第68回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会

2011年10月13日

第68回日本めまい平衡医学会総会・学術講演会

第68回日本めまい平衡医学会は徳島大学耳鼻咽喉科学教室が担当させていただき、平成21年11月25日(水)から27日(金)まで、徳島市のホテルクレメント徳島で開催いたしました。177題の演題と、572名の先生にご参加していただき、盛会のうちに学会を終えることができました。厚く御礼申し上げます。伝統ある日本めまい平衡医学会を我々の教室が担当させていただくのは2回目であり、昭和47年に檜 学教授が第31回日本平衡神経科学会を開催されて以来、37年ぶりになりました。

最近の医学、医療を取り巻く環境の変化に伴い、本学会も担当範囲の拡大をめざす必要があります。そこで、本学会ではめまい・平衡障害を専門にしておられる先生には新しい研究分野への発展につながる企画を予定し、プライマリーケアとしてのめまいの診療に関与している先生にも興味を持っていただけるような企画も予定しました。

特別講演?では、ニュージーランドのオタゴ大学のSmith教授に「Memory and attention deficits following vestibular damage and their relationship to hippocampal function」と題した講演をお願いしました。Smith先生は奥様のDarlington先生とご一緒に、長年、前庭代償の研究を行ってこられましたが、今回は、最近の研究である前庭入力が海馬を介して空間識だけでなく高次脳機能に与える影響について講演していただきました。特別講演?では、ATR 脳情報研究所の川人光男所長に「計算神経科学とブレイン・マシン・インターフェースと題した講演をお願いしました。川人先生はロボット工学から小脳の内部モデル理論を明らかにし、最近では脳の感覚運動連関からコミュニケーションにいたる研究を展開されています。今回は、ブレイン・マシン・インターフェースを中心に講演していただきました。両特別講演とも、本学会が今後、進むべき方向に示唆を与えていただけたものと思っております。

イブニングセミナーはDarlington教授にお願いし、動物モデルを用いた耳鳴の基礎研究について講演していただきました。日本ではまだ馴染みの少ない研究分野ですが、めまいに関係する耳鳴も今後、本学会で研究するべきテーマの1つと考えて企画いたしました。

シンポジウム「VEMP:耳石器機能検査としての位置づけと今後の展開」は、司会を肥塚 泉教授(聖マリアンナ医大)にお願いしました。前庭誘発筋電位であるVEMPは広く臨床応用された平衡機能検査となっており、耳石器機能検査としての位置づけを明確にすると同時に、今後の展望について解説と討論が行われました。

パネルディスカッション「方向交代性上向性眼振をめぐって」は、司会を鈴木 衞教授(東京医大)にお願いしました。良性発作性頭位めまい症は本学会の最近のトピックスですが、最後に残った大きな問題が方向交代性上向性眼振だと思います。この不思議な眼振の頻度、機序、病巣につき、5人のパネリストが熱い討論を行いました。

本学会では、教育セミナーにも力を入れました。プライマリーケアとしてのめまいの診療に関与している先生にも興味を持っていただけるように、Basic コースでは、大江洋史先生(大阪府立急性期・総合医療センター神経内科)に「浮動性めまいと前庭神経系ネットワーク」を、五島史行先生(日野市立病院)に「頭痛とめまい」を、河野寛幸先生(ERプロジェクト)に「失神性めまいのマネジメント」を、青木光広先生(岐阜大)に「自律神経とめまい」をご講演いただきました。

Advanceコースでは、めまい・平衡障害を専門にしておられる先生の今後の研究や臨床に参考にしていただけるように、先端セミナーと手術手技セミナーを企画しました。先端セミナー1では、(株)セガ新規事業本部の渡辺克好氏に「仮想現実とシミュレーター酔い:モーションベースシミュレーターの開発の経験から」をお願いし、バーチャルリアリティーと動揺病に関する講演をお願いしました。先端セミナー2では、徳島大学生体栄養学の二川 健教授に、「宇宙医学研究の現状と展望」をお願いし、国際宇宙ステーションで予定されている先生の宇宙実験を中心に今後の展望も含めて講演をお願いしました。手術手技セミナーでは、鈴木 衞教授(東京医大)に「半規管遮断術」を、土井勝美先生(阪大)に「内リンパ嚢開放術」をお願いしました。

ランチョンセミナーでは、箕輪良行教授(聖マリアンナ医科大学救急医学)に「救急におけるめまいの取扱い」を、成富博章病院長(千里中央病院)には「脳循環障害とめまい」を、渡辺行雄教授(富山大)には「メニエール病の診断基準と中耳加圧療法」を、堀井 新先生(市立吹田市民病院)には「心因性めまいの取り扱い」をお願いしました。

一般演題では、口演を動画のある21演題に限らせていただき、できるだけ多くの先生に見ていただくために大部分の演題をポスターでの発表でお願いしました。本学会では、重心動揺検査を中心とした体平衡の演題が13題、自覚的垂直位検査の演題が9題と増加し、新たな知見についての報告がありました。メニエール病はバゾプレッシンやアルドステロンなどのホルモンと内リンパ水腫の関係から、様々な治療法が提唱されました。同時に、MRIを用いた内リンパ水腫の可視化が確立してきました。頭位性めまい症は、難治症例に関する演題が増加していました。

徳島県といえば阿波踊りが有名です。会員懇親会では有名連である「娯茶平連」の阿波踊りを楽しんでいただき、夜遅くまで和やかに懇談が続きました。

次回の第69回日本顔面神経研究会は、京都大学耳鼻咽喉科の伊藤壽一教授のご担当で、平成22年11月17日(水)から19 日(金)まで、京都市で開催される予定です。また多くの先生のご参加を、お願いいたします。

 

第68回日本めまい平衡医学会 会長 武田 憲昭

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