『筋線維化』について(オステオアクチビンの機能解析)

2011年10月17日

現在二川グループは宇宙フライトや模擬微小重力モデルで発現が増大する遺伝子の詳細について検討中です。その中でも宇宙フライトと坐骨神経切除の両方でmRNA量が8倍以上に上昇していた新規蛋白質オステオアクチビンについて解析を行っています。

 

実験風景

実験風景

 

研究内容

宇宙フライトや寝たきりなどのように筋肉に負荷がかからない状態により筋肉は萎縮し、しばしば線維化が誘導されます。しかし筋肉の萎縮や線維化の発症メカニズムは未だ解明されていません。この疾患モデルとしては坐骨神経切除(Denervation)が最もよく研究されています。坐骨神経切除した筋肉は、筋線維の顕著な萎縮や筋形質膜の変化、また筋線維間への間質細胞(特に線維芽細胞)の浸潤が観察され、長期の暴露により線維化が誘導されます。この筋肉の変性や再生は変化した筋形質膜と間質細胞との相互作用により細胞外基質が変化するためではないかと示唆されています。それゆえこの分子メカニズムを解明することは萎縮や線維化を伴う筋疾患の治療法の開発に有効であると考えました。
オステオアクチビンは坐骨神経切除モデルの他に、大理石骨病、肝硬変、心不全でも発現が上昇し筋肉だけではなく様々な組織における線維化にも関与しています。私達は坐骨神経切除モデルを使い、まだ機能がほとんど不明なオステオアクチビン蛋白質の機能解析を行っています。
そして最近私達は、坐骨神経切除で発現が増大するオステオアクチビンは筋肉に浸潤した線維芽細胞のMMP-3発現を誘導することを明らかにしました。(下図,Ogawa T, et al., Am J Physiol Cell Physiol, 289 (3): C697-C707, 2005)

Ogawa T, et al., Am J Physiol Cell Physiol, 289 (3): C697-C707, 2005

これまでの研究でオステオアクチビンは線維芽細胞新しい活性化因子であることが示唆されました。さらに解析を進めることは、筋萎縮や筋線維化の新しいメカニズム解明へとつながるのではないかと考えています。