ラボは地球!? 異文化に飛び込み、 新しい世界のトビラを開く学生たち
ラボは地球!? 異文化に飛び込み、新しい世界のトビラを開く学生たち

ナビゲーター
総合科学部 社会総合科学科 2年 北野 真帆 (きたの まほ)
総合科学部 社会総合科学科 3年 北嶋 泰周 (きたじま たいしゅう)

ラボは地球⁉世界に飛び立つ学生たち
「文化人類学の〝文化〞とは、当たり前すぎて意識されることがないモノの見方、慣習や価値観のこと。普段の生活では意識されない=見えにくい〝文化〞を意識し、見えるようにするために、文化人類学者は異文化に飛び込み、カルチャーギャップを経験することからはじまります」という内藤先生。学生たちは研究テーマに関連するカルチャーギャップを得るため、国内外に散らばっています。まさにラボは地球!というくらい、研究テーマによって行く先も様々。
北野さんが向かったのはイタリア。グローバリゼーションと家族農業についての研究を行うため、スローフードインターナショナルでインターンを行っています。スローフードインターナショナルとは、食を通じた文化と生態系の保全を目的にした運動を行う国際NGO 。滞在中には地中海に浮かぶ島、サルディーニャでファームステイも体験しました。
ファームステイでは、この地域に伝わるチーズ作りを学びました。1ヵ月間の滞在中には、農場主からスパルタ式にチーズの製造方法を仕込まれ、チーズにかける熱い思いを知ったという北野さん。その後、国連食
糧農業機関(FAO)で内藤先生と共にこの体験をいかしたプレゼンを行いました。このときの意見交換をきっかけに、帰国後はスローフードインターナショナルとAirbnbの連携によるスローフードツアー商品の企画・販売を通じて、徳島県西部にある世界農業遺産サイトの保全に貢献したいと考えるようになったといいます。
このように北野さんは、世界で学んだ知見とつながりを日本の地域づくりに活かしています。

フィールドワークは五感を刺激する未知の旅!
もうひとりのナビゲーター、北嶋さんは、夏休み期間を利用して、ネパールのお茶生産地へ。現地の製茶工場で毎日大量のお茶を試飲し、香りや味の違いを体で学びました。
お茶という植物を加工することで、これほどまでに香りや味の違いを生み出すことができるのか、というのがネパールで感じたカルチャーギャップです。産地によっても作り方によっても、
幾通りにも変化するお茶の奥深さにふれながら、試飲を繰り返すうちに、この違いを生み出す職人の技に強い興味を持つようになりました。
こうしたフィールドワークは、私にとって五感を刺激する未知との遭遇。日常に潜むカルチャーギャップを楽しみながら、日々研究を進めています。そう語る北嶋さんの目標は、お茶のフェアトレードによってネパールの貧困問題を解決することにあります。

ジビエ商品の開発など地域に根ざした社会貢献活動も
このように世界を舞台にした研究だけでなく、地域に根ざした社会貢献活動もおこなっているのが、内藤ゼミの面白いところ。そのひとつにジビエの商品開発があります。いまや日本全体で深刻化しているシカやイノシシによる農作物・環境・安全への脅威を解決するために、利用されていないシカ肉を使ったソーセージを開発。ビジネスを通して野生獣肉を食べるという新習慣を定着をさせることを狙い、大学祭やイベントなどで販売を行っています。
この他、内藤先生が京都大学や国立民族学博物館での共同研究を率いていることから、第一線で活躍する文化人類学者が研究室に集まることも。徳島にいながら、文化人類学の最先端に触れることができると、交流を楽しみにしている学生も多いといいます。
内藤先生の専門はアフリカの牧畜民や難民の開発援助や人道支援に関する研究ということもあり、日本アフリカ学会中四国支部長や日本ナイル・エチオピア学会の評議員もされています。そのため、アフリカ研究の最前線にも触れることができるので、ゼミの先輩には日本のアフリカ研究の拠点である京都大学の大学院に進学する人もいます。
仲間たちと本気で議論し、新しい世界に触れてみたいと思っている人、そして世界で学んだことで得た知識や人脈を駆使して、地域の社会問題を解決したいと考えている人にとって、この研究室は最適な場所かもしれません。


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