分野の研究内容3

2011年10月13日

分野の研究内容3

11. 日本人における食事パターンと血液中ダイオキシン類濃度との関連

食事パターンと血液中ダイオキシン類濃度との関連は十分明らかにされていない。対象集団は、日本の30県、90地区に居住する755人の男性および901 人の女性(年齢15-73歳)であった。食習慣を、28項目の食品、食品群、飲み物の摂取頻度を質問することにより調査した。また、 polychlorinated dibenzo-p-dioxins (PCDDs)、polychlorinated dibenzo-furans (PCDFs)、dioxin-like polychlorinated biphenyls (DL-PCBs)の29異性体をGC-MS法で測定した。WHO(2005)の毒性等価係数を用いて計算した総毒性等量の中央値は、16 pgTEQ/g lipidであった。主成分分析により、5つの食事パターン、健康的(野菜、果物の摂取が多い)、肉/高脂肪 (肉、肉製品、卵の摂取が多い)、魚介類とアルコール(魚介類とアルコール飲料の摂取が多い)、雑多、および乳製品とアルコール (乳製品とアルコール飲料の摂取が多い)が抽出された。性、年齢、body mass index、喫煙を調整しても、魚介類とアルコールパターンの主成分得点は、血液中総毒性等量、PCDDs、PCDFs、DL-PCBsの毒性等量と、乳 製品とアルコールの主成分得点は、DL-PCBsの毒性等量と関連していた。アルコール飲料と魚介類の摂取頻度は、独立して、総毒性等量、PCDFsおよ びDL-PCBsの毒性等量と有意に関連していた。アルコール飲料とPCDDsの毒性等量との関連も有意であった。以上、食事パターンの分析は、ダイオキ シン類の体内蓄積量の多い人の食習慣の特徴を明らかにする上で有用である(Arisawa K, Uemura H, Hiyoshi M, Kitayama A, Takami H, Sawachika F, Nishioka Y, Hasegawa M, Tanto M, Satoh H, Shima M, Sumiyoshi Y, Morinaga K, Kodama K, Suzuki T, Nagai M. Dietary patterns and blood levels of PCDDs, PCDFs, and dioxin-like PCBs in 1,656 Japanese individuals. Chemosphere 85, 656-662,2011).

魚介類およびアルコール飲料の摂取頻度と血液中ダイオキシン類濃度との関連

 

12. 日本人における血液中ダイオキシン類濃度とメタボリック症候群との関連

米国において、いくつかの残留性有機汚染物質の環境曝露がメタボリック症候群と関連していることが報告されている。そこで、日本の一般集団において、ダイオキシン類の体内蓄積量とメタボリック症候群の有病割合との関連を検討した。職業性曝露のない1,374人について、2002-2006年に断面調査を実施した。7種のPCDDs、10種のPCDFs、12種のDL-PCBsを測定し、空腹時の血清生化学検査も行った。また、生活習慣に関する質問紙調査も行った。PCDDs、PCDFs、DL-PCBsの毒性等量および総毒性等量は、糖尿病を除く、除かないにかかわらず、メタボリック症候群の保有と関連していた。DL-PCBsの毒性等量および総毒性等量は、メタボリック症候群のすべての要素と関連していた。異性体別の検討では、PCB126およびPCB105の最も高い1/4の群では、調整オッズ比はそれぞれ9.1と7.3であった。これらの結果は、ダイオキシン類、特にDL-PCBsの体内蓄積がメタボリック症候群と関連していることを示唆している。各要素の中では、血圧、中性脂肪の高値および耐糖能がこれらの汚染物質の曝露と強く関連していた(Uemura H, Arisawa K, Hiyoshi M, Kitayama A, Takami H, Sawachika F, Dakeshita S, Nii K, Satoh H, Sumiyoshi Y, Morinaga K, Kodama K, Suzuki T, Nagai M, Suzuki T. Prevalence of metabolic syndrome associated with body burden levels of dioxin and related compounds among Japan's general population. Environmental Health Perspectives 117(4), 568-573, 2009)。

血液中ダイオキシン濃度とメタボリック症候群の各要素との関連(Uemura et al., Environ Health Perspect, 2009)