寺尾研究室 研究テーマ

2011年10月17日

1・生体酸化ストレスにおける脂質ヒドロペルオキシド生成反応の生理病理学的意義の解明と食品因子による反応制御

ヒトを含む好気性生物の生存にとって酸素分子は必須であるが、一方で酸素分子は強い毒性を有する。生体膜や血漿リポタンパクを構成する不飽和脂質は酸素分子と容易に反応し、一次反応生成物として脂質ヒドロペルオキシド(Lipid Hydroperoxide:LOOH)を生じる。LOOHは生体膜物性を変化させるとともに細胞内・細胞間の酸化ストレスシグナルメディエーターとして作用する。さらにLOOHが分解すると生体毒性をもたらす酸素ラジカルや活性カルボニルが発生し、生体にとって好ましくないさまざまな反応が惹起する。グルタチオンペルオキシダーゼやペルオキシレドキシンはLOOHを解毒する酵素群であり、低分子抗酸化物質やこれら酵素群によってLOOH量は機能調節されている。そこで、私達はTLCブロット法を利用したLOOH の定量解析法を開発し、生体におけるLOOHの生成と分解そして解毒プロセスを追跡することにより、LOOHの生理的病的意義を明らかにすることを目指している。さらに抗酸化酵素の発現誘導や活性制御をもたらす食品成分を探索することにより、LOOHが介在する生体酸化ストレスを標的とする食品因子を同定する。 このアプローチは食品機能としての抗酸化作用に新しい概念を与えるものである。

生体酸化ストレスにおけるLOOHの生理・病理学的意味

 

2・中枢神経系に対する食品機能成分の作用機構の解明

私達は2003年―2008年に実施した文部科学省COEプログラム「ストレス制御をめざす栄養科学」において抗ストレス作用が期待される食品成分を探索した。その結果、フラボノイド類がセロトニン代謝酵素阻害作用により脳内セロトニン量調節に働くことや、視床下部―脳下垂体―副腎皮質軸(HPA軸)を介したストレスホルモンの生成調節に働く可能性を示した。そこでフラボノイドを中心に、食品機能成分が中枢神経系に作用する機構を動物実験や培養細胞を用いてさらに詳細に解析することにより、食品摂取によるストレス調節機構の解明に取り組んでいる。

 

3・骨格筋萎縮を予防する食品機能成分の作用機構の解明

私達は2008年から生研センターのプロジェクト研究である「筋肉老化を防ぐペプチドおよびフラボノイドの開発」を遂行している。骨格筋萎縮の抑制が期待されるフラボノイドを探索したところ、ある種のフラボノイドに効果が認められた。そこで、作用機構を詳細に解明するため、実験動物や培養細胞を用いて研究に取り組んでいる。さらには、血中や尿中の筋萎縮に関わるマーカーを解析する分析法の確立に取り組んでおり、ヒトでの臨床試験を目指している。

フラボノイド