各界で活躍されている徳島大学薬学部の先輩から、入学を志す方や在籍している皆さんへの熱いメッセージです!
今回は、現在、欧米各地で申請中の新薬開発に携わった大塚製薬株式会社の鳥取 桂さんからのメッセージです。
楽しかった研究所の日々
大塚製薬株式会社 人事部[研究・生産担当]課長
鳥取 桂 さん (1976年薬剤学卒業)
充実した研究所の日々
「20年間、同じ研究所にいられたことはとてもラッキーで、楽しく充実した日々でした」と、ほんの一年前まで所属していた研究所時代を振り返る鳥取さん。ここで開発された「総合失調症治療薬」はアメリカのBMS(フリストル・マイヤーズスクイブ)社との共同開発共同販売契約により、アメリカではすでに許可を受け、現在∃-ロッパや日本にも申請されて います。鳥取さんも開発者の大城靖男、菊地哲朗両博士の下、99~01年末にかけてBMS社との共同開発作業に携わりました。ここでの2年間は大変貢重な経験となり、毎日が「目から鱗」の連続であったそうです。「まず全ての行動がコールに向かって戦略的に組まれていること。製薬の開発にしても、日本は申請を通すことが目的になりがちだが、アメリカでは申請が通るのは当たり前で、最初からマーケティングまでの作戦が練られているのです。」
社会の役に立つ職業に
大学時代はごく普通に平々凡々と過ごしていた鳥取さんですが、ある授業で教授が「皆さんは国の予算を使って勉強しているのだから、卒業したら必ず社会の役に立つ職業につきなさい。決して薬剤師の免状をしまったままにしないように。」と言った言葉がずっと印象に残っていたそうです。それでも卒業当時は就職難で、特に女性には厳しい時代でした。卒業後4年間、某社に勤めてから結婚。その後、子育てのことなど考えずに共働きのために大塚製薬に入社しました。「家族の理解や支えがあったればこそ続けられたと感謝しています」当時は大塚製薬のシンボルであるハイゼットタワーもまだなく、現在旧棟と呼ばれている研究棟で20年間を過ごしたのです。
研究者をサポートする立場に
昨年1月に畑違いの人事部に異動。「まだまだ慣れませんが、毎日勉強させてもらっています。今までよりお付き合いも大きく広がりました」と語る鳥取さんは「人事面談」としてマン ツーマンで1年半で500名以上の研究者と面談をしました。「大塚には優秀な研究者がたくさん います。この力をもっともっと集中できたらすごいパワーが生まれると思います。私は微力ながら、その人たちをサポートしていく立場だと考えているんです。」最後に、薬学郡を卒業して就職をめざす人たちに、一言アドバイスを。 「自分の得意分野を持っている人、自分の言葉で自分を表現できる人、自分で考え行動できる人、逆境にめげずに明るい方向に考えられる人、常 に新しい自分になろうと努力している人…なぁんて、こんなにすばらしい人はなかなかいるものではありませんが、そういう人になろうと日々努力することが大事だと思います。」また、海外の企業や研究者とつきあっていると、「あなたはなぜ学位を持っていないのか。」と言われるそうです。ですから在学中でも、就職してからでもいいから学位は取得しておいた方がいいそうです。 新しい薬の開発に長い間たずさわった鳥取さんは冬今、新しい「人」の開拓にがんばっています。