生体(せいたい)防御(ぼうぎょ)医学(いがく)分野(ぶんや)　安(あん)友康(ともやす)二(に)教授(きょうじゅ)が、慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の病態(びょうたい)解明(かいめい)とその克服(こくふく)を目指し(めざし)た研究(けんきゅう)の業績(ぎょうせき)により、令(りょう)和(わ)４年度(ねんど)科学(かがく)技術(ぎじゅつ)分野(ぶんや)の文部(もんぶ)科学(かがく)大臣(だいじん)表彰(ひょうしょう)を受賞(じゅしょう)しました。
令(りょう)和(わ)４年(ねん)５月(ごがつ)１７日(にち)、本学(ほんがく)事務(じむ)局(きょく)において、河村(かわむら)学長(がくちょう)から賞状(しょうじょう)及び(および)副賞(ふくしょう)が手渡さ(てわたさ)れました。

　　　　
 

■慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の病態(びょうたい)解明(かいめい)とその克服(こくふく)を目指し(めざし)た研究(けんきゅう)
　慢性(まんせい)炎症(えんしょう)は免疫(めんえき)難病(なんびょう)、臓器(ぞうき)の線維(せんい)化(か)、悪性(あくせい)腫瘍(しゅよう)などの病態(びょうたい)に関わる(かかわる)ことから、その克服(こくふく)は現代(げんだい)医療(いりょう)において重要(じゅうよう)な課題(かだい)の一つ(ひとつ)である。慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の原因(げんいん)は多岐(たき)にわたると推定(すいてい)されているが、その発症(はっしょう)に関わる(かかわる)遺伝(いでん)的(てき)素因(そいん)はほとんど解明(かいめい)されていない。
　本(ほん)研究(けんきゅう)では家族(かぞく)性(せい)炎症(えんしょう)性(せい)疾患(しっかん)のゲノム解析(かいせき)により、慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の発症(はっしょう)に関わる(かかわる)遺伝子(いでんし)群(ぐん)を見出し(みいだし)、さらに各(かく)慢性(まんせい)炎症(えんしょう)性(せい)疾患(しっかん)を忠実(ちゅうじつ)に再現(さいげん)することができる動物(どうぶつ)モデルを樹立(じゅりつ)した。 本(ほん)研究(けんきゅう)により、従来(じゅうらい)の動物(どうぶつ)モデルや培養(ばいよう)細胞(さいぼう)を用い(もちい)た研究(けんきゅう)からは推定(すいてい)されていなかった慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の発症(はっしょう)に決定的(けっていてき)に寄与(きよ)する分子(ぶんし)経路(けいろ)が明らか(あきらか)になった。慢性(まんせい)炎症(えんしょう)に関わる(かかわる)遺伝子(いでんし)群(ぐん)を改変(かいへん)する事(こと)により樹立(じゅりつ)した動物(どうぶつ)モデルは、慢性(まんせい)炎症(えんしょう)の早期(そうき)診断(しんだん)に用いる(もちいる)ことができるバイオマーカーの探索(たんさく)や、創(そう)薬(やく)を実現(じつげん)するための優れ(すぐれ)たプラットフォームとして用いる(もちいる)ことができる。
　本(ほん)成果(せいか)は、慢性(まんせい)炎症(えんしょう)によって引き起こさ(ひきおこさ)れる新た(あらた)な疾患(しっかん)概念(がいねん)の創出(そうしゅつ)につながり、炎症(えんしょう)性(せい)疾患(しっかん)の確定(かくてい)診断(しんだん)および治療(ちりょう)法(ほう)の選択(せんたく)・開発(かいはつ)に貢献(こうけん)したとともに、将来(しょうらい)、慢性(まんせい)炎症(えんしょう)に対する(にたいする)画期的(かっきてき)な治療(ちりょう)薬(やく)開発(かいはつ)に寄与(きよ)することが期待(きたい)される。

主要(しゅよう)論文(ろんぶん)：「免疫(めんえき)プロテアソーム機能(きのう)異常(いじょう)症(しょう)の原因(げんいん)遺伝子(いでんし)発見(はっけん)に関する(にかんする)研究(けんきゅう)」The Journal of Clinical Investigation誌(し)、vol.121、p4150～4160、2011年(ねん)発表(はっぴょう)、「家族(かぞく)性(せい)肺(はい)線維(せんい)症(しょう)の原因(げんいん)遺伝子(いでんし)発見(はっけん)に関する(にかんする)研究(けんきゅう)」The Journal of Experimental Medicine誌(し)vol.216、p2724～2735、2019年(ねん)発表(はっぴょう)