山本(やまもと)哲也(てつや)(じゅん)教授(きょうじゅ)らの研究(けんきゅう)グループが,(だい)85(かい)日本(にっぽん)心理(しんり)学会(がっかい)学術(がくじゅつ)大会(たいかい)特別(とくべつ)優秀(ゆうしゅう)発表(はっぴょう)(しょう)受賞(じゅしょう)しました

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横浜市立大学(よこはましりつだいがく)医学(いがく)(ぐん) 菅谷(すげのや) (なぎさ)(じょ)(きょう)研究(けんきゅう)グループは,我が国(わがくに)行わ(おこなわ)れた過去(かこ)2(かい)緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)()における人々(ひとびと)のメンタル
ヘルスについて(だい)規模(きぼ)追跡(ついせき)調査(ちょうさ)行い(おこない)(1(かい)():2020(ねん)3月(さんがつ)11(にち)同年(どうねん)3月(さんがつ)12(にち),2(かい)():2021(ねん)2月(にがつ)24(にち)同年(どうねん)3月(さんがつ)1(にち)),
日本(にっぽん)特有(とくゆう)強制(きょうせい)(りょく)緩やか(ゆるやか)自粛(じしゅく)要請(ようせい)である「マイルドロックダウン」が与える(あたえる)影響(えいきょう)について明らか(あきらか)にしました。
研究(けんきゅう)成果(せいか)は,2021(ねん)9月(くがつ)1(にち)(みず))〜同年(どうねん)9月(くがつ)8(にち)(みず))に行わ(おこなわ)れた「日本(にっぽん)心理(しんり)学会(がっかい)(だい)85(かい)大会(たいかい)」において発表(はっぴょう)され,
学術(がくじゅつ)大会(たいかい)特別(とくべつ)優秀(ゆうしゅう)発表(はっぴょう)(しょう)」を受賞(じゅしょう)しました。

発表(はっぴょう)演題(えんだい)情報(じょうほう)
題目(だいもく)新型(しんがた)コロナウイルス感染(かんせん)(しょう)(COVID-19)の感染(かんせん)拡大(かくだい)起因(きいん)する反復(はんぷく)(てき)持続(じぞく)(てき)自粛(じしゅく)生活(せいかつ)心身(しんしん)健康(けんこう)にもたらす影響(えいきょう)
緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)()における(だい)規模(きぼ)オンライン縦断(じゅうだん)調査(ちょうさ)
発表(はっぴょう)(しゃ)山本(やまもと)哲也(てつや)内海(うつみ)千種(ちぐさ)鈴木(すずき)菜穂(なお)菅谷(すげのや)(なぎさ)

研究(けんきゅう)成果(せいか)のポイント】
• 1(かい)()比べ(くらべ)て,2(かい)()のマイルドロックダウン()においては,全体(ぜんたい)(てき)精神(せいしん)(てき)身体(しんたい)(てき)症状(しょうじょう)減少(げんしょう)していた。
• 一方(いっぽう)で,反復(はんぷく)(てき)なマイルドロックダウンによって,人々(ひとびと)対人(たいじん)交流(こうりゅう)様式(ようしき)累積(るいせき)(てき)変化(へんか)生じ(しょうじ)ており,社会(しゃかい)(てき)ネットワークが
 減少(げんしょう)していたことに加え(くわえ)て,主観(しゅかん)(てき)孤独(こどく)(かん)高い(たかい)まま維持(いじ)憎悪(ぞうお)されることが示さ(しめさ)れた。
• 若年(じゃくねん)(そう)(18〜29(さい))は(そもそも)うつや(まれ)()念慮(ねんりょ)死に(しに)たいという気持ち(きもち))を最も(もっとも)高く(たかく)示し(しめし)()にも女性(じょせい)精神(せいしん)疾患(しっかん)治療(ちりょう)(れき)がある人々(ひとびと)
 社会(しゃかい)(てき)不利(ふり)環境(かんきょう)にいる人々(ひとびと)は,自粛(じしゅく)要請(ようせい)影響(えいきょう)特に(とくに)受け(うけ)やすいことが示唆(しさ)された。
• 社会(しゃかい)(てき)ネットワークの減少(げんしょう)高い(たかい)孤独(こどく)(かん)は,(そもそも)うつや(まれ)()念慮(ねんりょ)密接(みっせつ)関連(かんれん)することが示さ(しめさ)れたため,これらの特徴(とくちょう)有する(ゆうする)
 人々(ひとびと)健康(けんこう)状態(じょうたい)に対して(にたいして)は,自粛(じしゅく)生活(せいかつ)()において特に(とくに)配慮(はいりょ)要する(ようする)必要(ひつよう)がある。

なお,(ほん)調査(ちょうさ)プロジェクトに関連(かんれん)する内容(ないよう)については,以下(いか)のリンクからも確認(かくにん)できます。
https://www.catlab.info/covid-19

研究(けんきゅう)成果(せいか)発表(はっぴょう)概要(がいよう)
背景(はいけい)目的(もくてき)
 新型(しんがた)コロナウイルス感染(かんせん)(しょう)(COVID-19)の感染(かんせん)拡大(かくだい)起因(きいん)する生活(せいかつ)変化(へんか)外出(がいしゅつ)自粛(じしゅく)(とう))が,人々(ひとびと)心身(しんしん)及ぼす(およぼす)影響(えいきょう)について
報告(ほうこく)がなされている。しかしながら,繰り返し(くりかえし)自粛(じしゅく)要請(ようせい)による反復(はんぷく)(てき)生活(せいかつ)変化(へんか)が,メンタルヘルスに及ぼす(およぼす)影響(えいきょう)について,
縦断(じゅうだん)(てき)実証(じっしょう)した研究(けんきゅう)知見(ちけん)見受け(みうけ)られない。
心理(しんり)社会(しゃかい)(てき)支援(しえん)方針(ほうしん)検討(けんとう)する(うえ)で,反復(はんぷく)(てき)自粛(じしゅく)生活(せいかつ)によるメンタルヘルスへの影響(えいきょう)明らか(あきらか)にすることは喫緊(きっきん)課題(かだい)である。
 そこで,緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)起因(きいん)する,日本(にっぽん)特有(とくゆう)強制(きょうせい)(りょく)緩やか(ゆるやか)自粛(じしゅく)要請(ようせい)である「マイルドロックダウン」(以下(いか),MLD)の
時期(じき)焦点(しょうてん)をあて,過去(かこ)2(かい)緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)()における(だい)規模(きぼ)オンラインアンケート調査(ちょうさ)実施(じっし)した。

方法(ほうほう)
 1(かい)()調査(ちょうさ)では,緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)対象(たいしょう)となった7都府県(とふけん)在住(ざいじゅう)の10〜80(だい)男女(だんじょ)11,333(にん)対象(たいしょう)にした。調査(ちょうさ)項目(こうもく)は,(そもそも)うつや
(まれ)()念慮(ねんりょ)死に(しに)たいという気持ち(きもち))(PHQ-9)・ストレス(K6)・身体(しんたい)症状(しょうじょう)(SSS-8)・孤独(こどく)(かん)(UCLA-LS3)・社会(しゃかい)(てき)ネット
ワーク(LSNS-6)・自粛(じしゅく)生活(せいかつ)への脆弱(ぜいじゃく)(せい)影響(えいきょう)すると考え(かんがえ)られている属性(ぞくせい)年齢(ねんれい)性別(せいべつ)所得(しょとく)精神(せいしん)疾患(しっかん)治療(ちりょう)(れき))であった。
 2(かい)()調査(ちょうさ)では,緊急(きんきゅう)事態(じたい)宣言(せんげん)対象(たいしょう)となった10都道府県(とどうふけん)の10〜80(だい)男女(だんじょ)20,610(にん)対象(たいしょう)にした。そのうち,1(かい)()からの
追跡(ついせき)調査(ちょうさ)データは男女(だんじょ)7,893(にん)であり,(ほん)研究(けんきゅう)では追跡(ついせき)調査(ちょうさ)データを用い(もちい)た。調査(ちょうさ)項目(こうもく)は,1(かい)()調査(ちょうさ)項目(こうもく)加え(くわえ)て,
不安(ふあん)(GAD-7)に関する(にかんする)指標(しひょう)への回答(かいとう)求め(もとめ)た。
(そもそも)うつと関連(かんれん)する変数(へんすう)網羅(もうら)(てき)相互(そうご)作用(さよう)構造(こうぞう)可視(かし)()するため,性別(せいべつ)年齢(ねんれい)所得(しょとく)精神(せいしん)疾患(しっかん)治療(ちりょう)(れき)有無(うむ),および(ぜん)2(かい)
調査(ちょうさ)()(そもそも)うつ,(まれ)()念慮(ねんりょ)孤独(こどく)(かん)社会(しゃかい)(てき)ネットワークに対して(にたいして),ノンパラメトリックベイズ(ども)クラスタリングを用い(もちい)た。なお,
(ほん)研究(けんきゅう)筆頭(ひっとう)著者(ちょしゃ)所属(しょぞく)機関(きかん)(ない)研究(けんきゅう)倫理(りんり)審査(しんさ)委員(いいん)(かい)承認(しょうにん)()ており(No.212),開示(かいじ)すべき利益(りえき)相反(そうはん)関係(かんけい)にある企業(きぎょう)(とう)はない。

方法画像1.png

結果(けっか)考察(こうさつ)
 1(かい)()比べ(くらべ)て2(かい)()のMLD()においては,全体(ぜんたい)(てき)精神(せいしん)(てき)身体(しんたい)(てき)症状(しょうじょう)減少(げんしょう)していた。一方(いっぽう)で,いずれの時点(じてん)でも人々(ひとびと)
社会(しゃかい)(てき)ネットワークは社会(しゃかい)(てき)孤独(こどく)示す(しめす)水準(すいじゅん)(LSNS-6 < 12)にあり,2(かい)()のMLD()にさらに顕著(けんちょ)になっていた。さらに,
孤独(こどく)(かん)は2(かい)()増大(ぞうだい)していた。そのため,反復(はんぷく)(てき)なMLDによって,人々(ひとびと)対人(たいじん)交流(こうりゅう)様式(ようしき)累積(るいせき)(てき)変化(へんか)生じ(しょうじ)ており,
主観(しゅかん)(てき)孤独(こどく)(かん)高い(たかい)まま維持(いじ)憎悪(ぞうお)されることが示さ(しめさ)れた。
 注目(ちゅうもく)すべき結果(けっか)として,若年(じゃくねん)(そう)(18-29(さい))は(そもそも)うつや(まれ)()念慮(ねんりょ)最も(もっとも)高く(たかく)示し(しめし)()年齢(ねんれい)(そう)異なっ(ことなっ)て,2(かい)()にこれらの
指標(しひょう)低減(ていげん)していなかった。年齢(ねんれい)低い(ひくい)人々(ひとびと)ほど,パンデミックによる悪影響(あくえいきょう)受け(うけ)やすいことを示し(しめし)ており,若年(じゃくねん)(そう)への
早急(そうきゅう)なサポートが強く(つよく)望ま(のぞま)れる。

結果画像1.png

 

結果画像2.png

結論(けつろん)
 解析(かいせき)結果(けっか)から,MLDを反復(はんぷく)(てき)実施(じっし)することは,人々(ひとびと)社会(しゃかい)(てき)孤立(こりつ)悪化(あっか)させ,孤独(こどく)(かん)に対して(にたいして)累積(るいせき)(てき)悪影響(あくえいきょう)をもたらす
可能(かのう)(せい)示さ(しめさ)れた。また,若年(じゃくねん)(そう)女性(じょせい)精神(せいしん)疾患(しっかん)治療(ちりょう)(れき)がある人々(ひとびと)社会(しゃかい)(てき)不利(ふり)環境(かんきょう)にいる人々(ひとびと)は,自粛(じしゅく)要請(ようせい)影響(えいきょう)
特に(とくに)受け(うけ)やすいことが示唆(しさ)された。孤独(こどく)(かん)社会(しゃかい)(てき)ネットワークがメンタルヘルスと特に(とくに)密接(みっせつ)関連(かんれん)していたため,これらの
悪化(あっか)傾向(けいこう)強く(つよく)呈する(ていする)人々(ひとびと)に対して(にたいして)は,一層(いっそう)配慮(はいりょ)必要(ひつよう)である。今後(こんご)は,脆弱(ぜいじゃく)となりうる人々(ひとびと)健康(けんこう)状態(じょうたい)に関して(にかんして)様々(さまざま)
手法(しゅほう)併用(へいよう)した継続(けいぞく)(てき)調査(ちょうさ)と,保護(ほご)因子(いんし)危険(きけん)因子(いんし)解明(かいめい),そして人々(ひとびと)困難(こんなん)応じ(おうじ)たサポート体制(たいせい)構築(こうちく)必要(ひつよう)不可欠(ふかけつ)である。

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