分野の現況

2011年10月13日
2011年初頭にあたって

 

 

2004年3月の着任以来、早や6年と10か月が経ちました。時の経過の早さに驚くとともに、もっと日々の時間を大切にしなければと気持ちを新たにしております。

さて、昨年は4月から山口さん、中本さんの2人の女性大学院生が加わったことにより、男所帯の時に比べ雰囲気も幾分(柔らかく?)変わったよう に思います。現在の大学院生は博士課程5人、修士課程1人となっておりますが、3月末には北山さんが4年目の最後を迎えるということで、早くrevise した学位論文が受理されればと思います。他の大学院生も現在それぞれのテーマで論文をまとめておりますので、今年中に形にして、海外の雑誌に challengeされることを望みます。大学院の間に『教室のプロジェクトで得られたデータをまとめる仕事』と『自分で調査を企画・実行し、データを集 めた仕事』の二つをまとめれば、研究者としての実力が付くのではないでしょうか。

昨年1年間は、J-MICC研究徳島地区のベースライン調査に明け暮れた年でした。おかげ様で協力して下さる企業が増え、協力者総数も増加しま した。しかし、他のサイトと比較するとまだ不足しており、独自調査を行っていくためにも、新しい協力企業(大学、役所等)を開拓することが今後の最重要課 題です。

教育面では『社会医学実習の計画をもう少し早く立てて準備を行うこと』、『研究室配属の学生さんに対する教育を教室全体で組織的に行えるようにすること』を課題としたいと思います。

教室運営の面では、挨拶をきちんとすることや、お互いの思いやりによって、教室員の間のコミュニケーションがもっとよくなればと願っています。

各人が自分の目標をしっかりと定めて地道に努力していけば、成果はすぐには出なくても、未来は必ず明るいものになると思います。

 

(平成23年1月12日)

 

2008年の総括

 

2008年もあと残りわずかとなりました。今年は、人の動きでは、4月に社会人大学院生の澤近さんが入学され、博士課程3名、修士課程1名とな りました。業績の点では、教室員が共著者となっているものを含めて英文論文が11編出版され、実りの多い年になりました。これも教室員全員の頑張りによる ものであり、ここに深謝申し上げます。

教育面では、医学科の社会医学において、今年からSPSSを用いた医学統計学実習を取り入れました。統計学は医師国家試験には出題されません が、研究室配属で結果をまとめる時や、卒業後に論文を執筆する時に困らないようにとの考えからです。社会医学実習は、人類遺伝学分野(旧公衆衛生学)と共 同で実施しているものであり、限られたスタッフで今年も何とか無事に終えることができました。市町村保健センターなどのお世話になった機関の評価もまずま ずで、時間が限られている中で、学生さんには全体的によく実習していただいたと思います。欲をいえば、発表会でもう少し活発な討論があればよいと思ってい ます。保健学科の疫学、大学院の社会医学・疫学・医学統計学入門の授業はほぼ従来どおりでした。

課題は、生活習慣病の予防に関する研究(J-MICC研究)の協力者数が少ないことであり、来年度はこれの改善を最優先にしたいと思っています。幸い、最近になって協力して下さる企業がいくつか出てきています。

来年は、3月に嵩下君が修士課程の修了時期を迎えます。幸い、論文もToxicology誌に受理され、修了の目処がつきました。また、本分野 に割り当てられている助教の任期が2010年2月に終了を迎えるなど、他にも人の動きがあるかも知れません。分野のメンバーは少しずつかわって行きます が、この分野が、各自にとっていろいろなことを学び、成長し、ステップアップしていける場所であって欲しいと願っています。

 

(2008年12月27日)

 

分野の現況

 

2008年7月現在、当分野の構成員は常勤スタッフ4名(有澤、上村、日吉、武田)、博士課程社会人大学院生3名(北山、高見、澤近)、修士課 程大学院生1名(嵩下)の8名となっております。2004年3月に3名でスタートした当分野も、徐々に人数が増えてまいりました。しかし、常勤スタッフの 数が限られていますので、分野の運営を円滑に行っていく上で、フルタイムの大学院生がもう少しいてくれたらと思っています。

研究関係では、当分野がここ数年関わってまいりました、環境省「ダイオキシン類の人への蓄積量調査」の解析結果がまとまり、お蔭様で、6月に3 編の論文が国際誌に受理されました。また、重金属関係の分子疫学研究も結果がまとまってきており、環境保健関係を中心に、成果が出てきていると思います。

「生活習慣病予防に関する研究 J-MICC研究徳島地区調査」は、日本全国で十数か所の大学および研究機関が参加して行われている共同研究で す。この研究はわが国初の大規模分子疫学コーホートですので、その重要性を考え、また、当分野にとってもトレーニングのよい機会となると考え、参加を決定 しました。現在、徳島県総合健診センターのご協力を得て、毎週水曜日に調査を行っています。本学医学部栄養学科修士課程の中本さんにも加わっていただき、全員で、受診者の方に対する研究説明と同意取得、調査票の記入漏れ確認および血清、血漿、バフィーコート分注などを行っています。研究協力者数の増加が最 重要課題となっています。

着任から4年経ちましたが、基礎学実験研究棟の改修も完了し、また、教室員も増え、分野の基礎的な体制は一応できたと思います。今後は、限られ た人的・物的資源の中、各人がやる気を持って能力を発揮し、また助け合い、業績を上げていける環境を作っていくことが課題と考えております。

 

(2008年7月17日)

 

予防医学分野の現況

 

有澤 孝吉

 

平成16年3月、私が本分野に着任して、早いもので3年が経過しました。その間、平成17年2月に日吉峰麗助手が分子酵素学研究センター酵素分 子生理学部門から着任し、また、平成18年4月には上村浩一助手が徳島大学病院周産母子センターから移籍しました。上村助手は、本年4月1日付けで講師に 昇任し、現在に至っております。また、今春から北山 淳(社会人、博士課程)、嵩下 賢(修士課程)の2名が大学院生として加わり、現在、分野の構成員は、武田英雄技術専門職員と合わせ、7名となっております。

4月10日現在、医学科棟の改修に伴い、病院3階旧手術部に仮住まいをしておりますが、この会報が発刊される頃にはリフォームが完了した新しい基礎A棟4階に移っているものと思います。

本分野は教授不在の期間が長く続いておりましたため、赴任してすぐに教育の立て直しに着手致しました。授業は、学生さんが医師国家試験を受験するに当たって困ることのないよう、国家試験のガイドラインに従い、分子予防医学分野(中堀 豊教授、旧公衆衛生学)と共同で、卒前教育においてカバーすべ き範囲について一通り講義をすることに致しました。現在、本分野は、予防医学概論、疫学、人口・保健統計、環境保健、産業保健、生活習慣病予防、国民栄養、感染症の疫学と予防、Evidence-based Medicine、医学統計学、保健医療行政の11分野を担当しております。これらは非常に幅広い内容を含んでおりますため、羅列的にならないよう内容に メリハリをつけ、学部レベルを超える内容も織り交ぜて授業を行うようにしています。また、学生さんに厚生労働省を進路の選択肢の一つとして考えてもらえる よう、毎年、本学医学科出身の上田 茂先生、森岡久尚先生に講義をお願いし、厚生労働省医系技官の仕事内容について紹介していただいています。

社会医学実習(分子予防医学分野と分担)は、実際の調査研究を通してPublic Health Mindを身につけることを目標としています。学生さんが数名ずつのグループに分かれ、週3時間、十数週にわたり、地域医療・地域保健の現場の見学や、疫学調査、遺伝子解析、動物実験などさまざまなテーマに取り組んでいます。幸い、初年度から優秀でやる気にあふれた学生さんが多く参加してくださったおかげ で、成功の裡に終了することができました。しかし、本年から研究室配属の期間が6か月間と長期のものとなり、3名という限られた教員スタッフで、どうやって社会医学実習と研究室配属をこなしていくか、また、両者を内容的にどのように差別化していくかが課題となっています。

研究に関しましては、現在、疫学と環境保健を柱として活動を行っています。環境保健に関する研究は、私がこれまで関わってまいりましたダイオキ シン類を含む難分解性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants)の健康リスク評価研究、および重金属汚染地域のコーホート研究などであり、いずれも環境省からの要請を受けて実施しているもので す。

二つ目は、ライフスタイル、遺伝要因と生活習慣病との関連に関するコーホート構築です。 これは、日本全国で十数箇所の大学、研究機関が参加して行う日本多施設共同コーホート研究(Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort Study、J-MICC Study)の徳島地区調査であり、徳島県総合健診センター・相良安信所長のご協力を得て、本年中の調査開始に向けて準備を進めております。この仕事は、 日本の疫学研究に対して貢献することはもちろんですが、本分野に将来参加されるであろう若い教室員にとっても、疫学研究の実際を学ぶ機会を提供するとい う、重要な意義を有するものです。

このほか、分野の各メンバーがこれまでの背景や専門を生かし、自由に研究を行っています。上村講師は、これまでの産婦人科における臨床経験を生 かし、閉経期の骨代謝・内分泌に関する臨床疫学的研究を行い、また、日吉助手はプロテオミクスの環境医学・トキシコロジーへの応用を試み、実験的研究を 行っています。

本分野における現在の最重要課題はマンパワーの確保です。現在の構成員数は、研究、教育活動を行っていく上でミニマムのラインですので、外部資金獲得によるポストドクター採用、ならびに大学院生獲得に向けて努力していきたいと考えております。

今後も、教室員一同、研究、教育活動に一生懸命取り組んでいく所存です。皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

 

(この文章は青藍会会報第69号 平成19年6月発行 に掲載されたものです。)