真珠腫性中耳炎

2011年10月13日

基本的概念

真珠腫性中耳炎とは鼓膜の周りの一部が陷凹してへこんでいき袋状になって中にかすが溜まってしまった状態を言います。時間がたつと真珠腫は徐々に 大きくなり、まわりの骨を溶かしさらに大きくなる性質があります。ここに感染が加わるとなかなか治らない耳漏がおこったりします。

この真珠腫にはいろいろな病態のものがあり、先天性真珠腫・後天性真珠腫・術後性真珠腫に分けられます。

 

  1. 先天性真珠腫(congenital cholesteoma)
  2. 後天性真珠腫(acquired cholesteoma)
    • a)一次性真珠腫(primary acquired cholesteoma)
      • A.弛緩部型真珠腫(pars flaccida type)
      • B.緊張部型真珠腫(pars tensa type)
    • b)二次性真珠腫(secondary acquired cholesteoma)
  3. 術後性真珠腫
    • a)遺残性真珠腫(residual cholesteoma)
    • b)再形成性真珠腫(recurrent cholesteoma)
    • c)医原性真珠腫(iatrogenic cholesteoma)
    • d)移植性真珠腫(implantation cholesteoma)

 

先天性真珠腫は胎生時期に鼓膜の奥に真珠腫の元になる細胞が取り残されたために生じるとされています。一般には鼓膜穿孔はなく著明な陷凹もないのですが、感染などが加わり真珠腫が大きくなることで耳漏や鼓膜穿孔が起こってくることがあります。

後天性真珠腫は鼓膜の一部が陷凹しておこるとされる一次性真珠腫と鼓膜穿孔縁から表皮が入り込むことによっておこるとされる二次性真珠腫に分け られます。一次性真珠腫では鼓膜が陷凹する場所によって弛緩部型と緊張部型があり、成人の場合は弛緩部型真珠腫の方がよく見られます。

術後性真珠腫は手術の後に鼓膜陷凹が再度おこって再発するものや鼓膜の奥に真珠腫の一部が残って再発するものなどがあります。


 

治療

真珠腫治療の基本は手術による完全除去と再発の防止です。真珠腫は放っておくとだんだん大きくなり、大きくなってからでは色々な合併症をおこす可能性が高くなります。手術の方法は真珠腫の進展範囲や患者さんの年齢などによって決められます。

 

  • A:canal wall up (close法)
  • B:canal wall down (open法)
  • C:canal reconstruction (外耳道再建)
  • D:mastoid obliteration (乳突腔充填術)

 

真珠腫の完全除去のためにはcanal wall downが手術の視野が取れやすいですが術後の乳突腔トラブル(open cavity problem)が生じます。canal wall upは外耳道が保持でき通常の耳の形態を保つことができますが視野が取れにくく真珠腫遺残の可能性が出てきます。それぞれの術式も一長一短があり、真珠腫 の状態に応じて選択することが重要と考えます。小児の真珠腫は真珠腫が乳突蜂巣に細かく入り込んでいることが多く、数回に分けた手術が必要です。真珠腫再 発がないことを確認できた後に可能なら聴力の改善を目指します。