徳島大学・高知大学・香川大学との共同開催で
(SPOD開放プログラム)「授業について考えるランチセミナー」<学生の能動的な学びを促すチーム基盤型学習 TBL>が開催されました。
ご参加いただいた皆さま、大変ありがとうございました。
■開催日時
第1回 2025年11月13日(木)12:05~12:50
第2回 2025年11月20日(木)12:05~12:50
■参加者
第1回 11月13日
84名(Zoomによるオンライン)
第2回 11月20日
56名(Zoomによるオンライン)
■コーディネーター・講師・登壇者
コーディネーター: 高畑 貴志(高知大学学び創造センター)
第1回 11月13日
講師: 高畑 貴志(高知大学学び創造センター)
第2回 11月20日
講師: 高畑 貴志(高知大学学び創造センター)
登壇者:宮崎 彰(高知大学農林海洋科学部)
■内容
第1回
第1回ではTBL(Team Based Learning)についての概要や進め方について、講師からの解説が中心に行われた。TBLは反転授業の一種であり、学生同士の教え合いを通じて問題解決力や判断力、コミュニケーション力を養うアクティブラーニングの技法である。
TBLは主に初回の説明部分、メインパート、さらに最終回近くに行われる期末の評価とピア評価から成る。初回では授業のオリエンテーションのほか、授業を通して活動するグループ分けが行われる。その後のメインパートでは、まず授業外で学生に予習を課し、学生は予習してきたことを前提に予習内容について個人で解答するテスト(IRAT)に解答する。その後、グループに分かれIRATと同じ問題についてグループでディスカッションを行いグループ単位で解答を行うテスト(GRAT)を行う。GRATの後で教員からテストに関するフィードバックを行い、さらにグループ単位で応用的な課題に取りくむ。さらに、授業の最終回近くになるとそれらのグループ内で各メンバーの貢献度についてのピア評価を行う。ピア評価を行うことで、グループ活動にありがちなフリーライダー(ただ乗り)を抑止することが期待できる。
最後に講師からは「グループは適切に編成し、かつ運営管理されなければならない」「学生は自分の学習の質かつチームの学習の質を高めるよう責任を持たなければならない」「学生には即時かつ頻回にフィードバックを与えなければならない」「チーム課題は学習を促し、かつチームの成長を促進するものでなければならない」という「TBLの必須4原則」が示され、sli.do等で寄せられたコメントに対する質疑応答が行われた。
第2回
第2回では、TBLを自身の授業で実践している事例の紹介として、高知大学 宮崎 彰先生が登壇された。先生からは実際に授業でTBLが行われている様子を写真や動画を交えたり、実際に行ったIRATの問題を提示したりする等、実際にどのようにTBLを行っているかについて解説が行われた。また途中でsli.doの投票機能を用いて参加者とのコミュニケーションも行われた。これは「単に聞くだけではない授業」を探究した結果TBLを導入した先生ならではの工夫であったと推察される。
先生からはTBLを実施したことによる効果として、グループで話すことによる知識の定着やコミュニケーション力の向上、予習の習慣づけ等が挙げられた。一方でTBLの課題として、話し合いが上手くいっていないグループはアイスブレイクを行う、話すことが苦手な学生に対しては座席位置を考えるといった各種のケアが必要であることが示された。
セミナーの最後には、sli.doのQ&A機能を用いて投稿された質問に対し質疑応答が行われた。
■成果と課題
参加者アンケートを行った結果、「5. 本セミナーは今後の教育活動において有益なものであった」という設問において、第1回、第2回ともに全ての回答者から肯定的な回答 (「とても当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合計) を得ることができた。また、他の設問においてもおおむね肯定的な回答が得られた。
| 第1回(11月13日) | 第2回(11月20日) | |
|---|---|---|
| とても当てはまる |
15(53.6%) |
8 (61.5%) |
| どちらかといえば当てはまる | 12 (42.9%) | 5 (38.5%) |
| どちらかといえば当てはまらない | 1 (3.6%) | 0(0%) |
| まったく当てはまらない | 0 (0%) | 0 (0%) |
| 合 計 |
28 (100%) |
13 (100%) |
※その他のアンケート項目の結果はグラフを参照。
自由記述においては、第1回ではまずTBLについて知ることができたというコメントが多く寄せられた。中でも、とくにピア評価を行う際の参考となる情報が得られたといったコメントが目立った。第2回では、第1回を踏まえたTBLの実践事例を聞くことができ有益という回答が寄せられた。とくにある回答者からは、IRAT、GRATをどう進めるかといった具体的な手順にまで言及して進められた点が大変有益であったという感想が寄せられた。他にも、実際に実践を行っている教員の話を聞くことで自分の授業について振り返る機会になったというコメントがあった。一方で改善点や希望する点としては、TBLに適している授業内容や科目等についてもより詳しい説明が欲しいといったものがあった。他に主に第2回で質疑の時間をより多くとってほしいというもの、あるいは参加者からの質問を受け付ける方法をZoomのチャット機能にするのかsli.doにするのか統一してほしいといった運営面での要望も寄せられた。指摘アクティブラーニング複雑な理論的な話題をよりシンプルにしてほしい、必修や選択、専門と教養科目等の違いに応じた説明や具体例が欲しいという意見があった。さらに今回は実験的に事前にスライド資料を参加者に配布するという試みを行ったが、これについて好意的なコメントを自由記述欄に記載した回答者も見られた。
今月はアクティブラーニングの中でもとくにTBLという技法に絞って紹介を行った。この技法は大人数の授業でも実施可能であり、多くの教職員が関心をもって参加したものと推測される。また、第2回に実践例を紹介することで、どのように実施するのかについてより具体的なイメージを持ちやすくなったと推測される。今後もこのような1つの技法を取り上げて重点的に紹介する試みについて、定期的な実施を検討したい。
■アンケート回答結果
第1回 (n=28)

第2回 (n=13)
■セミナーの模様(アーカイブ動画より抜粋)
ご不明な点などございましたら、下記アドレスもしくは、電話でお問合せください。
教育支援課教育企画係 メール:kykikakuk@tokushima-u.ac.jp
電 話:088-656-7686 内線(82)7125
徳島大学全学FD推進事業も紹介していますのでぜひご覧ください!
http://www.tokushima-u.ac.jp/highedu/reform/

