4月から、正確には5月から増えた業務の一つに“検食”がある。(隔月で)週1回、大学病院で提供される昼食が見た目、味付け、適温等について確認する任務を担当することになった。検食は厳密な意味では、いわゆる“毒味”であるので、提供する食事が入院患者さんの口に入る前に確認すべきものであるが、予め送られてきた注意書きでは「検食は12:00-12:30の間でお願いします」と記載されているので、提供される食事の出来栄えをチェックすることが主な目的となっている。病院の食事は選択食になっているので、その日のメニューの中で自分が食べたいものを選ぶことも可能になっている。栄養部の方も当番が決まっており担当の月の時は、毎日食べ続けなくてはならないと言っていた。「検食をしていると食事代は浮くのですが、たまには別のものを食べたくなることもあるんですよ」とH君。同じ食事の話が出たので、昔私が経験したタンパク質出納実験で非常に精製された食品だけを毎日食べていたことを話すと、「その話を聞くと、(学生時代の)ラットの餌のことを思い出しました」とTさんはつぶやいていた。

5月に連休に初めて検食を行うため、栄養部厨房に出向き、「検食に来ました」と伝えると、「今日は、検食はありません」と言われ、帰り道でS先生と出くわした。この少し前にS先生と病院内で出会い、「今から検食に行ってくるから」と言った手前、少しバツの悪い表情を見せながら言葉を交わした。「今日、検食はないと言われたが、連休中でも患者さんに食事を提供すると思うのだけれど。こんな姿(ラフな服装)で行ったので、不審人物だと思われ警戒され、やんわり断るために、そう言ったのかな」と話したら、S先生は懸命に手を振り否定しつつも目は笑っていた。後日、検食で同席していた栄養部副部長に「こんな出来事があったのですが」と尋ねてみると、休日は検食の業務からは外れるとのことだった。

休日の昼、ランニングのために階段を降り、1階の玄関付近までくると、「俺、あの問題で落ちたんだわ」との声が聞こえてきた。これから阿波踊りの練習だろうか。何人かの学生が自動販売機前に集まっている。前の日に試験を行い、その日のうちに結果を掲示板に張り出した結果を見たのだろう。トータルで最小限の時間で試験に通るコツ、それは本試の前に集中し、時間をかけ準備をし、一発で試験に通ること。再試験を受けるようになると、試験のために費やす時間が増えてしまうし、再試が通らなかった場合に再受講になるプレッシャーもかかってしまう。

今やっている仕事も、少しやっては中断、少しやっては中断の連続の状況であるから、学生の気持ちもわからないわけではないが。

<令和1年7月30日:酒井>

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