rinshoushinrigaku大学院創成科学研究科
臨床心理学専攻(博士前期課程)

心の健康の回復と保持増進の観点から,地域社会の構築に貢献できる人材になる

文理横断的視点を持ち,心の健康の回復と 保持増進を実践する人材の養成

うつ病などの精神疾患,児童虐待や発達障がい,不登校やいじめ,犯罪被害者・加害者の心理的問題,労働者のメンタルヘルス不全など,我が国における心の健康の問題は喫緊の課題です。さらに,南海大地震など巨大災害時に生じる心理的問題も地域の重要課題です。そのため,今,地域では,臨床心理学の諸分野における高度な専門的知識と汎用的知識,関連領域に関する幅広い知識を備え,心の健康の回復と保持増進の観点から,地域社会の構築に貢献できる人材が強く求められています。

「公認心理師」養成への対応

本専攻においては,「臨床心理士」及び「公認心理師」の2つの受験資格取得が可能なカリキュラムを編成している。また,保健医療,福祉,教育,司法・犯罪,産業・労働等,地域社会の様々な領域における心理支援のニーズと密接に連動した,実践的な心理学教育を実施する。

文理横断的視点の醸成

「研究科共通科目」に「研究科基盤教育科目」(データサイエンス)(2単位必修)及び「グローバル教育科目群」「イノベーション教育科目群」(各1単位以上選択必修)を置き,文系・理系の枠を超えて必要となるデータサイエンスの基礎知識,国際社会に対応できるグローバルな視点,科学・技術イノベーションにかかる最新の研究トピックに関する知識,また多様な学問分野のアプローチに触れることを通して,物事を多面的に捉える視点を身につけさせる。さらに研究室を超えた学生が共同で文献講読や研究発表を行い討議する「臨床心理分野横断セミナー」の受講を通じて,専門分野の狭い枠にとどまらない,文理横断的視点を持つ人材を養成する。

想定される進路

心の健康の回復と保持増進の観点から地域社会の構築に貢献できる人材としての活躍を期待

保健医療 [病院,診療所など] ,福祉 [児童相談所,発達障害者支援センターなど] ,教育 [学校,教育委員会など] ,司法・犯罪 [少年鑑別所,少年院,被害者支援室など] ,産業・労働 [組織内健康管理センター・相談室,地域障害者職業センターなど]

人材需要の見通し

現在,わが国では,心の健康に関して,多様な領域で問題が山積しています。保健・医療領域では,うつ病など精神疾患患者数の増加,福祉領域では,児童虐待の増加や発達障がいへの支援,教育領域では,不登校やいじめ問題への対応,司法・矯正領域では,犯罪者の再犯予防,被害者への支援,産業領域では,労働者のストレスやメンタルヘルスへの対応などです。地域社会,特に,四国・徳島における課題としては,南海大地震など巨大災害時に,関係諸領域と連携しての,心のケアがあります。また,全国に先駆けて高齢化が急激に進んでおり,認知症などへの対応に際して,心理学的観点から,その査定と支援が求められています。このような状況下,本学における特徴的な学びに関わる需要としては,医療が挙げられます。特に, うつ病などに関わる新たな心理支援の未来像は, 支援対象者のウェアラブル機器などから得られる大量の心理・生体情報を人工知能によって解析し,当該個人に最適化された治療要因の特定と介入が期待されています。現在,こうした治療方法が示唆されているものの,カリキュラムとして対応している研究科は少ないです。その点において,本専攻では,研究科共通科目において「データサイエンス」「科学技術論」,クラスター科目において「ヒューマンセンシング」など,理工系科目の修得が可能となります。こうした新しい技法を身につけた人材養成カリキュラムは他に例がなく,新たな人材需要の掘り起こしにつながることが期待されます。

「医療・福祉」系企業・団体への徳島大学院修了生の採用需要

71.4%

「積極的に採用したい」「採用したい」「採用する可能性はある」

過去3年間に徳島大学(全学)に求人募集のあった全国の企業・団体など4,118件に対し,大学院創成科学研究科修士課程各専攻修了生の採用意向を問うアンケート調査を実施した(回答数721,回答率17.6%)

2019年調査

大学院生の声

修士課程 1年 
鈴木 菜穂 (すずき なほ)


カウンセラーとも呼ばれる臨床心理士・公認心理師の両方の受験資格の取得のため、進学を決めました。私は、心と体のつながりに興味を持っており、卒業論文では内受容感覚(心拍など自身の身体内部の感覚)をテーマに研究を行いました。現在の研究室では、上記のような他の臨床心理学系大学院ではほとんど扱っていない生理指標を用いた研究を行うことができ、また情報学を融合した研究を行うことも可能です。そのため、自身の卒業論文を発展させた研究を行える環境にある、本大学院の臨床心理学専攻を選択しました。
大学院では、実践的な講義が多くなったと感じました。院生同士で行うカウンセリングのロールプレイについて検討したり、夏季休暇中には病院実習にも参加させていただいたりしました。また、研究面では、学会発表をさせていただく機会を得ることもできました。忙しい毎日ですが、合間を縫って有志で勉強会を開くなど、志を同じにした仲間と共に勉強できる魅力的な環境だと感じています。
今後、心理士として人々の健康増進に寄与できる存在になることを目指し、特に医療分野に進みたいと考えております。そのためにも、研究と臨床、両方の学びを深めながら邁進していきたいです。

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