スダチチンに関する取材

2019年8月30日

先日、テレビ○○の取材を受けた。以前研究発表したスダチの果皮に含まれるスダチチンの抗肥満作用に関するものだった。

 

スダチチンは筋肉におけるsirt-1という分子を活性化しミトコンドリアの生合成を亢進させる。この経路はエネルギー代謝に深く関わっているので、エネルギー消費量が増加し、脂肪エネルギー比率が高い(エネルギー含有量が高い)餌をマウスに食べさせても体重の増加が軽度になる。その結果として、内臓脂肪の蓄積や血中の中性脂肪値も改善する。

 

今回のスダチチンに関する取材では、研究結果について数行程度のコメントをしてほしいとの依頼であった。もともと話をすることは得意ではないが、学生を前にした講義は長いことしてきた。たった数行であっが、いざカメラを目の前にすると緊張のためか、顔がこわばり、紙面に記載されているコメントが頭の中から抜けていく。何回も言葉に詰まるので、「アドリブで言ってもらっていいですよ。」と言われたが、逆にその言葉が心理的圧迫を生む要因となる。途中で噛んでしまい途中中断の繰り返し。10回くらいダメ出しをもらい、額に、いや顔全体に汗がにじむ。テレビの健康番組を見ながら、あれだけ批判的な言葉を発しておきながら、いざ自分が情報を発する立場になるとこんな状態になってしまうのか。

 

コメントは今でも、頭に残っている。「スダチの果皮にはスダチチンというポリフェノールが含まれています。(動物を用いた研究では)スダチチンは代謝を高め内臓脂肪を減少させる作用があることが分かりました。」。以前より、私たちが明らかにしたことは動物レベルであり、人を対象とした場合はどんな作用があるのかは分からないという点は強調してきたつもりだ。一般の人に対して誤解を生じさせることは避けなくてはいけない。しかし、緊張のため、一番肝心な、(動物を用いた研究では)が抜け落ちてしまった。取材記者から、「動物を用いたという言葉は入っていませんが、先生にはご迷惑をおかけしません」との言葉を頂いた。

 

以前、広報用の写真のモデルを依頼したKさんがつぶやいた言葉を思い出す。「無様な面を晒してしまった」。まさにその通り。これからはカメラを前にした取材はお断りしよう。

 

<令和1年8月27日:酒井>

 

 

 

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