開催された。大会のテーマは、すべての人の幸福を目指した実践栄養学の発信-ソーシャルインクルージョンの実現に栄養学を取り入れる-であり”直接的な栄養と健康”というより社会・経済的弱者、低栄養、高齢者等社会全体で支える問題に対して栄養・食生活がどの様な貢献ができるのかを議論する話題が多く、個人的な感想としては理系と言うよりは文系に近い話を聞いている印象が強かった。

1日目のプログラムが終わり、帰路に差し掛かる前に久しぶりにR大学のM先生に出会った。「授賞式では、徳大、圧巻だったなー、なあ酒井君」。功労賞、学会賞、奨励賞は、それぞれ学会に対して多大な貢献をした者、栄養に関する著明な業績を上げた者、若手で栄養に関する著明な業績を上げた者に授与されると理解している。今年度の功労賞受賞者は、島根県立大学名和田先生、学会賞は、静岡県立大学の新井英一先生、女子栄養大学の石田裕美先生、女子栄養大学の上西一弘先生の3名であった。その内、名和田先生、新井先生、上西先生は徳島大学医学部栄養学科の卒業生である。功労賞は、無報酬で大会運営のために多くの時間を費やし、お金、人間関係、ストレスに悩ませながら学術集会会頭を勤めた人物が授賞するので、来年度は塚原君が対象だ。

今回宿泊するホテルは地下鉄の駅より数分の所にあるはずだった。最寄り駅4番出口からまっすぐ進み、セブンイレブンを左折したところに目的のホテルがある。地下鉄久屋大通り駅で降り改札を抜け、4番出口を探していると4A、4B出口が見つかった。AとB、どっちが正しいのか?たぶん道の右車線側か左車線側くらいの違いだろうと思い4A出口を駆け抜けまっすぐ歩いてきた。前方に3A出口がある。それならホテルは3A出口の方が近いのでは。少し歩いてもそれなりの目印の建物か見えてこないので、引き返し4B出口から再トライも全然違った所を歩いているようだ。その後、ああでもない、こうでもないと不安の中、抜けぬ出口を半時間ほどさまよい途方に暮れていると、目の前に4番出口を見つけた。いったん4番出口から駅構内に戻り掲示板を確認すると宿泊予定のRB○○ホテルが表示してあった。あとで知ったことだが、長屋大通駅は、名城線と桜通線が乗り合い名城線に近い出口では数字とA, B、桜通線に近い出口では数字だけで表示されている。

スマートミールは、日本栄養改善学会と日本給食経営学会が中心となり健康的な食環境整備のためにエネルギー、野菜、塩分等の適正な基準を満たした外食、中食、を認証するものである。3日目のランチョンセミナーは、スマートミールが関与している「外食に求める生活者の健康感とは?」を拝聴した。前半は、幅広い年齢層の男女に食事を含めた健康に関する膨大なアンケートをおこなった調査結果をまとめた内容、後半は牛丼大手のY社が牛丼に野菜をトッピングしてスマートミールの認証を取得した話であった。後半、時間が余っていたので座長の先生は、スマートミール事業の中心人物である女子栄養大学の武見先生とお茶の水女子大学の赤松先生に話を振ってきた。一般聴衆に話を振るのはどうかと思ったが、スマートミールの生み育ての親だから、それもありかとその時は思っていた。まだ、時間が余っている。男性は女性に比べ健康に対する意識が低い話題が主催者の方からあった。座長の先生は、会場を見回し、女性が多い中、最前席に座っている私に、「どう思うか?」と話を振ってきた。突然のことで戸惑う中、思わず立ち上がりマイクを手にした。「私は、健康志向が高いです。(だから健康志向が低い原因は分かりません)」と答えるのか精一杯であった。すかさず、「では健康志向が低い人はどうすればいいのですか?」と聞いてきた。「健康に関心を持ち、動機付けが重要では」と発言し、「私は漫才師ではないので、これ以上話すことは出来ません」で話を切った。満席の会場の中では知り合いも沢山いただろう。恥ずかしい気持ちが湧くと同時に、こんな光景に遭遇した知り合いの先生は声をかけてくることはないだろうと感じた。ある意味、名古屋の学会は、忘れることができない学会になった。

<令和5年9月6日:酒井>

kaizen70-nagoya.jpg

閲覧履歴