喉頭腫瘍

2011年10月13日

基本的概念

喉頭は嚥下・発声・呼吸機能などを併せ持つ多機能な器管です。そのため喉頭の腫瘍性病変はそれぞれの機能を障害して嚥下障害・嗄声・呼吸困難・ 咽喉頭異常感などの症状を呈します。喉頭にできる腫瘍性病変としては喉頭癌のような悪性腫瘍以外にも良性悪性の境界病変といわれる白斑症、肉芽腫・乳頭腫 などの良性疾患もあります。しかし良性のものでも大きくなり気道を閉塞することにより呼吸困難などが起こり得るので注意が必要です。

喉頭癌は頭頸部悪性腫瘍の中では最も頻度が高く、ほとんどが扁平上皮癌です。男性と女性の比は10:1と圧倒的に男性が多く、ヘビースモーカー であることが多いです。過度の飲酒、大気汚染、熱い食べ物の常用、声の酷使、慢性の炎症などが関係しているとも言われています。また喉頭は声門上・声門・ 声門下の3領域に分けられ、リンパ流の関係から声門上・声門下癌は頸部リンパ節転移をきたしやすいです。

 

症状

喉頭腫瘍で最も多い症状は嗄声です。喉頭癌の場合でも特に声門癌では早期に嗄声が生じるので早期発見されやすいです。声門上癌では初期には咽喉頭 の異常感があることが多いく、声門に進展すると嗄声を生じます。声門下癌では初期は無症状で声門に進展すると同様に嗄声を生じます。どの部位の喉頭癌でも 増大して潰瘍化すると出血や嚥下痛をおこすようになります。

 

分類

声門上部 (C32.1)

舌骨上喉頭蓋 [先端、舌面(前面)、および喉頭面を含む]

披裂喉頭蓋ヒダ、喉頭面

披裂

舌骨下喉頭蓋

仮声帯

声門 (C32.0)

声帯

前連合

後連合

声門下部 (C32.2)

 

TNM分類

声門上部

T1 声帯運動正常で声門上部の1亜部位に限局する腫瘍

T2 喉頭の固定がなく、声門上部の他の亜部位、声門または声門上部の外側域(たとえば舌根粘膜、喉頭蓋谷、梨状陥凹の内側壁など)の粘膜に浸潤する腫瘍

T3 声帯が固定し喉頭に限局するものおよび/または輪状後部、喉頭蓋前方の組織、舌根の深部のいずれかに浸潤する腫瘍

T4 甲状軟骨を破って浸潤する腫瘍および/または頸部軟部組織、甲状腺、および/または食道に進展する腫瘍

 

声門

T1 声門運動正常で(一側)声帯に限局する腫瘍(前または後連合に達してもよい)

T1a 一側声帯に限局する腫瘍

T1b 両側声帯に浸潤する腫瘍

T2 声門上部および/または声門下部に進展するものおよび/または声帯運動の制限を伴う腫瘍

T3 声帯が固定し喉頭内に限局する腫瘍

T4 甲状軟骨を破って浸潤するものおよび/または喉頭外すなわち気管・頸部軟部組織、甲状腺、咽頭に浸潤する腫瘍

 

声門下部

T1 声門下部に限局する腫瘍

T2 声帯に及び、その運動が正常か制限されている腫瘍

T3 声帯が固定し喉頭内に限局する腫瘍

T4 輪状軟骨あるいは甲状軟骨を破って浸潤する腫瘍および/または喉頭を越えて他の組織すなわち気管、頸部軟部組織、甲状腺、咽頭、食道に浸潤する腫瘍

 

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能

N0 所属リンパ節転移なし

N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cm以下

N2 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下、または同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下、または両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmをこえるが6cm以下

N2b 同側の多発性リンパ節転移で最大径が6cm以下

N2c 両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6cm以下

N3 最大径が6cmをこえるリンパ節

 

 

治療

喉頭癌は他の頭頸部癌に比べて根治率は高く予後は比較的良好といわれています。治療を行う場合はできるだけ喉頭の機能温存を図りながら癌の根治 を目指します。当科では早期癌(T1、T2)の場合、放射線治療を60~70Gy行っています。放射線治療と共にシスプラチン少量同時併用することもあり ます。進行癌(T3、T4)や放射線治療で根治が難しいと判断した場合では基本的には外科的手術療法による喉頭全摘出術を行います。