徳島大学・高知大学との共同開催
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<アンケートの作り方・分析の仕方>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。

■開催日時
 第1回 2024年2月  8日(木)12:05~12:50
 第2回 2024年2月15日(木)12:05~12:50

■参加者
 第1回 2月  8日
  81名(Zoomによるオンライン)
 第2回 2月15日
  62名(Zoomによるオンライン)

■コーディネーター・講師・登壇者
  コーディネーター: 飯尾  健(徳島大学高等教育研究センター)
 第1回 2月  8日
  講 師: 飯尾  健(徳島大学高等教育研究センター)
 第2回 2月15日
  講 師: 飯尾  健(徳島大学高等教育研究センター)

■内容
 第1回
 今回は授業改善に向けたアンケートのうち事前の設計と実際のアンケートの作成に焦点を当て、それぞれにおける重要な点について講師から説明がなされた。
 まず事前設計においては、あらかじめ学生にアンケートを行うことで「何」を明らかにするか具体的かつ明確にポイントをしぼること、そのためにどのような分析を行い、どのような結果が出ることが求められるかについて検討することの重要性の2点が説明された。これは、アンケートで何を明らかにするかによって、実施回数や作成項目といったアンケートの実施に関する根幹となる事項も変化する場合があるためであり、したがってアンケートの設計はアンケートを実施する直前ではなく、授業が始まる前から検討することが重要であることが強調された。
 続いて、具体的なアンケートの作成について、アンケートの目的や説明事項を説明する教示文、各質問項目について、何をどのように尋ねるかを説明する質問文、加えて回答者に用意された質問への回答方法や回答に関する項目である回答方法の3点のそれぞれにおいて、作成にあたり注意すべき点が説明された。
 教示文については、アンケートの目的やデータの活用方法に加え、回答者の個人情報に関する保護や回答者が有する権利について示すこと、具体的には成績等にアンケート結果が影響しないことや、アンケートを拒否できる権利を有することについて説明する文を記載することが重要であることが示された。とくに、所属大学・学部・学科における倫理規程に従い、場合によっては審査を得る必要があることが説明された。また質問文作成にあたっては、避けるべき質問として2つ以上の事柄を一度に尋ねるダブルバレル質問のほか、何らかの回答に誘導しようとする質問や倫理的に回答しづらい等の理由で虚偽の回答を誘発しやすい質問の3つを挙げ、それらの具体例についても紹介された。さらに回答方法については多肢選択、リッカート尺度、複数選択、数値記入、自由記述といった代表的な回答方法について、それぞれ注意すべき事項が挙げられた。
 その後、チャットやLearnWiz Oneといったツールを用いた参加者との質疑応答がなされた。

 第2回
 今回は、アンケートを実施した後のデータの整理と分析をテーマに、Excel、およびExcel上のマクロとして動作する統計分析ツールであるHAD(https://norimune.net/had)を用いた実演を交えて、統計分析のためのアンケートデータの整理、および実際の分析を通じた分析方法の紹介や分析結果の見方について紹介がなされた。
 データの整理にあたっては、Excel上で集計されたデータを統計的に分析するよう数値に変換するとともに、それぞれのデータの種類が名義尺度、順序尺度、間隔尺度のいずれに該当するかに注意することが示された。
 その後、統計分析でよく用いられる2つの分析方法について、説明と実際の論文等で活用されている例、さらにはHADを用いた分析の実演が行われた。まずt検定、一要因分散分析といったグループ間での平均の比較について説明と事例紹介がなされたのち、HADと用意されたサンプルデータを実際に用いて一要因分散分析を講師が実践し、分析の手続きならびに出力された分析結果の見方について説明を行った。同様に相関分析についても、概要の説明、実践事例の紹介ならびにHADを用いた分析について実演を交えた紹介がなされた。
 最後に、これらの分析結果を「改善」につなげること、すなわち明らかになった分析結果をもとに、さらに調査を深掘りしていく調査の「改善」と、分析から得られた示唆を授業に反映していく授業の「改善」の2つの改善を行っていくことの重要性が講師から述べられた。

■成果と課題
 参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回・第2回とも全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においても回答者の大半から肯定的な回答が得られた。

表 アンケート設問「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」回答結果
   第1回(2月8日)   第2回(2月15日) 
とても当てはまる 17 (73.9%) 11 (61.1%)
どちらかといえば当てはまる 6 (26.1%) 7 (38.9%)
どちらかといえば当てはまらない     0 (0%) 0 (0%)
まったく当てはまらない 0 (0%) 0 (0%)
合 計 23(100%) 18 (100%)

※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。

 自由記述においては、第1回においてはアンケート実施におけるアンケートの設計の重要性や、実際に質問項目を作成する際の注意事項について理解することができたといった感想や、第2回では分析ツールとして用いたHADについて知ることができたといったものがあった。一方で、研究として行うアンケート調査と授業改善のためのアンケート調査と異なる点について知りたい、アンケート調査の実践例を紹介して欲しいといった希望のほか、第1回においては内容のボリュームが多く、講師も早口になってしまい内容を把握することが難しかったといった感想も聞かれた。
 今回のセミナーは2月8日の回で過去最高の参加者を記録した。この要因としては、徳島・高知のみならずSPOD加盟校から幅広い参加が見られたこと、教員だけでなく職員も多く参加していたことの2つが考えられる。このことから、アンケート調査をどのように行うかは様々な大学・分野・授業の様々なレベルにおいても共通する課題であることがうかがえた。来年度も、引き続き参加者のニーズに応えられるセミナーを実施していきたいと考える。

■アンケート回答結果
 第1回 (n=23)

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 第2回 (n=18)
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■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
0602図3.png 
0602図4.png 

ご不明な点などございましたら,下記アドレスもしくは,電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp 
           電 話:088-656-7679 内線(82)7124

徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/

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