2023年見学会報告

トップ徳島大学工業会徳島支部2023年見学会報告
  • 日時:令和5年10月14日(土)徳島駅出発8:30~16:45
  • 見学施設:J-POWER(電源開発㈱)橘湾火力発電所、阿南ロイヤルガーデンホテル(昼食場所)、四国化工機㈱阿南食品工場
  • 参加者:37名(大型バス1台)

 令和5年10月14日(土)に徳島県阿南市のJ-POWER(電源開発株式会社)、四国化工機(株)阿南食品工場を訪問致しました。
 新型コロナ感染症が今年5月に5類感染症へ移行しました。支部役員会で見学会の実施は県内企業と決め交渉しましたが、受け入れ企業の希望もありバス1台の50名で参加者を募集いたしました。
 J-POWER橘湾火力発電所は阿南市橘湾の小勝島の一部を四国電力と共同開発したもので平成7年3月から土木工事が始まりました。平成12年7月に1号機が12月には2号機が運転開始され280万kwの発電出力を持っています。(一般家庭100万世帯分に相当する)橘湾火力発電所は石炭を燃料とした、日本トップ3に入る規模の高効率な火力発電所で発電した電気は四国地域の他、関西、中国、九州地域で使われています。
 当日は天気予報で午後から雨の予報が出ており、バスで移動中に空模様が気になりました。午前10時前に発電所に到着して柴山所長様、松尾保守グループサブリーダー様、田中運用グループサブリーダー様に迎えられました。早速火力発電所の撮影ポイント前で集合写真を撮り、会議室で発電所建設の経緯やボイラー・タービン設備の概要、排煙の環境対策について説明を受け、会社の紹介ビデオを見せて頂き、その後発電所の現場に案内して頂きました。
 発電所の運転センターでは開放的な広い部屋で日本初の100インチ大型スクリーン6面により24時間2交代の勤務形態で運転・監視を行っていました。当日は2号機が定期検査に入って1号機のみ運転を行なっていましたが、整理整頓されたタービン室では105万kwのタービンの大きさと運転音に驚きました。次にエレベーターで地上80m高さのボイラー屋上に出て発電所全体配置の説明を受けました。眼下には風光明媚な阿南室戸国定公園に指定されている半島や島々が広がっています。会員から案内をして頂いている方へ様々な質問が出ましたが丁寧に対応して頂きました。屋上で記念撮影を行った後エレベーターで会議室まで戻り最後の質疑応答に入りました。会員からは排出された石炭灰の処理方法やCO2対策など多くの質問が出ましたが、柴山所長から丁寧な説明を頂きました。予定時間を少し過ぎましたが12時に発電所を出発し、同時に雨が降り出しましたが橘湾から昼食場所である阿南市のホテルへ向かいました。

 昼食を終え次の見学先である四国化工機阿南食品工場へ予定通りの13時30分に到着しました。会議室に案内して頂き、工業会本部の林宏二郎理事長様(機械45年卒、四国化工機常任監査役)の出迎えを受け工場の概要を説明して頂きました。機械設計をしていた時に豆腐製造の自動機械を開発する業務についていたそうです。
 阿南食品工場で会社のビデオを見せて頂き、機械事業部、包装資材事業部、食品事業部の3事業を持っていることが四国化工機でしか出来ない強みである事がよくわかりました。食品事業生産本部の取締役副本部長馬詰宏明様(精密62年卒)からブランド名であるさとの雪のこだわりについて説明を頂きました。「大豆」「にがり」「水」だけで日本伝統食品のお豆腐を手作り本来の味そのままにお届けするために、素材、製法・製造技術、安全、安心、研究開発、品質へこだわりを続けているそうです。製造設備の進歩や技術の向上で美味しいお豆腐が常温のまま長期間の保存が可能となっています。
 工場見学では新棟の設備を見学することが出来ました。見学コースにはお豆腐の製造工程が図示されたものが置かれ、説明を頂いた後に木綿豆腐の新設備を見ることが出来ました。運転員はコンベアに乗った最終の製品を箱詰する時に、ダンボール紙をセットする場所に居ましたがそれ以外は自動化されているように思われました。見学が終わり会議室に戻るとお豆腐の試食があり、出来立てのなめらかで香りの豊かな豆腐の味を楽しみました。
 質疑応答では一昨年に稼働した新設備について詳しい説明を頂きました。自社開発した木綿豆腐と無菌紙パック豆腐の新型機は複数のロボット装置、人工知能を用いた自動検品システム、無人搬送フォークリフトが導入されていました。このような自動化・省力設備で人が目視で行っていた作業が無くなり、スピードや精度がアップし、品質の安定化、技術の伝承、労務費の削減などが実現でき生産能力も大きく増強されたそうです。
 廃棄物対策の質問には副産物の「おから」から植物繊維と植物性蛋白質が豊富な「おからパウダー」を開発・販売しており、残りは牛や豚の飼料として有効活用とのことでした。エネルギー対策では加熱・殺菌を行なう蒸気の発生を重油ボイラーからガスボイラーに転換してCO2排出量を大きく削減しています。製造工程ではお豆腐の1丁1丁を加熱するのに放熱の多い蒸気加熱から熱効率が高い電気を利用したジュール加熱を採用する事で省エネを図っていました。
 15時30分には質疑を終え会議室を後にしましたが、お土産にお豆腐をいただきました。雨が降っていましたが事務所前で集合写真を撮りバスへ乗り込みました。徳島大学工学部の卒業生には大変お世話になりました。感謝申し上げます。
 徳島駅に着いても雨は降っておりましたが無事見学会の全工程を終了して会員の皆様には充実した一日を過ごしていただくことが出来ました。

(精密49年卒 宮本良之)

2023年見学会報告記念写真の様子
写真1 J-POWER(電源開発㈱)橘湾火力発電所にて

2023年見学会報告記念写真の様子2
写真2 四国化工機㈱阿南食品工場にて


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