はじめに:新入生のみなさんへ

                        徳島大学教養教育院 院長 齊藤 隆仁

 新入生のみなさんは、大学に入学するまで、どのような学習を行ってきましたか。
例えば、高校での授業では、教壇に教師が立ち、みなさんは板書やスライドを見ながら、「問われた質問に対して正しい答えを探す学習」を行うことが多かったのではないでしょうか。
 グローバル化、少子高齢化、情報化、産業構造の流動化など、社会の急激な変化の中、現代は未来の予測が困難な時代といわれています。このような時代を背景に、生涯学び続け、主体的に考え、答えのない問題に挑み、それを解決していく能力が何よりも求められています。
 徳島大学では、「専門知識と技術を身につけ、自律して人類の諸問題の解決に立ち向かう、進取の気風を身につけた人材の育成」を教育の理念・目標として掲げています。そこで、徳島大学の新入生のみなさんが、入学直後に従来の受動的学習者からアクティブ・ラーナーへ変貌する第一歩を踏み出すことを目的として、「鉄は熱いうちに打て(Strike while the Iron is Hot)」の精神に則り、その頭文字をとって「SIH道場~アクティブ・ラーニング入門~」を平成27 年度に設けました。
 SIH道場の授業では、専門領域の早期体験、反転授業、グループワーク、学修ポートフォリオなどのアクティブ・ラーニングを実際に体験することで、能動的学修の実践に必要な「文章力」、「プレゼンテーション力」、「協働力」等のラーニングスキルを体得していきます。現場での早期体験は1年次での学修と自分が目指している専門性を関連づけることで、学修意欲の向上に繋がるでしょう。さらに、「体験⇒リフレクション⇒概念化・抽象化⇒次への応用・実践」のサイクルを実践することで、経験から学び成長していく能力を身につけていきます。また、SIH道場の授業を担当する教員も、自らの教育経験を振り返ることで、そのティーチングスキルを向上させ、学生のみなさんと共に学び成長していくことを目指します。
 学生のみなさんは、SIH道場で学んだアクティブ・ラーニングをこれから先の専門教育においてもぜひ実践してください。その過程で新しい価値観や考え方に触れ、成長する楽しさや喜びを感じとっていくことこそが、それぞれの領域でのプロフェッショナルに成長していく原動力となります。このようなアクティブ・ラーナーへの変貌を通して、みなさんの人生が豊かで実りのあるものになることを期待しています。

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