1. 基本方針
令和元年度全学FD推進プログラムにおいては、専門分野・カリキュラム体系の観点から、教育改革の推進とその効果検証を進め、教員の職能開発の観点から、大学教育再生加速プログラムの事業と連携しアクティブ・ラーニングを推進する。具体的には、次の2.に示すプログラムを通して、学び合いの場(機会)を提供することにより、各学部等教員と総合教育センター教員が連携して、更なる教育の質向上と相互に高め合うSoTL実践活動※1. の文化を形成する。

※1.SoTL(Scholarship of Teaching & Learning)実践活動
  個々の教員が持っている教授実践に関する膨大な知識や経験を、「解りやすい伝達可能な形にし」、さらに「教員たちがそれらの知識を共有し切磋琢磨する」過程で新たに「教授実践コミュニティーとしての知的資産を産み出し」、それらを「体系的に蓄積し、再利用できるようにする」活動。

2. 全学FD推進プログラムの実施計画
令和元年度は、大学執行部及び学部等への提案や連携を行いながら教育改革を進めるために、次の4つの観点からFDを進める。その観点は、1)教育改革FD、2)教育の質保証FD 、3)教育力開発FD 、4)総括的なFDであり、それぞれ以下のa~jのFDプログラムがそれにあたる。


1)教育改革FD(マクロレベルのFD:大学における組織改革・改善)

a.教育改革に関する勉強会・意見交換
【概要】徳島大学の教育改革を遂行するために、全国の大学改革の動向及び徳島大学の現状に

ついて、教育担当理事や役員等と意見交換を行い、必要な提案を行う。
【対象者】教育担当理事等
【開催時期】随時(教育担当理事と相談)
【場所】教育担当理事室等
【内容例】・教育の質保証方針の実質的な運用に関する検討
  ・教学IRの実施に向けた検討
・SIH道場で修得したラーニングスキルを継続して育成していくための検討


2)教育の質保証FD(ミドルレベルのFD:学部・学科の教育プログラム開発・改善)

b.質保証のためのワークショップ
【概要】平成30年度に策定された教育の質保証方針を下に、徳島大学における各教育プログラムのPDCAサイクルを確立させるために、カリキュラムの質保証、評価・改善に向けた具体的なワークを行う。また、学部等の実態に合わせた学部等FDを実質化するための支援や情報提供を必要に応じて行う。
【対象者】各学部・学科等のFD委員、教務委員等
【開催時期】随時(各学部・学科のFD委員等と相談)
【場所】各学部・学科等と相談
【内容例】・各学部・学科等のカリキュラム評価・改善に関する支援・情報提供等
・カリキュラムマップ、科目ナンバリングの活用等

3)教育力開発FD(ミクロレベルのFD:教員個人の職能開発)

c.授業設計ワークショップ
【対象者】教育力開発コースの教員+各部局からの推薦者、希望者、SPOD加盟校教員
【開催時期】令和元年8月22日(木)~23日(金)(通いで2日間)
【場所】けやきホール・教養教育4号館201他
【内容】主に授業設計と教育技術に関する理論と実践を学ぶものであり、シラバスと授業計画の作成、模擬授業の体験を通して、日常的な教育改善のために相互に協力し学び合う相互研修である。FD委員も講師、スタッフとして参加する。

d. 授業実践の振り返り
【対象者】教育力開発コースの教員+各部局からの推薦者、希望者
【実施時期】随時
【内容】日常的な授業実施における実践の振り返りを行うことで、授業の設計・実施の見直し及び改善までの取組を支援する。主な活動は次の通り。
・対象授業の「シラバス」の送付(既存のもの、または修正したもの)
・対象授業日の「授業計画書」の作成・送付(任意様式)
・学生アンケートの実施・送付(指定様式、集計は教育改革推進部門が行う)
・「授業実践の振り返りシート」の作成(指定様式)

e.授業参観・授業研究会

【対象者】教育力開発コースの教員+各部局からの推薦者、希望者
【開催時期】随時
【場所】各部局の会場、授業研究インテリジェントラボ等
【内容】授業改善のためのコンサルティング及び授業技術の共有を行う。方法としては、授業参観(映像撮影・学生アンケートを含む)を行い、それらのデータをもとに、参観後一週間以内をめどに授業研究会を開催する。

f.ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップ
【対象者】教育力開発コースの教員+各部局からの推薦者、希望者、SPOD加盟校教員
【開催時期】令和元年9月11日(水)~13日(金)(3日間)
【場所】日亜会館会議室等
【内容】自身の教育活動について振り返り記述した本文とその記述を裏づける資料(エビデンス)から成る教育業績に関する記録(ティーチング・ポートフォリオ)を作成する。ワークショップでは、参加教員(メンティー)にメンターが寄り添い、ティーチング・ポートフォリオを作成する。

※ 教育力開発コース【概要】

「c.授業設計ワークショップ」、「d.授業実践の振り返り」、「e.授業参観・授業研究会」、「f.ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップ」の4つのプログラムは、それぞれ、授業設計、授業の実施・改善、教育活動を振り返り、自身の目標を明確にし、改善につなげるといった一連のプロセスを支援するためのものである。徳島大学においてはこれらの教育活動を重視しており、教育力開発コースとして、主に助教から講師、准教授昇任後1年以内の教員を対象に実施する。

対象者は、「c.授業設計ワークショップ」、「d.授業実践の振り返り」、「e.授業参観・授業研究会」を必ず受講する。ただし、「d.授業実践の振り返り」において、所属学部のFD委員長が、提出された「シラバス」、「授業計画書」をもとに、「授業実践の振り返りシート」の各項目を確認し、授業におけるPDCAサイクルが構築されていることを認め、FD委員会において承認を得た場合は、「e.授業参観・授業研究会」を免除することができる。さらに、これらのプログラムを受講後3年以内に、「f.ティーチング・ポートフォリオ作成ワークショップ」を受講することが望ましい。

 

 

 

 

 

 

 

g.アクティブ・ラーニングを推進するFD
【概要】アクティブ・ラーニングを学内に推進していくために、アクティブ・ラーニングに関する政策的動向や理論的背景、具体的な教授手法やスキルを習得するためのセミナー、ワークショップを実施する。
【対象者】学内外の教職員
【開催時期】随時(定期的に開催する)
【場所】常三島地区及び蔵本地区
【内容例】・アクティブ・ラーニングの基本や教授技術の習得に関するFD
・大学教育再生加速プログラムに関連したFD
・ラーニングコミュニティをベースとしたテーマ別FD

h.教授学習に関するFD
【概要】教育現場のニーズに合わせて教職員の能力開発に資するテーマを随時検討し、新しいテーマのセミナー、ワークショップを実施する。
【対象者】学内外の教職員
【開催時期】随時(定期的に開催する)
【場所】常三島地区及び蔵本地区
【内容例】・授業運営・成績評価に関するFD
         ・教学IRデータを活用したカリキュラム運営・評価に関するFD
        ・ティーチングポートフォリオチャートの作成に関するFD

4)総括的なFD
i.大学教育カンファレンス in 徳島
【概要】これまでのFD活動の成果を検証し、FDネットワークを充実・発展させる機会となるよう、本学や他の高等教育機関で行なわれている教育実践の先駆的な取り組みを共有し、大学教育の質的向上に向けた成果を確認する。
【対象者】学内外の教職員、学生、一般市民
【開催時期】令和元年12月26日(木)
【場所】教養教育4号館等
【内容】特別講演、口頭発表、ポスター発表、ワークショップ等

j.『大学教育研究ジャーナル 第17号』の発行
【概要】FD研究及びFD活動を中心とし、高等教育に関する研究などの、独創的な論文を掲載する。
【時期】令和2年3月末

以上

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