ヨミドクターのコラム(読売新聞)でDr.イワケンの「感染症のリアル」がある。その中で、『「Fラン大学」には入学してはいけないのか?時間制限のある学校制度の中でスローランナーに合った教育機会を提供』という記事に目が止まった。

『Fラン』大学とは、俗に入試偏差値が低く、希望すれば入学できる大学を示しています。違う新聞の記事ですが、高等教育機関である大学で、高校、場合によっては中学レベルの英語や数学を教育していることを文部科学省が問題視していることが綴られていました。

Dr.イワケンこと岩田健太郎先生(神戸大学)の意見としては、物事をすぐに吸収できるクイックランナーと時間をかけないと吸収できないスローランナーがいるので、限られた時間内で英語や数学といった教科の内容を習得できる者と、習得できない者が出てきて、いわゆる勉強ができる子とそうでない子が出来てしまう。その結果として、偏差値の高い大学に入学できる超クイックランナーと偏差値の低い大学に入学するスローランナーという構図となるとしている。岩田先生の視点が面白いと思ったのは、大学で初級レベルのことから学修することは十分に意義があり、それをベースとして上級レベルの知識を得ることができれば、それは国民全体の教育レベルの向上であり国益であると考える点です。

日本に住んでいるので分からないかもしれませんが、日本は世界的にみても治安は良く、街は綺麗で、礼儀正しくまたインフラだけでなく社会保障も一級品です(私も全く不満がないわけではありませんが、100%の人が満足する社会制度はあり得ません)。国民性もあるかもしれませんが、その根底にあるのは小学校、中学校、高校、そして大学における教育です。十分な知能や技能を身につけることができ、ある程度のお金があれば、悪事に染まることはないでしょう。また、一人の人間としての余裕があるので他人に対する配慮もできます。

Fラン大学の明確な定義はありませんが、偏差値を用いればある程度のランキングが出来ます。偏差値35未満であれば下位7%くらい、偏差値40未満であれば下位16%ぐらいに位置します。短大を含めた大学進学率は約60%程なので、成績が良い者が進学をすると仮定すると、人口全体における偏差値の位置は上昇しますが。

以前は成績の悪い学生に対して「お前(この言葉自体が問題かもしれません)、もっと頑張れ」程度の指導で、なんとかなりました(なんとかなった気がしていたのかもしれません。そもそも、これを指導としていいのか疑問を持つ方も多いかと思いますが)。周りを見ると教育的な支援が必要な学生が以前より増えてきたような感じがします。この記事を拝見して、改めて「教育とは」を考える機会となりました。

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