戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)

稀少遺伝性炎症の原因遺伝子固定に基づく炎症制御法の開発

 生体防御医学分野 教授 安友 康二

   

JSTの戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)では、「炎症の慢性化機構の解明と制御に向けた基盤技術の創出」という領域が平成22年度から開始されました。我々は「稀少遺伝性炎症疾患の原因遺伝子同定に基づく炎症制御法の開発」という研究課題で平成23年10月より5年半の期間を使って研究を実施しています。
この研究の最終的な目標は、人の慢性炎症性疾患の遺伝的素因を明らかにすることです。ただ、ヒトゲノムは従来考えられていた以上に複雑であることが明らかになってきているため、人の病気の遺伝的素因を解明するということは、ヒトゲノムが解読された当時には予測できなかったほど困難であると考えられています。
一方で、超高速DNAシークエンサーを用いることによってゲノム配列そのものを知ることは、bioinformatics的手法を駆使することができればこれまでより格段に容易になってきています。そのような状況で、どのように人の病気の遺伝的素因を知るのか、という問いに対して、私たちは稀少遺伝性炎症性疾患のゲノムを超高速DNAシークエンサーを使って解読するというアプローチをとるべく準備をしてきました。その理由は、稀少遺伝性疾患で見つかる遺伝子変異は、単独の遺伝子変異だけで病気を引き起こしていると考えられるため、その遺伝子は生体の恒常性に重要な役割を持つことをその研究から解明できるからです。さらに、人の病気を理解するためには、やはり人サンプルでの研究が必須であると考えたこともその理由です。ただ、このような研究の最初で最大のハードルは、遺伝的解析に適した稀少遺伝性疾患を見いだすということです。私たちは、この研究を開始するに当たり、時間をかけて慢性炎症性病態を持つ稀少遺伝性症候群を探索してきました。
そのような背景を基盤として、今回のCREST事業では、これまで探索してきたそれらの遺伝性疾患の原因遺伝子を同定して、病気の病態を理解し、将来的には治療法の開発にまで結びつくような研究成果をあげることを目指しています。
 

最終更新日:2013年2月25日