大学院医歯薬学研究部消化器内科学分野　教授　髙山　哲治

　この度、第110回日本消化器病学会総会を2024年5月9日（木）～11日（土）の3 日間、徳島市のアスティとくしまと徳島文理大学にて開催させて頂くことになりました。日本消化器病学会は1898年に創設された伝統のある学会であり、会員数は約35,000人以上おります。この歴史と伝統のある日本消化器病学会の第110回総会会長を拝命し、大変光栄に存じております。本学会は毎年春に総会（年1回）を開催してきましたが、1959年から秋に大会を開催するようになり、その後 秋の大会は日本消化器病学会週間（JDDW）の一環として開催されるようになりました。徳島では、55年前の1969年（昭和44年）秋に徳島大学第１外科 田北周平教授を会長として大会を開催いたしました。それ以来55年ぶりの日本消化器病学会であり、総会の開催は初めてであります。また、私の所属する消化器内科学（旧第二内科）が開催するのも初めてであり、身の引き締まる思いで準備を進めております。
　本総会のメインテーマは、「トランスレーショナル・リサーチが切り開く新しい消化器病学」と致しました。周知の通り、医学の発展は、臨床医が臨床現場で抱く疑問（クリニカルクエスチョン）をきっかけに研究が開始されることが多いと思います。その疑問点を解決するために、臨床検体を採取して解析を行うとともに、得られたデータから新しい治療薬を推定（新機器を作製）し、in vitro でそれらの有効性を検証します。次いで、動物実験を行い、最終的にヒト臨床試験により有効性と安全性を確かめて承認が得られます。われわれ臨床家が行うこのような研究は、臨床に翻訳される研究（トランスレーショナル・リサーチ）として、その重要性はますます高まっております。
　本総会では特別講演3 題、特別企画として「AIを用いた消化器診療はどこまで進んだのか？」などを予定しております。国際セッションでは、「消化器領域における前癌病変／状態と癌予防」をテーマと致しました。また、シンポジウム14題、パネルディスカッション14題、ワークショップ14題の合計42題の主題セッション、並びに一般演題を予定しております。
　昨年5 月にCOVID-19が5 類に指定されて以降、ほぼCOVID-19も収まりつつあると思われますので、現地参加可能な先生方には現地に来て頂き、久しぶりに対面で熱いディスカッションをして頂ければと思います。教室をあげて本総会に参集する先生方を歓迎したいと考えております。
　第110回日本消化器病学会総会の企画・プログラム作成におきましては、同学会役員、学会関係者、ならびに徳島県観光協会の方々に大変お世話になりました。また、徳島文理大学の一部を会場として利用することをご快諾頂いた同大学の関係者に厚く御礼を申し上げます。さらに、同門の先生方、教室の事務局長（岡本耕一講師）、教室員、技術・教務補佐員の方々に厚く御礼を申し上げます。