頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム

「脳血管病克服のための国際共同研究ネットワークの構築」

  脳神経外科学分野 教授 永廣信治

 

  

  

脳血管病(脳卒中)は日本人死因の第3位であり、寝たきりの最大原因(3割)となっている。特に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は一旦発症すると約半数が致死的となり、生命が維持されても、非常に予後が悪い疾患である。破裂予防のためにコイル塞栓術やクリッピング術による外科的処置が行われるが、薬物による治療法は確立されておらず、現在は破裂時に生じる脳血管攣縮や遅発性の脳損傷に対して治験が試みられているのみである。
当教室では、脳動脈瘤発症が女性に多いという疫学的データに基づき、雌性動物を用いた脳動脈瘤モデル動物を独自に確立し、病態解析や薬物による治療効果の評価から、予防や治療の標的となる候補分子の探索およびその機能を検討している。
また虚血性脳梗塞については、主に雄性動物を用いた検討が行われているが、閉経期以後には女性も男性以上に脳梗塞を発生してくることから、エストロゲン欠乏状態での脳虚血性脳損傷について研究を進め、脳梗塞の高いリスクファクターである高血圧や塩分過剰摂取における血管障害に関して性差があることを見出している。これらの研究に関して、これまでカナダのトロント大学,米国サンフランシスコ大学カリフォルニア校に留学生を継続的に派遣し、国際共同研究を行っている。
今回初めて、脳科学クラスターを中心とした “脳血管病克服のための国際共同研究ネットワークの構築”が、日本学術振興財団(JST)より平成24年度の頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラムとして採択され、第1回のmeeting”INOC2013” (写真上)がAHA主催の脳卒中学会ISC 2013開催地のハワイで行われ、基礎および臨床研究の現状と問題点などについて各大学からの報告に対する質疑応答が行われ、活発な意見交換がなされた。 
また、これまでの研究成果に対して国内では日本脳神経外科学会奨励賞を4年連続して受賞しており、連続受賞記録を延ばしている。
特に本年度はAHA/ASA主催のinternational stroke conference 2013 in Honoluluでエストロゲン欠乏状態における脳動脈瘤形成・破裂におけるエストロゲン受容体βの役割と機能について明らかにした研究で、日本人では初めてのNew Investigator  Award受賞の栄冠を得ており(写真下)、世界脳神経外科学会(WFNS)における脳動脈瘤研究にたいする受賞に次いで国際学会では2回目の受賞となった。
これらの基礎研究成果を臨床に役立たせるためのトランスレーショナルリサーチを主眼として継続的に研究を発展させるとともに、留学前、中、後にも国際学会に積極的に参加し、国内のみならず、国際共同研究を行う世界で活躍できるリーダーの育成を目指して教室一丸となって取り組んでいる。

 

 

 

 

「疾患ニュートリオームを基盤とした加齢による循環器障害研究の国際ネットワーク構築」

  薬理学分野 教授 玉置俊晃

 

掲載記事URL(医療教育開発センター)

http://www.hbs-edu.jp/cluster/index.html/

 

 

最終更新日:2013年5月29日